第106話 笑う門には福来たる その17 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「でも、笑うと言っても状況的に笑えないところに陥っていたら、どうすればいいんですか?」

 

「実はね、考え方が逆だったんだよ。笑えない状況だから笑えない、笑える状況だから笑える。そうじゃないんだ」

 

「逆って、どういうことなんですか?」

 

「笑わないから笑えない状況に陥ってしまう。反対に、笑うと笑える状況になる。これもがんを克服した人の講演で得たことなんだ」

 

「えぇっ、そんなバカな。笑えば笑える状況になるだなんて。たったそれだけのことだったら、みんな笑って過ごしていますよ」

 

「じゃぁ質問していいかな?」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「今まで、意図的に笑ったことってあるかな?」

 

「意図的に、ですか?うぅん、そう言われると、わざわざ笑うなんてことしてこなかったなぁ」

 

「だろう。まぁ騙されたと思って笑ってみるといいよ。その生き証人がいるんだから」

 

「生き証人って、例の彼のことですか?彼はその後どうなったんですか?」

 

「笑うことを意図的にやりだしたんだよ。そうしたら奇跡がどんどん起こりだしたんだ」

 

「奇跡って、どんなことなんですか?」

 

「まず、胃ガンの方だけれど、これは見事に完治したんだ。そのおかげでおまけもついてきた」