第94話 小さな約束 その23 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「おっと、もうこんな時間だ。そろそろ次の約束がありますので」

 

「そうですね、先約優先ですから、遅れないように気をつけて。いってらっしゃい」

 

「はい、ありがとうございます。また連絡させていただきます。あ、今日のお代は」

 

「今日はけっこうです。ボクこそ楽しませていただきましたから。ではまたのご連絡をお待ちしています」

 

 また連絡します。一見すると社交辞令的な言葉だが、こういうことこそ約束として守らねば。羽賀さんのコーチング、これは石橋部長が言われていたとおり効果があったな。

 

 その効果のおかげなのか、次の訪問先ではいい感じの受注をいただけそうな感じだ。よし、今度は家庭だな。今日は早く帰れそうなので、久しぶりに一家で食事をするか。そのつもりで家に電話をかけた。

 

「あら、めずらしいわね。じゃぁごちそう作って待ってるから」

 

 妻にそう言われて、私も晩御飯が楽しみになってきた。そうして社に戻り報告をする。ついでに石橋部長からコーチの羽賀さんを紹介されたことを伝えた。

 

「ほう、コーチングか。聞いたことはあるな。一度その羽賀さんとやらにお会いしてみたいものだ」

 

 部長は結構乗り気なようだ。これは社に導入できるかもしれない。