第92話 三重苦を超えていけ その17 | 【小説】Cafe Shelly next

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喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「思ったより早く退院できた。素晴らしいじゃないか。それってどうして早く退院できたと思うかな?」

 

「どうして早く退院できたか、ですか?」

 

 マスターにそう言われて考えてしまった。そういえばどうしてこんなに早く回復することができたんだろう?

 

「うぅん、精神力のなせる技、かな?」

 

 半分冗談で言ってみたつもりだった。が、マスターはにこりと笑ってこう言った。

 

「正解だよ。まさにその通りだ。これは勇雄くんに早く退院したいという志があったからこそ、身体がそのように反応したんだよ」

 

 まさか、そんなことが。一瞬そう思ったが、言われて納得もした。あの天下の松下幸之助さんもこんな気持ちでいたからこそ、病弱な身体を克服できたのではないだろうか。

 

「私たちはね、病気になったから気持ちが沈んでしまうと思いがちだけれど。実はそうじゃないんだ。気持ちが沈んでしまっているから病気になるんだよ」

 

「でも、オレなんかは生まれつき身体が弱い方ですから。まさか、元気な人は赤ちゃんの時から志を持っていたってわけではないですよね」

 

 マスターの言葉でふと湧いた疑問を素直に口にしてみた。するとマスターはまたにこやかに笑いながら、こんなふうに答えてくれた。