第82話 塀の中から その14 | 【小説】Cafe Shelly next

【小説】Cafe Shelly next

喫茶店、Cafe Shelly。
ここで出される魔法のコーヒー、シェリー・ブレンド。
このコーヒーを飲んだ人は、今自分が欲しいと思っているものの味がする。
このコーヒーを飲むことにより、人生の転機が訪れる人がたくさんいる。

「これ、なんて書いてあるんだ?」

「そう言うと思ったよ」

 すると大山は画面をクリック。一瞬にして先ほどの英文が日本語に変わった。

「自動翻訳だから、ちょっとおかしいところはあるが。概要はわかるはずだ」

 腕組みをして怒った表情で大山が言う。とにかくその記事を読まねば。

「どれどれ…ん、えっ、なにっ!」

 読み進めていくと、大山の怒りの原因がわかった。と同時に、血の気が引いていく自分がいることもわかった。

 そこには、大山にも進めた投資話の会社の名前が書かれてある。その会社が詐欺容疑で捕まったという内容だ。

「詐欺って、ど、どういうことなんだ…」

「こっちが聞きたいんだよ。おい、オレが投資した金はどうなるんだっ!」

「ちょ、ちょっとまってよ。今すぐ確認するから」

 あわててこの話をもってきた社長のところへ電話をする。が、話し中でつながらない。

「ちくしょう、つながらない。ちょっと待ってろ。この話をしてきた社長のところに行くから」

「オレも行くっ」

 おいおい、どうなるんだよ。自分だってなけなしの三千万円を投資したんだから。この金、無理やりかきあつめたんだぞ。どうしてくれるんだ。そう思うと泣きたくなってくる。