横田南嶺老師様の講演を初めて拝聴したのは平成28年に六本木ヒルズで行われた「臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱(おんき)」の武者小路千家家元後嗣の千宗屋さんとの『禅のこころ、茶のこころ』の対談講演でした。

禅に興味があったことと、お茶の話が聞けるよと友人に誘ってもらい、どちらかというとお茶がメインで参加しました。

冒頭から横田老師様が

『私はお茶の世界はよくわからず、嫌いです!』

と、家元後嗣を前に嫌いとの発言にとても驚き、思わず身を乗り出しました。
これから1時間半、どのように話が進むのだろう?!と背中に冷や汗がでました。
講演会で背中に冷や汗をかいたのは初めてです(^^;;

終わってみてわかったのですが、老師様はあえて私たちの代弁をしてくれたのごとく、全く知らない者に禅とお茶の世界の通ずるものを、最後にはわかるように質問してくれてた感じがしました。

まるで禅問答のようで、容赦ない鋭い問いかけに後嗣の宗屋さんも全身全霊で答えていたような対談でした。

1時間半の間で老師様が話したのは三言ぐらいじゃないかと思うくらい(実際はもう少し話していました)質問が鋭く、臨済宗の一対一の参禅を見ているかのようでした。

横田老師様の前で私も、いち雲水の気分になるのは、この影響もあります(^^;;

その後、小出さんのご縁もあり、円覚寺さんに訪問することや老師様にお会いする機会がありました。

最初に行ったのは円覚寺さんで小出さんが老師様と対談取材する時にカメラマンがいないからと、シャッターが押せればいいからとカメラ担当で行きました。
カメラ担当なので名前も発酵のことも出さず、黒子に徹して、何なら黒子の衣装で行きますの気持ちで伺ったのですが、老師様の部屋に入るなり、机の上に私の本があるのが目に入り、今日来るお客様に対してのもてなしの心を感じるようで、最初から恐れ入りました。

その時に写した写真はこちらです(^^)

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私はスタッフ・黒子であったのに、そのような人に対してまでの心配りに、一期一会、その瞬間瞬間に徹する禅の教えを感じる思いがしました。

その日、他にも印象的なことがありました。

円覚寺の中は広く、初めて行くとどこに約束した場所があるかわからないことがあります。

多分、あの辺りと向かうのですが、初めてだとやはり迷います。

庵の前の道に老師様の姿が見えました。
時間から時間へと忙しくされ、別の建物から移動されてきた、ちょうど会えたような感じがしました。
30mぐらい前でしたが姿が見えたあとは、庵までの心配はなくなりました。
その時はタイミングよくと思っていましたが、取材中、帰る時まで気持ちよく過ごさせていただき、帰る電車の中で気がつきました。

老師様はたまたま移動してきたのではなく、私たちが迷って困らないように、また、待っていましたと気を遣わせないように、気づかれないほどの気配りでそこにいてくださったということを思いました。

禅の心に触れるのは教義や修行、坐禅だけではなく、何気ない日常、全ての中にあることを思いました。


老師様は黒子で行った私に円覚寺での発酵の話をしてくださいました。
話しているうちに、老師様が発酵に詳しいこと、奥行きがあることを思いました。
実際に発酵作り、体感していないとできない会話もあり、仕込むのはお弟子さん、雲水さん達と思っていたので、造詣の深さに驚きました。

それから時々、老師様とお会いした時は発酵の話になることがありました。

円覚寺では70年ほど臘八大摂心の時に甘酒が出されること、味噌やタクアン、梅干しは一年分を作っていることを知りました。


臘八大摂心は1年の中でも一番厳しい修行とも言われ、その時に甘酒というのは効能から見てもとても素晴らしく、なぜ円覚寺だけその伝統があるのだろう?と思いました。

そこには円覚寺さんだけの歴史、想いがありました。

その事が書かれている記事がありますのでご覧ください。




次回に続きます(^^)


3連休ですね。皆さまにとって心温まることがたくさんありますように*・゜゚・*:.*:.。. .。.:*・゜゚・*