上大岡の講演会で、私が大切に思う食事を見ていただいたほうが早いと、北鎌倉の円覚寺さんで食べさせていただいた雲水さんの普段の食事を映像で見ていただきました。

以前、小出遥子さん主催で円覚寺の横田南嶺老師様と対談講演をさせていただいたことがありました。

小出さんも腑から感じてもらったほうが早いと、甘酒を円覚寺さんで作り皆さんに飲んでもらう機会がありました。

発酵させる時間がいるので、前日に仕込みに行きました。
円覚寺さんでは12月の臘八大攝心(ろうはつおおぜっしん)に40年以上、甘酒を飲まれている話を伺ったこともあり、その話と甘酒の効能、思いに繋げていくことにしました。

80人分の甘酒を準備することになり、糀やお米、水の分量を何度もシュミレーションして計算しました。
普段、家で作るときは多くても1kgなので、80人分となると10kgほど用意したと思います。
円覚寺さんにある調理器具をお借りするので、保温器は何キロで、何台入るか、初めて注文する糀を使うので、糀の水分量、どのくらいの分解力があるのか、いろいろ考えます。

自宅で作るときは、器具の温度や時間など感覚でわかるのと、適当に作ってもそれなりの味でいいのですが、初めて甘酒を飲む方もいるかもしれなく、最初のイメージがベストの状態でないと私も心残りになるので、講演会で出す時にベストであるように、発酵時間、材料の比率を何度もシュミレーションしました。

同時に伝えたい糀の発酵もあったので、その試作もしていました。
試作の味見をしていたこともあり、老師様と話すことや、円覚寺で私で大丈夫なのかと緊張もあり、3日ぐらい前から胃が痛くなり、円覚寺さんでは時々、他の講演会のお手伝い、お伺いした時に昼食をいただくことがあり、今回は食べたら講演できないと、昼食を何とかお断りできないかと、小出さんにそれとなく

「緊張で胃が痛くなりまして、準備とかあるので老師様のところには1時間前にご挨拶に行こうかと、、」

と伝えたら

『ぜっんぜん心配していないですよ!全信頼していますから!大丈夫です!!楽しみですねぇ〜』

と返ってきまして、いや、そうじゃなくてご飯が食べれない、、と思いましたが、あまりの小出さんのニコニコぶりに何も言えなくなりまして、こうなったら成るに任せるしかないと、それでも、老師様の部屋に入る前に雲水さんの台所みたいなところがあるので、コソッとお昼の量を減らしてくださいと言おうかな?と考えたりしていました。


前日に甘酒を仕込みに行った時、小出さんと2人で全ての作業をする予定でいましたが、円覚寺さんはいつも雲水さん達が手早くいろんなお手伝いをしてくださり、その時も多くの雲水さんが手伝いにきてくださいました。

仕込みの時も、老師様が雲水さんたちに甘酒の作り方を教えてほしいと依頼があり、私も発酵中のかき混ぜや、明け方に保温キーを切ってもらうお願いがあったので、雲水さんのご協力が必要で、他の修行があるのにと恐縮していたのですが、仕込みや全ての準備に横田老師様も自ら手伝ってくださり、緊張が増しました(^^;;

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作業しながら老師様に、

「普段、雲水さんたちはどのような食事をされているのですか?昼食で出していただく食事ですか?」

と尋ねると

『あれは来客用で私達にとったらごちそうですなぁ。普段はその季節のもの、あるのもなので、言うほどでも、、』

とおっしゃり、胃が痛いこととは別に、本当に普段、修行僧さんたちはどのような食事をされているのだろう?と前から興味津々だったのでお伺いしたのですが、老師様から、

『でしたら、明日の昼食はそれにしましょうか?』
 
と提案してくださり、ぜひお願いします!!と楽しみになりました。
依然、胃は痛いままでしたが。


雲水さんの普段の食事はこちらです(^^)
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一緒にいた皆さんも同じ食事となりました(^^)
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慌てたのは食事を用意してくださった雲水さん達、と食事の時に教えてもらいました。


老師様に

『本当にお客様にこれでいいのですか?!タクアンとかもクタクタになった細いもので、、』

とか、

『おかずもこれでいいのですか?!味噌汁の具も今、畑にあるものだけですよ、、、』

など、何度も確認されたとか(^^;;


横田老師様は

『先方がこれがいいと言ってるんだ!』

とのやりとりがあったそうで、私としては理想の食事だったので、本当に嬉しかったです。

食べたら驚きの連続でした。

この配膳を見たら粗食に思われるかもしれませんが、発酵視点から見たら全てが本物でした。


食べながら教えてくださったのですが、まず梅干しの力強さに感動しました。

老師様は

『梅干しや味噌、タクアンも私たちが漬けています。ずっと受け継いでやってきたことなので、専門でもないし、梅干しもお寺の奥に自生している梅があり、それを漬けているだけなんですよ。

肥料もやっていないしね、こんな梅干しでいいのかどうか。」

と話してくださいましたが、野生の梅は店頭では滅多に手に入らなく、前に本で読んだことがあったことを思い出しました。

梅干しの梅は本来、自生、手入れをしていないようなものが美味しいが、最近はそのような梅の木を持っている知合いを探すくらいしかないと。

私も梅は銘柄のあるものか、大きさを競うようなものしか手に入らなく、野生はどのようなものかと想像していました。

昔、私が育った家にも梅の木がありました。
庭木の一つで、梅の実がなっていましたが、梅干しにする家ではなかったので、庭の鑑賞の一つでした。
やがて老木になり枯れてしまい、今だったらそれを漬けたいです。

円覚寺さんの梅干しを食べた時、いつもの違いに気がつきました。
野生、自生はこんなに力強いものなのかと。
同時に本に書いてあったことがやっとわかりました。


タクアンも樽で漬けてるとのことで、本格的なタクアンにこれまた大感動でした。

そして、味噌も作っているそうで、その美味しさはすぐにわかります。
出汁も昆布など優しい素材なのと、円覚寺内の畑で今ある野菜とシンプルな素材なだけに、味噌の味が引き立ちます。


数日前から胃が痛かったのが、その食事を食べたあと胃がスッキリとして、とても体調が良くなりました。


雲水さん、横田老師様も、普段はこのような食事でと話されていましたが、発酵の中でも質の高さ、修行の中の一つとしてされていたことに感動と、自分の未熟さを思いました。


円覚寺さん、横田老師様シリーズ続きます✨


皆さまにとって幸せを感じることがたくさんありますように*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*