私が麹を知るきっかけになったのは

百貨店の東北物産展の催事場でした。


6年ほど前だったでしょうか、

まだ6ヶ月ぐらいの赤ちゃんを抱っこして歩いていたら

日本酒を作っている杜氏の方が

「甘酒の試飲をどうぞ」と言われ

当時、甘酒といえばアルコールが入っているものしか知らなかったので

授乳しているかもしれない母親にすすめるのは失礼だな、と

少しムッとしてしまいました。


杜氏の方は


「これは米麹とお米だけを発酵させた

アルコールは入っていない甘酒です。

とても栄養の高いもので、子供からお年寄りまでおすすめしたいのです。

僕たちは普段お酒の樽の中をかき混ぜていると、夕方、終わる頃には

筋肉も疲労して動けないぐらいですが、帰る前にこの甘酒を飲むと

アミノ酸も含まれているおかげか、次の日に疲れが残らないんですよ。」


と紹介してくれました。


試飲してみると、とても甘くて飲みやすかったので

3月のひな祭りに白酒として使おうと、購入して帰りました。

子供のために買ったのに、なんだか私が飲みたくなり

ひな祭りを待たずに開けてしまいました。


当時、長年、過敏性大腸炎を患っていて

体調のいい日がなかったのですが、甘酒を飲んだら

なんだか体調がいいのを感じました。


だけど、それまでにいろんなことを試してきていたので

たまたまかも、とそんなに期待はしませんでしたが

次の日も体調がいいように思えました。


それから、麹を知りたいと思い、いろんな本を読んだり

調べていくうちに、酵素やアミラーゼを多く含むことや、

江戸時代では夏バテ防止・疲労回復に栄養ドリンクとして

甘酒を飲まれてたこと、点滴に匹敵するということ、

日本の調味料の醤油・味噌・みりん・酢・酒は

全て麹が元になっていること、

知れば知るほど日本人の体にあっているんじゃないかと思いました。


興味がわいたといっても、麹を見たことも聞いたこともありません。

とりあえずスーパーに行きまして、店員さんに聞いたら

「ありますよ!」とすぐに快い返事が。

いとも簡単に出会え、喜んだのもつかの間

初めて見た麹の感想は・・・


「ゲッ、カビ!!」


買うのをやめようかと思いました( ̄_ ̄ i)

以下、店員さんとの会話です↓↓↓



私:「こ、これは食べ物ですか?」


店:「でなきゃ、食料品売り場には置きませんよ~」


私:「このカビを食べるんですか?」


店:「ええ、皆さん買っていかれますよ」


私:「なんか胞子のような白い綿がフワフワと・・・」


店:「ええ、実は私も使ったことがありません」


私:「へ?!使ったことがない?!」


店:「めったに売れませんねぇ」



めったに売れないものを、私が扱えるか自信をなくしていた時

目の前に迷いもなく麹だけを買っていく、

おばあちゃんの姿がありました。


勇気をだして、おばあちゃんに何に使うのか聞いたら

甘酒とお漬物を作ると教えてくれました。

そして、その方も元気がでるよ、と言っていました。


帰ってから袋に書いてある通りの分量で甘酒を作りました。

まだ麹に慣れていない私は、触るのも勇気がいり、

今では考えられませんが、麹を手ですりあわせてほぐす作業を

ビニールの中でしたほどです。


しかし、出来上がった甘酒は魔法のように甘くて美味しい飲み物になり

麹という発酵の世界にどんどんひかれていきました。


何よりも、体調がいいのを実感したのです。


しかし、麹の良さを知ったのと同時に、日本の文化である麹が

少なくなってきていることに、危機感を覚えました。

直接、麹を作っている方に麹のことや、現状を教えてもらいたくて

当時、伊勢丹新宿店に初出店で来られた

大分県にある糀屋本店の浅利妙峰さんに出会いました。


次回に続きます。