先日、何年ぶりかで黒木瞳と役所広司の映画版の失楽園を観た。

公開当時、私の友人I君は私の職場までやって来て一緒にランチを食べ(ご馳走になった)から、有楽町の映画館へ「初日の舞台挨拶に黒木瞳学から行ってくる」と意気揚々と別れた。

夕方に、私の携帯電話にI君から電話があり、意気消沈した越で「晩ご飯付き合ってよ、銀座ですし奢るからさ・・・」と来た!!!

仕事が終わって待ち合わせをして寿司屋に行くと、カウンターに座り馴染みの女将と話をしてから熱燗で乾杯をした。

「いや〜、最初の滝のシーンを観たら、2人死んじゃうんじゃないかと思ってさ、最期心中だぜ!!!、このまま1人で千葉に帰ったら電車に飛び込みそうでさ・・・」という・・・

まあ、寿司をたらふく食べて飲んで、店を出ると「悪い、もう一軒行こうよ」と言うではないか。

まあ、悪友だし、付き合ってやるかと歩き出すと、酔っ払った女性二人が前からやって来た。

知り合いであった。

片方が振られたらしく、やけ酒であったようだ。

4人でバーへ行き、乾杯をすると振られた奴Kさんが、私の顔を見るなり「男何って最低よ、どうせ顔で選んでんだからさ!!!」と噛みついてきた。

因みにKさんは菅野美穂にそっくりの顔であった。

その時、Kさんの右手が行きなりI君の頬を叩いた(いい音がしたな)

「あんたも、此奴の友人なら女は顔なんだろう」と捨て台詞が来た!!!

I君は初めて女性に叩かれたらしく、未だにこの話題がでる・・・

 

さて、映画版失楽園を観て、今の率直な感想は、「黒木瞳に色気が無い」の一言である。

成熟期に入った女性のエロスが全くなく、宝塚の清純派が裸になりました〜の殻を壊し切れていないのが残念である。

観終わって一同「・・・」となり、口直しに大島渚監督の不朽の名作である"愛のコリーダ"をNetflixで観始めた・・・

私にとっての藤竜也は、中学生頃に観ていて刑事ドラマ"大追跡"の刑事であった。

大追跡は、横浜を舞台にした"遊撃捜査班"という札付きを集めた部署の話である。

班長は加山雄三で、刑事に藤竜也、沖雅也、柴田恭兵、長谷直美らで構成され、毎回面白かった記憶がある。

この面子では、流石の柴田恭兵も子供扱いされていた・・・

 

このドラマより愛のコリーダは古いのである。

この映画は昭和51年に公開されたが、当時相当なぼかしが入り、"検閲だ"と大島渚監督対当局のバトルが話題を呼んだ。

題材は"阿部定事件"を大島流の解釈で撮った名作である。

これを観たら、失楽園映画版は子供の観るものとなってしまう・・・

興味を持たれたら是非、Netflixで鑑賞してください。

出来れば連れ合いと・・・

 

そして、先日、TV版失楽園のDVDセットが届いて観たが、川島なお美さんと古谷一行が主演である。

なんでも、令和の世だとTVで放映できないらしく、再放送は無いとのことである。

昔から男性が興奮する女性を"一盗二婢三妓四妾五妻"という。

1番目は人妻、2番目は使用人(下女)、3番目は遊女、4番目は妾、5番目に妻といったし、永井荷風も"断腸亭日乗"にそう書いていている。

阿部定は下女であり、松原凛子は人妻である。

私は"一盗二婢三妓四妾五妻"余り考えたことがなく、ただその女性が魅力的かどうかである。

 

話を戻すと、川島なお美さんは、体当たりの演技をしていて、観ていて心地が良かった。

失楽園も愛のコリーダも"死"へ向かって行くのが共通点かも知れない。

ドラマを観ていて気が付いたのだが、男性も女性も本当に"身も心も"という相手には生涯で数人逢えるか逢えないかではないか?

月影千草的に言えば「魂の片割れ」であり、"マヤと真澄"であろうが、実際にあって身体を重ねると、確かに死に向かいそうな気がするのだ。

だからこそ、冷静な自分を心の片隅に置いておく必要があるのではないか?と思うのだ。

温泉旅行に行っても帰る日を決めるのは、冷静な自分達にもどる切っ掛けなのかも知れない・・・

もし、帰る日と決めずに二人で愛し合えば、それは"死"へ繋がる・・・

猿にオナニーを教えると、食事も採らずにひたすらやり続け死弱すると訊いたことがある。

 

しかし、男子にとって最高の死に方は腹上死だと思う(残された人は色々大変ですが・・・)。

この死すら厭わない男女関係って、金で買えないのだ。

だからこそ、素敵である。

 

色々考えさせられるドラマは、今は無くなったが、失楽園のTV版は一見の価値ありである。

 

それと、劇中で久木さんの仕事仲間が癌で亡くなるのだが、その時に「もう一度燃えるような恋がしたい!!!」と言うのが感慨深かった。

 

もし、私が好きな女性と夜逃げするなら、詰まり、誰も知り合いの居ない町へ行くとしたら、富良野だと思う。

何故富良野か?

何も"北の国から"に触発されたからではなく、夏は暑いし、冬は極寒の地で氷点下30℃にもなるというし、雪に埋まる地でもある。

二人で力を合わせねば死んでしまう地である。

だからこし、"愛"が続くのではないか?

男女がSEX以外にもやるべき事を分担してやらねば生きていけない環境って、素晴らしいと思う。

雪に閉ざされる2ヶ月余り、家の中は温かく、朝から晩まで二人で愛を語らうって、素敵に思う。

道民からは「北海道舐めてるの?」と言われるかも知れないが、心中するならやる価値はあると思う。

皆さんはどう思いますか?