ハーレーのことを"鐵馬"という。

アメリカ人にとって格好いい車と言えば、スーパーカーではなくピックアップトラックなのである。

かく言う私も、昔乗っていた。

この車は何処へ行っても、「いい車だね〜」と声を掛けられた。

フロリダの田舎町に住んでいた頃、一日に数回スコールが降ったのだが、この雨は正に日本で言う"ゲリラ豪雨"であり、国道が川となったが、この"アバランチ"(シボレーの人気車種)は、それを物ともせずにガンガンと走ってくれた。

それと、荷物を大量に積めることも人気の理由であるが、実はこれらの車は、アメリカ人の開拓者魂が宿っているのだ。

建国前や建国後のゴールドラッシュで、東部にいた人々は一路西へ向かった。

その時使った乗り物は"幌馬車"であり、ピックアップトラックは、幌馬車の進化型という訳である。

この写真はテキサス州なのだが、この光景が永遠と続いているのだ。

「あの地平線まで行けば町がある筈!!!」と自分に言い聞かせたが、地平線まで行けば、又同じ景色が続いているのだ。

テキサス州は最高速75mile(120km)なのだが、その速度で走っていて嫌になるのに、ここを幌馬車でしかも舗装路でない道なき道を行ったのである。

そして、昔の西部劇に出てきた馬乗りの馬が、バイクへとなったから鐵馬というのだ。

 

面白い記事を読んだが、アメリカでバイクのトラブルランキングなるものがあった。

日本車は10%有るか無いかだが、BMWは40%越で、ハーレーは20%台であった。

日本人の解説は、「ハーレーよりBMWの方が壊れ、苦情が多いのは意外だ」的であったが、これはハッキリ言って的外れである。

先ず、BMWだが、このバイクは全て専用コンピューターに繋がねばならないし、電飾すら「バイクのコンピューターが漏電と誤作動してエラーを出す恐れがある」と言われたことがある。

詰まり、自分で弄ることが先ず出来ないバイクなのである。

だから、「何か不具合が起きたら、ディラーに持ってきて」的スタンスなのだが、ハーレーは"壊れる"が前提であるから、"壊れたら自分らで直す"なのである。

日本と違い、アメリカの多くの家は自宅ガレージで、作業が出来るようになっている。

壊れたハーレーを仲間が集まり、ビールを飲みながら直したり、ドレスアップしたりするのが文化とも言える。

 

先日知り合いとバイク談義になった。

「BMWは楽でしょう?」という問いに、「そう」としか答えがないのだ。

恐らくホンダ車は、BMW以上に至れり尽くせりで、壊れないバイクだと思う・・・

 

しかし、人間とは我が儘でへんてこりんな生き物で、それでは満足できないのかもしれない・・・

今年の北海道ツーリングで、私はBMWで小樽港から稚内まで走った。

北海道の左側を走った感じであるが、その前のハーレーで稚内まで行った時の方が、達成感があったのだ。

詰まり、HONDAやBMWは、快適に走れて当たり前!!!

当然稚内に行けて不思議はないのだが、ハーレーは違う。

稚内のホテルの駐車場に止めたときに、ガソリンタンクをさすりながら「よく頑張ったな〜」と声を掛けてしまった。

そして、ハーレー以上に"頑張ったのは俺!!!"という気分になる。

 

アメリカ大陸を故障無しで初めて走ったバイクは、HONDAの初代ゴールドウイングであった。

私の住んでいるLAから大陸横断しようと思えば、南ルートの10号線か、ルート66のバイパスである40号線か、もっと北上して70号線かとなるが、第一の関門のロッキー山脈越がある。

そして、中西部の砂漠地帯だし、季節を間違えれば巨大竜巻に追われることになる。

数千㎞走って初めて大西洋を眺められるのだ。

ハーレーだったら、「山脈越え大丈夫か?」とか、コンボイ(巨大トラック)との争いに巻き込まれないか?とか心配が募ってしまう。

ハーレーでコンボイを抜き去ることは難し・・・(コンボイは速い。恐らく日本のトラックより速いと思う)

しかし、ホンダ車ならコンボイに絡まれたら、アクセル一ひねりでぶっちぎれてしまう。

 

まあ、私がデイトナビーチからサンタモニカビーチまで、アバランチで大陸横断したけど、見慣れたサンタモニカビーチから海を眺めたとき言いようのない達成感はあった・・・

車であるのだから、バイクは更に有ると思うし、それがハーレーだったら更に「お前も頑張ったが、それ以上に凄いぞ俺!!!」となるであろう・・・

 

先日、ハーレー仲間と奥多摩から柳沢峠を抜けて塩山まで走った。

ハーレーの尾灯を交換して初めての走りであったが、走り始めて後悔した・・・

何故か?

クラッチが重い!!!!

クラッチはバイクのハンドルの左側に付いている。

自転車で言えば後輪ブレーキのレバーである。

ハーレーは人差し指から小指まで使って、クラッチを操作するが、これが重いのだ・・・

300㎞ツーリングなら何とかなるが、400㎞超えると痺れてくる・・・

因みにBMWのGSAは、左の人差し指一本で操作できる・・・

 

これだけでも如何にハーレーって、頑張って乗る物だがお分かりだともう。

その頑張りは、正に"人馬一体"なのである。

 

それがハーレー唯一であり最大の魅力であると私は思っている。