前回「名君、忠臣並び立たず」と書いたが、その意味は、名君の元では、家臣も民も平和と豊かさを享受できるから、誰でも臣下として忠節を尽くせるのであるが、一点、暴君(若しくは馬鹿殿)であった場合、皆戦々恐々となる。
そして、皆の心が暴君から離れてしまう。
そして、主君のために本当に滅私奉公に徹することの出来る者が忠臣と呼ばれるのである。
この場合、どう見ても浅野内匠頭は典型的な馬鹿殿様である。故に、大石内蔵助は忠臣となるのである。
先ず、昔のことを考えるのが難しい人のために、現代に置き換えて考えてみよう。
彼方は、社長から直接、会社の社運が掛かった取引があるので、その相手を接待しろと命じられる。
彼方の補佐役として、2名付けられた。
一人は、彼方に敬意を払い、礼儀正しい伊達君である。
もう一人は、人付き合いの苦手だが、仕事は黙々とこなす浅野君である。
伊達君は、彼方に「何事も宜しくお引き回しの程を」と言って、高価なお歳暮を贈ってきた。
それに引き替え「接待は、社長に言われた業務だから、別に贈り物などする必要も無い。吉良課長は、我々に接待のしかたを教えるのが仕事だ」と浅野君は彼方に「よろしくお願いします」のみ言っただけだ。
さあ、彼方だったら、どちらに親切にしますか?
そこで、今度は彼方の立場になって考えてみよう。
先ず、社長直々に任命された仕事で、絶対に失敗は許されない。
そこで、大口取引の相手方を接待するわけだが、その方法等を彼方の部下に、恥をかかせてやろうと、わざと失敗するようなことを言うであろうか?
「吉良課長、今伊達主任から聞いたのですが、伊達主任は、ホテルオークラのスイートを予約したらしいのですが、私の方は帝国ホテルのスイートを取らなくて良いのですか?」と浅野係長に尋ねられたとする。
そこで、彼方は「良いんだよ。東急インのシングルを5部屋で十分だ」と言えるであろうか?
ここで、相手が怒ったら、契約が潰れ、会社はダメージを受ける。
「社長、浅野が勝手に帝国ホテルをキャンセルしたんです。全ては浅野責任です」
と言って、社長は「吉良課長、確かに、君の責任では無いな
、浅野係長を首にしろ」
と成るであろうか?
当然であるが「馬鹿者!!! 何のためにお前を責任者にしたのだ?部下の不始末はお前の責任だ」となると思うが・・・
江戸時代は、今の腑抜けた政府と違って、責任の所在ははっきりしたに違いないし、上様の顔に泥を塗ったとなれば、当然切腹であろう。
そんな馬鹿げたリスクを、吉良上野介が犯すであろうか?
松の廊下までのエピソードは、やはり面白可笑しく作った話であろう。
と、言うより、後半の吉良邸討ち入りを正当化するために、戯作者が創作した話である。
つづく
そして、皆の心が暴君から離れてしまう。
そして、主君のために本当に滅私奉公に徹することの出来る者が忠臣と呼ばれるのである。
この場合、どう見ても浅野内匠頭は典型的な馬鹿殿様である。故に、大石内蔵助は忠臣となるのである。
先ず、昔のことを考えるのが難しい人のために、現代に置き換えて考えてみよう。
彼方は、社長から直接、会社の社運が掛かった取引があるので、その相手を接待しろと命じられる。
彼方の補佐役として、2名付けられた。
一人は、彼方に敬意を払い、礼儀正しい伊達君である。
もう一人は、人付き合いの苦手だが、仕事は黙々とこなす浅野君である。
伊達君は、彼方に「何事も宜しくお引き回しの程を」と言って、高価なお歳暮を贈ってきた。
それに引き替え「接待は、社長に言われた業務だから、別に贈り物などする必要も無い。吉良課長は、我々に接待のしかたを教えるのが仕事だ」と浅野君は彼方に「よろしくお願いします」のみ言っただけだ。
さあ、彼方だったら、どちらに親切にしますか?
そこで、今度は彼方の立場になって考えてみよう。
先ず、社長直々に任命された仕事で、絶対に失敗は許されない。
そこで、大口取引の相手方を接待するわけだが、その方法等を彼方の部下に、恥をかかせてやろうと、わざと失敗するようなことを言うであろうか?
「吉良課長、今伊達主任から聞いたのですが、伊達主任は、ホテルオークラのスイートを予約したらしいのですが、私の方は帝国ホテルのスイートを取らなくて良いのですか?」と浅野係長に尋ねられたとする。
そこで、彼方は「良いんだよ。東急インのシングルを5部屋で十分だ」と言えるであろうか?
ここで、相手が怒ったら、契約が潰れ、会社はダメージを受ける。
「社長、浅野が勝手に帝国ホテルをキャンセルしたんです。全ては浅野責任です」
と言って、社長は「吉良課長、確かに、君の責任では無いな
、浅野係長を首にしろ」
と成るであろうか?
当然であるが「馬鹿者!!! 何のためにお前を責任者にしたのだ?部下の不始末はお前の責任だ」となると思うが・・・
江戸時代は、今の腑抜けた政府と違って、責任の所在ははっきりしたに違いないし、上様の顔に泥を塗ったとなれば、当然切腹であろう。
そんな馬鹿げたリスクを、吉良上野介が犯すであろうか?
松の廊下までのエピソードは、やはり面白可笑しく作った話であろう。
と、言うより、後半の吉良邸討ち入りを正当化するために、戯作者が創作した話である。
つづく