

「百寺巡礼」の第54番は六波羅密寺です。 963年醍醐天皇第二皇子の空也上人により開創された六波羅密寺は、当初天台宗別院として栄えたものの、その後真言宗智山派の寺院となり、また西国三十三箇所霊場の第17番札所でもあります。 六波羅密とは、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の六つの修行により悟りの世界に到ることです。 平安時代、この付近には鳥辺野と呼ばれる葬送地があり、また平家興隆後この辺り一帯は平家一門の屋敷が5200余り建ち並び、六波羅と言えば平家一門を指す言葉となりました。
最初の写真は、室町時代に再建され、中世密教の形式を伝えている本堂です。 この堂内には、空也上人が自ら刻んだと言われる本尊の国宝・十一面観音立像が安置されています。 次は弁財天です。 また、宝物館には、口から6体(南・無・阿・弥・陀・仏)の阿弥陀仏を、吐き出していることで有名な運慶の四男康勝作の空也上人立像、運慶作の地蔵菩薩坐像、平清盛座像などが展示されています。 空也上人は、諸国を遍歴して修行を重ね、森羅万象に生命を感じ、踊りながら「六斉念仏」を唱え、疫病を退治したことでも有名です。 人々は空也上人を親しみを込めて「市の聖」と呼び慣わしました。 この六波羅密寺の年中行事として、1月の無病息災に効く皇服茶、8月の萬燈会での精霊の送り迎え、12月の空也踊躍念仏が有名です。 (2007年3/04撮影)