カインの冒険日記 -197ページ目

カインの冒険日記

ページをめくれば、そこには物語がある。

      読むドラゴンクエストの世界へようこそ。

「かいんよ!我が生贄の祭壇へよくぞ来た!」
最後の敵。大魔王ゾーマ。悪の根源。
「我こそはすべてを滅ぼす者。すべての命を我が生贄とし、絶望で世界を覆い尽くしてやろう!」
そんなゾーマに、
もう言葉は要らない、と、かいんは剣を構える。
その剣は!ゾーマはビクリとした。
心当たりがあるのだろう。
なにせ、剣を粉々にした張本人なのだ。
まさか剣を携えた者が来るなど、
思いもしないことである。
すべてを滅ぼしたつもりだったのに、
剣を滅ぼし損ねたゾーマ。
しかしゾーマは、
この剣がいかなる経緯でここに完成したかを知らない。

剣に脅えたかどうか、
ゾーマは自らが戦おうとはせず、
しもべを呼びだした。
どうした!臆したか、ゾーマ!
かいんはそう叫んだが、
考えてみれば、生贄の命を奪うのに、
自分で行動したりしないだろうから、
しもべにやらせるのは当然のような気もする。
それに、
しもべがいるのに、
大魔王が自らが立ちはだかるのも妙といえば妙。
かいんは、
それもそうだ、と思いながら、
引き下がるゾーマを追わず、
しもべの登場を待った。
順番なんて関係ない。
僕がすべての敵を倒せばいいんだ。

第1のしもべは、
オルテガのカタキ、キングヒドラだった。
しかし、カタキのことはもうどうだっていい。
父を殺されて憎いわけではない。
父が届かなかった手の先を僕が掴む。
だから僕は戦うんだ。
かいんはキングヒドラに剣を向ける。
そのかいんにバイキルトをかけるいぶ。
そのいぶにバイキルトをかけるあだむ。
そして剣を振るかいん。
そして爪を突き出すいぶ。
あのさ、とかいん。
今のバイキルトのかけ方ってなに?と、かいん。
あだむが僕にかけて、いぶが自分にかければいいんじゃないの?
それは、ほら、素早さの関係で、
お前が俺より先に動くといけないから、とあだむ。
いぶが最初に動いてバイキルトするだろ?
次に俺が動けばそれでもいいし、
お前が先に動いたとしてもバイキルトは有効だろ。
いぶの攻撃は次のターンなんだから、
俺がゆっくりバイキルトしても間に合うわけさ。
でも、あだむ、とかいん。
今の君は星降る腕輪を装備して、
僕よりずっと速いじゃないか。
それもそうだなと、あだむ。
じゃあ、今度からはクロスバイキルトはやめて、
いぶは自分にかけるようにしたほうがよさそうだな。
ちょっと待って、といぶ。
理論的にはそれでもいいのだけど、
それじゃ私が戦いの中で独立してるみたいじゃない?
なんてゆうかー、
私も仲間に入れてほしい?みたいな?
協力し合ってるカンジが楽しい?みたいな?
いぶ、君なんか話し方変わってないか?と、かいん。
それに、楽しい戦いじゃないんだけどなぁ。
まあ、でもそれでもいいや。
とりあえず、父さんのカタキは討てたしね。
楽しい雑談の間に、
キングヒドラはぐったりと動かなくなっていた。

むむむ!
なんだ、あいつらは!
もう少し真面目に戦えんのか!と、ゾーマ。
雑談しながら我がしもべを倒してしまったではないか!
次じゃ!次のしもべよ出でよ!
どっちだ?どっちが出るんだ!
ブロス、ゾンビ、ハッキリしろ!
ブロス!ゾンビの後だとはらわたが残ってないかもしれんぞ!
お前先に行け!
そしてバラモスの弟っぽいバラモスブロスが現れた。

ぎょえー!
というのはバラモスブロスの断末魔。
ふがー!
というのはバラモスゾンビの断末魔。
ゾーマはあっという間に孤独になってしまった。
「かいんよ!なにゆえもがき生きるのか?」
まるで最初からこうなることがわかっていたかのようなフリで、
ゾーマは言った。
「滅びこそ我が喜び。死にゆく者こそ美しい。さあ我が腕の中で息絶えるのだ!」
滅びの美学。
死を迎えた者の美しさ。
ゾーマは美しかった。
喜んだかどうかはわからない。
とりあえず、自分の美学を自分で達成したことだけは確かだ。
竜の女王から譲り受けたの光の玉は、
ゾーマのきらびやかな闇の衣を奪い去り、
闇の衣より闇色の体をむき出しにさせた。
ゾーマは強かったが、バラモスほどではなかった。
ゾーマのマヒャドは確かに強かったが、
バラモスのイオナズンほどではなかった。
ゾーマの攻撃は確かに強かったが、
バラモスのメラゾーマほどではなかった。
ゾーマの吹雪は確かに強かったが、
バラモスの炎ほどではなかった。
ゾーマの体は堅かったが、
ルカニであっという間に軟体になった。
しかも、今のかいんたちには、
ギガデインもベホマズンもフバーハも賢者の石もある。
一丸となったかいんたちのクロスバイキルト作戦に、
立ち向かえようはずもなかった。
ゾーマは美しく言った。
「よくぞわしを倒した。だが光ある限り闇もまたある。」
美学を完遂したゾーマは、確かに嬉しそうだった。
「わしには見えるのだ。再び何者かが闇から現れよう。だがそのときお前は年老いて生きてはいまい。わははは・・ぐはは・・ゲホっ・・ゴホっ・・ぐぶっ!」
咳き込んだのか絶命したのかよくわからないまま、
ゾーマは散った。

ゾーマが散ると、ゾーマの開けた次元の大穴も閉じる。
かいんたちは、すべてを拒まれ、ゾーマ城から吐き出された。
それを最後に、大穴は閉じた。
ついでにルビスの作ったギアガの大穴も閉じていた。
閉じるや否や朝が来た。
よくわからないので、
太陽を次元の大穴の向こう側に持って行っていたのに、
ゾーマが斃れたから戻ってきたのかな、
とかいんは思うことにした。
大穴の向こうは太陽預かり所だったのだ、たぶん。

こうして、
アレフガルドには朝が来て、世界には平和がもたらされた。
かいんが町を巡ると、
人々は勇者かいんばんざい、と手を上げて喜んだ。
しかし、かいんはその度に訂正して歩いた。
本当の勇者は僕なんかじゃない。
真の勇者はオルテガだ、と。
僕には仲間がいたけど、父さんにはいなかった。
父さんはひとりでも、船がなくても、虹の雫がなくても、
そんなことは全部勇気で乗り越えた。
父さんが届かなかった手の先を僕は掴んだけど、
それは父さんを越えたわけでもなんでもない。
僕はただバトンを受け取っただけだ。
僕がアンカーだっただけだ。
父さんは、アンカーに手渡すまで、
ずっとずっとバトンを握り続けてきた。
ずっとずっと走り続けてきた。
僕は父さんの後ろからついて行っただけなんだ。
父さんの足跡を追っただけなんだ。
だから、この世界に平和が戻ったとすれば、
それは僕の力じゃない。
父オルテガの力なんだ。
かいんは、会う人会う人にそう言い続けた。
ラダトームに戻ると、王が、
かいん、という名を勇者の称号にすると言うので、
かいんはそれを辞退した。
称号を作るのなら、オルテガの名こそがふさわしい、
かいんはそう思っているからである。
ならばこういうのはどうか、とラダトーム王。
そう言ったまま下を向いてぶつぶつ独り言を言っていた。
王の独り言に耳を傾けると、
オルテガとか、オロトガとか、オロトとか言っていた。
そして急に閃いたように、
「よし!ロトにしよう!勇者ロトの称号を授けよう!」
と嬉しそうにかいんに言った。

王の間を退室したかいんは、
装備品を置いてラダトームを出た。
かいんには、ゾーマの最期の言葉が気になっていた。
再び闇から現れる何者か。
その時のために、
僕は勇者オルテガの血を伝えなければならない。
ロトの子孫を残すこと。
今はっきりとわかった。
これこそが、僕の使命だったんだ。
父さんから預かったバトン、
僕も次の代に受け継ぐよ。
かいんは勇者としての姿を捨て、
人目をはばかるように町を出た。
そして、
人知れず、かいんの冒険は幕を閉じた。





キャスト

かいん(勇者・男):レベル43、HP386、MP154
力142、素早さ97、体力184、賢さ84、運の良さ98、攻撃力262、守備力198
父オルテガを尊敬するが故に、オルテガの死の報を疑い、独自の調査の末、ついに報の誤りを確かめ、オルテガとの再会を果たす。カンダタにはよく騙され、真面目すぎる性格が祟って見当違いの推理を展開し続けることも。

いぶ(武闘家・女):レベル41、HP326、MP47
力192、素早さ195、体力152、賢53、運の良さ152、攻撃力222、守備力137
世間知らずのおてんば魔法使いとしての立ち位置から一転、転職後は前衛で攻撃に魔法に広く活躍した。金銭感覚は世間知らずのままで、右ストレートが驚異的。

あだむ(賢者・男):レベル39、HP259、MP158
力87、素早さ186、体力142、賢さ92、運の良さ76、攻撃力152、守備力179
実戦経験がないのに歴戦の戦士を装ってかいんの仲間になる。しかしその見栄っ張りな性格よりも、むしろ知性に対してコンプレックスを持っていて、賢者に転職するも、生来の実力は如何ともしがたく、賢さは伸びなかった。ただ、それよりも包容な性格で、かいんを諌めたり慰めたりすることで存在感を発揮した。

あべる
商人としての道を探るためにかいんとともに旅立つ。少しずつ商才を学び、やがて町づくりのためにひとり立ちし、かいんとの冒険からスピンオフ。町づくりが成功した後、かいんたちのために私財を投げ売ってオーブを手に入れるが、不幸なクーデターによって投獄される。いまでも4人目の仲間はあべるだと、かいんに言われる。





後の歴史書には、かいんの冒険の結末はこう書かれていた。


かくしてロトの称号を受けたかいんは、
ここアレフガルドの英雄となる
彼が残した武器防具は、
ロトの剣、ロトの鎧、ロトの盾として受け継がれた

その後、誰もかいんの姿を見た者はいない

そして伝説が始まった






To be continued to ドラゴンクエスト1









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