カインの冒険日記 -192ページ目

カインの冒険日記

ページをめくれば、そこには物語がある。

      読むドラゴンクエストの世界へようこそ。

マイラから毒の沼地の洞窟を抜けて南。
リムルダールの町はそこにあった。
やれぱふぱふ50ゴールドだとか、
やれ彼女と待ち合わせをしているいるとか、
待ち合わせの恋人は場所を間違えているとか、
その恋人が、ちゅん様遅いわ、ぷんぷんと怒っているとか、
この町は俗な事情にまみれていた。
けっ!有象無象の輩たちがっ!
かいんはいきなり毒づいた。

一方で、
ロトは西のはずれに虹をかけたのだとか、
南に聖なる祠があるのだとか、
重要な情報を教えてくれる者もいた。
しかし、かいんがそこに向かおうとすると、
恐ろしい魔物たちがかいんに襲い掛かる。
リカントのツメと牙はかいんに11ものダメージを与え、
かいんが逃げ出すのを4ターンも許さなかった。
赤いローブの魔道士は、
身構えるよりも速くラリホーを唱え、
かいんが眠っている間に3発ものギラを見舞った。
鉄のサソリなど、見るからに堅そうで、
かいんは、自分の銅の剣とサソリを見比べて、
何もせずにそそくさと逃げ出した。
くそっ!
魔物が強くてどこにも行けないじゃないか!
誰だ、西とか南とか言った奴は!
無駄な労力使わせやがって!
かいんはまた毒づいた。


一度到達したはいいが、
リムルダールの魔物たちに恐れをなしたかいんは、
結局、いま来た沼地の洞窟を戻って、
すごすごとマイラへと引き返そうとする。
しかし、
暗い洞窟、
行きと帰りでは、どうも勝手が違う。
かいんは、洞窟の中で迷って右往左往しているうちに、
ドラゴンに遭遇した。
たった今リカントの攻撃に脅えて逃げてきたばかりのかいんだが、
ドラゴンのツメと牙はリカントどころのものではなかった。
ドラゴンは1撃でかいんに35ものダメージを与え、
一方のかいんの剣は、
堅いドラゴンの鱗に阻まれて1のダメージも与えられない。
くそっ!
こんなところに不釣り合いに強い奴が出しゃばるんじゃねえ!
空気読め、バカ竜!
おまえなんかと誰が戦ってやるか!
かいんは一目散に逃げ出そうとしたが、
竜が吐く炎に追いつかれて、
結局炎上することとなった。
気がつくと、
かいんはラダトーム王の御前に膝をついていた。
「死んでしまうとは何事だ。」と王が言う。
バカ王!
俺に説教するんじゃねえ!
おまえが戦いやがれ!


気が収まらないかいんは、
いくつかの作戦を考えた。
剣が通じなくてもギラがある。
ツメが強力でもラリホーがある。
ギラ、ラリホー、ギラ、ラリホー、ギラリホー。
かいんはぶつぶつと言いながら、
沼地の洞窟へとまた踏み込んだ。
その途中、
マイラの村でさり気なく鉄の斧も買っていた。
作戦はギラリホーだけど一応ね、一応。
誰にともなくそう言って、
かいんはドラゴンとの2度目の対峙を迎えた。

死ね!ドラゴン!
と言って、かいんは出会い頭にラリホーを唱えた。
この斧を喰らえ!
と言って、かいんはギラを唱えた。
その首落としてやる!
と言って、またラリホーを唱えた。
この切れ味の餌食となれ!
と言って、2度目のギラを唱えた。
掛け声と呪文がちぐはぐなかいんであったが、
作戦自体は功を奏し、
ドラゴンはなかなか目を覚まさない。
それもそのはず。
勇気のない勇者のかいんは、
ドラゴンが目覚めるより前からラリホーを唱えている。
起きたら嫌だし。
ツメとか痛いし。
炎とか熱いし。
顔とか怖いし。
あれとかこれとか言いながら、
買い立ての斧の切れ味も試してみる。
銅の剣と違って1のダメージを与えた。
それ以降、かいんが斧を振るうことはなく、
ギラリホー、ギラリホーとなった。
かいんの声が洞窟内に響いて、
「ギラリホー!」というこだまが聞こえるのではないかと、
考えるほどの余裕がかいんにはあった。
結局ドラゴンは、最後まで目覚めなかった。
トドメだ!と言ってラリホーを唱え、
永遠に眠らせてやる!と言ってギラを唱えた。
その呪文でドラゴンは息を引き取り、
最後の掛け声だけが、
正しい意味として成立した。


しかし、なぜこんなところにドラゴンが?
と、考えを巡らせるかいん。
ガライの町での情報を思い出した。
ローラ姫をさらった魔物は東へと飛び立ち、
姫は洞窟の奥に閉じ込められた、と。
そうか!わかった!
ローラ姫をさらったのが、このドラゴンなのだ!
ということは!
かいんは、洞窟をさらに奥へと進んだ。
ローラ姫!
そう叫ぶかいんの声は、
無情にも魔法の扉によって阻まれた。
ガチャガチャとドアノブを回すも、
扉は開かない。
くそ!
ドラゴンのくせに施錠なんかすんじゃねえ!
そしてかいんは、
賢いドラゴンを「バカかっ!」と罵って扉を蹴り、
マイラ方面へと洞窟を抜けた。


洞窟を抜けると、
かいんを死へと誘う前に紫の景色が広がっていた。
毒の沼地。
ドラゴンとの戦いで、
HPもMPもなくなっていたかいんには、
もはやその沼を越える術が残っていなかった。
無念。
かいんは、じゃぶじゃぶと毒の沼へと入り、
ぶくぶくと沈んだ。
気がつくと、ラダトームの王の前にいた。
目覚めたかいんに王が言う。
「死んでしまうとは何事だ。」

かいんの持つ斧がギラリと光ったと言う。





かいん:レベル8
鉄の斧、鎖帷子、皮の盾
どさおぞで よべつににごね ふみやりぐ さねわ





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