カインの冒険日記 -185ページ目

カインの冒険日記

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竜王の鱗は鋼のように堅いという。
竜王の体を貫ける剣がこの世にはあるのか?
という疑問を口にする者もいる。
しかし、かいんは楽観視していた。
鋼を貫くのは鋼でいんじゃね?
て言うか、
俺の鎧は魔法の鎧だし、
鋼の鎧と同格の堅さなんだから、
俺と竜王の堅さって、もう同じじゃん?
俺の剣は、
鋼の剣よりも格上の炎の剣。
鋼より格上の剣と、鋼と同格の鎧の俺って、
すでに竜王より強いんじゃね?

一方で、
ロトの剣は鋼をも打ち砕くことができる、
とも言われている。
しかし、
その昔、
鋼をも打ち砕くはずのロトの剣は、
ときの大魔王によって粉々に打ち砕かれたとも聞く。
粉々にしすぎて、
馬がエサと一緒に食べてしまったぐらいだと聞く。
そして、
その、ロトの剣を粉々にした大魔王は、
後の災厄を予言した、らしい。
勇者ロトの血族は、
その災厄を防ぐ番人として血を引き継がれている、
と、俺は聞いている。
大魔王の予言が現実のものになったとき、
俺たち、ロトの血族が、
それを防ぐという役割があるのだ、
と、バカ父オルテガが言っていたのを思い出した。
とするならば、
ロトの剣を粉々に砕いた大魔王が、
災厄として予言した竜王の実力とはいかばかりか。
かいんの頭の中に不等式が出来上がっていた。
鋼<ロトの剣<大魔王<竜王
この不等式を考えると、
俺の炎の剣は、鋼とロトの剣の間に入る。
なんだ!?
これでは竜王には全く届かないじゃないか!
かいんは、
さっきの楽観視から、
急に悲観的気分になった。


さて、楽観的悲観者かいんは、
ローラ姫を抱えて、
またラダトームに戻って来ていた。
ロトの印を手に入れたのだ。
もはや、誰も俺が勇者であることを否定できない。
疑うこともできない。
ロトの血族であり、勇者の証を持っていて、
しかも、今ローラ姫と同行している。
どんなに物知らずな新参兵士であっても、
俺をラダトームから追い出すなど出来ようはずもない。

そう思ったかいんは、
久しぶりにラダトーム城へと入り、
こういう者だ、と言うようにロトの印を提示した。
しかし、新参すぎる兵士には、
こういう者だろうがどういう者だろうが、
頑として入城を拒む。どころか追い出す。
くそー!
バカ兵士!!
ロトの印があって、ローラ姫がいて、
俺がロトの子孫であるというのに、
これ以上俺に何が足りないと言うんだ!?
どういう理由で入城できないんだ!?
その答えを
かいんは、だいたいわかっている。
呪われているから、である。


そんな折りに、
かいんとローラ姫は、ラダトームの町で、
ある老人と出会うこととなった。
呪いを解くチカラがある、というのである。
しかし、
もはや、ここまで拒まれて、
こちらから呪いを解いて城に入れてもらう気など、
かいんのほうにも、さらさら無い。
王のほうから出向いて頭を下げるのならともかく。

ところが、
そんな気がさらさら無いかいんが何も答えるより前に、
短気な老人は、すでに解呪してしまっていた。
かいんの体から呪いのベルトは外れ、
2本あったベルトが、なぜか1本になっていた。
くそ!
ドサクサに紛れて1本盗みやがったな、ジジイ!
もうろくジジイ4め!


解呪のおかげで、
晴れてラダトーム城へと凱旋できたかいん。
新参兵士の前を通りながら、
指で片目を下に引きながら舌を出した。
バーカバーカ!
入ってしまえばこっちのものだ!
もうお前なんて怖くないもんねー!
と、子供みたいな態度を取るかいん。
新参兵士の前を通り過ぎた後に、
また呪いのベルトを装備した。
どうやら、ベルトが気に入ってしまっている様子。
ジジイ4に奪われたせいで、
2重掛けは出来なくなってしまってはいたが。


かいんは、
ラダトーム王の前へと進み、
ここではじめて、
ラダトーム王とローラ姫は対面することになった。
それもそのはず。
俺が死ぬたびに竜王はローラ姫を捕えていたんだ。
ラダトーム王がそのことを知るはずもない。

かいんは、
久しぶりにラダトーム王に復活の呪文を聞いた。

あずるはご はこへはひかぼ するうさあ へれり

いつもながら、
この王の呪文は意味がわからない。


父王と対面したのも久しぶりなら、
父王の隣りに着座したのも久しぶり。
ローラ姫は、久しぶりの座り心地を噛みしめながら、
かいんに言う。
「かいん様はローラのことを想ってくださいますか?」

フンっ!
誰がお前なんかのことなど想うか!
かいんの答えは、当然「いいえ」。
「そんな、ひどい。」と言うローラ姫。
そんな視線を向けても無駄だ。「いいえ」と、かいん。
何度拒否しても、
ローラ姫は諦めなかった。
いや、諦めない、とかじゃない。
いつの間にか兵士たちが集まって来て、
かいん!かいん!と手拍子を打っている。
言ーえ!言ーえ!という妙な空気。
くそ!
最初からこれが狙いだったのか、ローラめ!

「はい」と答えたかいんは、
何故か顔を赤らめていた。
「うれしゅうございます!ぽっ!」
と言うローラ姫に、
赤ら顔のかいんはプイッとそっぽを向く。
なんだこれは!?
まるで、バカローラが天然で、
俺がツンデレみたいじゃないか!
変な空気にすんな!バカ!
そう思いながらまたローラ姫をチラ見すると、
「ウフフ、ローラだよ。ぷー。あははー。」
と言いそうな顔をしてOKサインで頬をつまんでいる。
くそ!
自分から天然をアピールするような、
ワザとらしい仕草をしやがって!
もう知らん!

と、足を踏み出すかいん。
城を出る前に、新参兵士の前を通ったら、
新参者がニヤニヤしながら話しかけてきた。
ホントは悪い気がしてないくせに、とか、
顔が赤くなってますよ、とか、
そんな下世話な話をするのかと思ったら、
新参者はこう言った。
「呪われし者よ、出て行け!」
そうだった。
またベルトを装備したんだった。忘れていた。
しっかりしてんな!新参者!


ところで、
ローラ姫が城に戻ったときに、
「王女の愛」というものを
かいんは受け取っていた。
王女の愛に話しかけると、
「私のいるお城は南に12、東に33の方向です。」
などと言う。
今更GPSか!
なんで一緒にいるときに使わないんだ!
ゼロ点合わせしただろうが!バカヤロー!
そんなかいんの心情などつゆ知らず、
「かいん様をお慕い申しております。」
などと言って、勝手に通信を切った。
フン!使えない王女だ!
いつも1手遅いんだよ!


ぶつぶつとつぶやきながら歩くかいん。
進む先はドムドーラ。
ロトの騎士にやられっぱなしなのは気分が悪い。
かいんは、
ゆきのふの店の裏の木の前まで、
ロトの騎士との再対決に来ていた。
作戦はもう決まっている。
スターを倒したのと同じラリホーン作戦だ。
マホトーンで封じねば、
前回と同じくラリホーで眠らされてしまう。
しかし、
マホトーンを黙って使わせてくれないかもしれない。
だから、その前にラリホーだ。
スターのときと全く同じ作戦。
で、挑んだものの、
悪魔の騎士は眠らなかった。
2度目のラリホーも失敗し、
これはいかん、と焦ったかいんは、
眠ってもいない悪魔の騎士に、
マホトーンを唱えてしまう。
ところが、これもまた効果を発揮しない。
あわわ、とおののくかいん。
もうダメだー!
と、一目散の脱兎となった。

待て待て!
今のは引き分けだ!
俺は死んだわけじゃない、戦いが中断しただけだ!
勝負がついたわけじゃない!
脱兎の言い訳が終わったところで、
第2戦が始まった。

第2戦では、
最初のマホトーンが効いた。
不思議なもので、
マホトーンされてしまうと、
余計呪文を使いたくなってしまうらしい。
悪魔の騎士は、
封じられたままのラリホーを唱え続け、
かいんは先の苦戦とは裏腹な展開で、
簡単に勝利を手にした。
フン。
それ見ろ。
俺のほうが強いんだ。
さっきのは引き分けだから、
俺の1勝1引き分けだ。
以前1度倒されていたことは、
かいんの記憶にはもう微塵も残ってはいなかった。

悪魔の騎士亡き後、
かいんは、
騎士の亡骸から鎧を脱がせて着込もうとした。
この鎧がロトの鎧だと考えていたのだ。
そして、どうにもサイズが合わないことを気にして、
一応木の根元を掘り起こしたところ、
別の、もっとイイ感じ鎧が埋まっていたので、
そっちの、発掘の鎧を着て、その場を後にした。
代わりに、
さっきまで着ていた魔法の鎧を
今掘った穴に埋めておいた。


ロトの鎧の強さときたら舌を巻くものがあった。
沼地の毒を弾き、
かいんが毒に侵されることがなくなった。
鎧の騎士のマホトーンも効かなくなり、
3回連続でマホトーンを使い続けた騎士は、
かいんに何をすることもできずに、
ただ砂漠の塵となった。
メタルスライムのギラも、
今やかいんには2のダメージしか与えられなくなった。

そんなかいんの前に立ちはだかったのはメイジキメラ。
まだ追尾して来ていたのか、維新のキメラよ。
と、強気のかいん。
このロトの鎧を纏った俺に、
お前の呪文など通用しない。
だから、お前ごときにマホトーンなど使わない。
さあ、効かぬと知って、それでも使うがよい。
どうせそれしか出来ないのだろう?
ラリホーだけしか出来ないのだろう?
むにゃむにゃと寝言をつぶやくかいんは、
5ターンも眠り続け、
5回もクチバシで突かれ、
気がつけば、また王の御前にひざをついていた。


くそ!
全く効かないと油断したぜ。
と、少し過信していたかいんは、
気を改めた。

まあ、いいさ。
俺が死んでも、
もうローラ姫が竜王の手に渡ることもない。
別に姫の心配をしているわけじゃないが、
もう1度助けに行けと言われたら面倒だ。
しかし、
また城に戻ってきたら、
バカローラに、
「お慕いしている」などと、
どちらにしろ面倒なことを言われそうだ。
そう思っているかいんに、
ラダトーム王が言った。
「呪われておるではないか。出て行け!」
かいんは、また追放された。


バッキャロー!
て言うか、
それ見て黙ってるんじゃねーよ、ローラ!
なんか言えよ!
「呪われていても、私を助けてくれたので、お父様そこをなんとか!」
とか言わないのか!

ロトの鎧に身を包みながら憤るかいん。
しかし、すぐにフンと鼻を鳴らした。
あー、いや、
別にローラに助けてほしかったわけじゃない。
フン。
あんな奴はどうでもいい。

そう思いながらラダトームを後にするかいんだが、
炎の剣と鉄の盾が、いやに軽く感じる。
そうか、いつもローラ姫を抱えていたからか。
まぁ別に構わないさ。
ローラと一緒にいたいわけでもなんでもない。
俺はツンデレでもなんでもない。
だ、だから、
ひとりだからって寂しくなんてないんだからねッ!




かいん:レベル16
炎の剣、ロトの鎧、鉄の盾
重要アイテム:虹の雫、妖精の笛、ロトの印





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