満を持して虹の橋を渡り、
ついに竜王の魔の島へと足を踏み入れた。
と、
すぐにメイジキメラが立ちはだかる。
そして、かいんが身構えるよりも早くラリホーを唱え、
また6ターンも眠り続けてしまった。
目が覚めると、
「呪われている!出て行け!」
というラダトーム王の罵声によってまたまた城を出された。
くそ!
たまには「昨夜はよくおやすみでしたね。」ぐらい言え!バカ王!
よく寝たはずなのに、
HPが1というのはどういうことだ!
しかし、どういうわけか、
ロトの鎧を着てからというもの、
マホトーンは効かなくなったが、ラリホーではよく眠くなる。
きっと、鎧の強さで安心感が出て、
それで気分よくいつまでも寝れてしまうのだろう。
先日似たような死因を遂げたので、
メイジキメラには十分に注意していたのだが、
マホトーンするよりも早く襲いかかって来られては、
かいんもひとたまりもない。
いや、6たまりぐらいはあったのだが、
6ターンのうちに、最終的にはなくなってしまって、
睡死してしまった。
くそ!
ラリホーだけは危険だ。
スターがベホイミを使おうが、
大魔道がベギラマを使おうが、
だからといって、それで俺が死んでしまうことはない。
勝てないと思えば逃げればよいのだ。
ドラゴンだろうがキラーリカントだろうが、
それは同じこと。
スターから逃げ切れなかったのも過去の話で、
今となっては、本気出せば逃げれる。
逃げれなかったときは本気の本気を出す。
それでもダメなら、もっと本気を出す。
最初から本気でもいいが、
それだと、最初から逃げるんでしょ?と思われるかもしれない。
違う!
俺は戦うつもりだ!
最初から最後まで貫徹して戦うつもりで勝つつもりなんだ!
だから逃げないんだけど、
本気出したら逃げれるんだからな!
なぜなら、俺は勇者だからだ!
「なぜなら」の後の文が前の文の理由になっていなくても、
かいんが勇者であることには違いない。
臆病でも勇気がなくてもマホーを使っても、
かいんが勇者であることだけは間違いない。
勇者とは家系なのだから。
能力とも気質とも無関係なのだから。
勇気のないマホー使いのかいんは、
竜王の城にも辿り着けていないのにビビって、
も、もう少し修行を。も、もう少しだけ、
と二の足を踏み、魔の島に身を運ばなくなった。
メルキドで修行だ!
といってドムドーラを越えたあたりでメイジキメラと出会い、
またビビって引き返して、ドムドーラに戻った。
そ、そうだ。
俺は最初からドムドーラの砂漠で修行をしようと思っていたんだ。
ま、町の中は怖いから・・・
いや、怖くはなくて・・・そう、攻略済みだから、
今は町の外で修行をすることにした!
文句はないな?
誰か文句ある人ー?
よし!いないな?
と、いるはずもない人に対して責任逃れするかのごとく、
修行僧のごとき文句僧のかいんは、
地道に鎧の騎士を倒し続けた。
結局のところ、
汗水の賜物はやはり大きく、
レベルも17になってベホイミも覚えた。
お金もいつの間にか貯まっていて、
14800ゴールドの水鏡の盾を買うこともできた。
フン!
この中途半端な値段。
俺は知っている。
その昔、リモート機能のないコントローラーで操作する、
赤と白の機械が、こんな値段だったんだ。
その機械が、そんな中途半端な値段で売られていたんだ。
と、バカ父オルテガが言っていた。
父オルテガが、まだ俺ぐらいの年齢のときだったという話だ。
さて、
レベルが上がり、装備も新調したかいんは、
また気分がよくなり、
強い敵に立ち向かいたくなっていた。
逆に、弱いのに襲いかかって来ては逃げる魔物たちに、
嫌気がさすようになってきてもいた。
そこで、俄然役に立つようになってきた呪文がトヘロス。
トヘロスの効果によって、
弱い魔物は、かいんに近付けなくなった。
しかし、
効果が持続している間はいいが、
効果が切れると、
それを順番待ちしていたかのごとく、
次々と魔物が押し寄せて来る。
くそ!
リカントやメイジドラキーごときが順番待ちしてるんじゃねぇ!
俺は今から魔の島に行くんだ!
邪魔すんな!
こうして、かいんは、
常にトヘロスをしていないと気が済まないという、
トヘロス症候群にかかってしまった。
別に、
なにがどうというほどの症候群でもない。
症候群にかかったおかげか、
かいんは、ついに竜王の城へと潜り込むことができた。
そして、城の入り口では、
久しぶりの来客とばかりに、
悪魔の騎士がかいんを出迎えた。
ふん!
すでに攻略済みの偽ロトの騎士め!
俺が名実ともに真のロトの騎士だ!
と、かいんは胸を張って鎧を見せつけた。
そして、得意気にこう言い放つ。
お前はすでに俺に敗れている!
お前はすでに死んでいる!
あた!
と、
拳を打ち出す七ツ星の傷の男のごとく、
神拳を出版したゆう帝のごとく、
炎の剣を突き出そうとしたかいん。
ハッとして、剣を止め、
悪魔の騎士がラリホー使いであったことを思い出す。
バカめ!その手に乗るか!
お前などにラリホーを使わせたりはしない!
と、ここまでのやりとりで、
かいんが何か行動したかというと、何もしていない。
ただ悪魔の騎士と出会っただけである。
単に出会った瞬間マホトーンをしただけのかいん。
ただ、そのマホトーンのおかげで、
悪魔の騎士は、音声再生専用機のごとく、
「ラリホー」としか言わなくなった。
ハッ!
壊れかけのラジオめ!
死ぬまでラリっとけ!
悪魔の騎士を振り払ったかいんは、
勢いづいて、竜王の玉座の間へと走り込む。
しかし、そこに竜王はいない。
恐れを為したか、竜王!
玉座を離れたが最後!今からこの城は俺の城だ!
とばかりに、自分で玉座に着くかいん。
ふと、椅子の後ろから風が流れてくるのに気付いた。
そう言えば、
リムルダールの老人が言っていた。
ロトは竜王の部屋の秘密の通路から地下へと潜ったのだとか。
ふはは!
抜かったな竜王!
これだけ隙間風が吹けば、
そこに隠し階段があることぐらい見抜けるわっ!
全部すべてまるっとお見通しだ!
さあ、竜王!
今から行って叩き斬ってやる!
せいぜい長くして待っておくんだな!
俺に斬られるその首を!
いざ、地下の居城へ!
と、いうところで、かいんは気付いた。
MPが11しかない。
あ、竜王。
ちょっと待っててね。
いまルーラ代しか残ってないから。
ちょっと銀行の自動引出し機からお金をおろしてくる、
というほどの軽い調子のかいんは、
海の上をわずか9歩という最短のルーラで、
ラダトームへと飛んだ。
こっちに虹の橋架けたほうがいんじゃね?と思いながら。
かいん:レベル17
炎の剣、ロトの鎧、水鏡の盾
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