そして、即座にルイーダ行きを命じたカイン。
これで、旅の僧を装う必要も無くなり、
晴れて宇宙ヒーローへと職を戻す。
時を同じくして、バトルマスターを極めたテリーは、
預かっていた「はぐれの悟り」を使って、
はぐれメタルへの転職を果たした。
テリーがはぐれメタルへと転職することによって、
神殿の地下の燭台に青い炎が灯る。
だが、それはまだ小さな炎。
いずれこの職で腕を磨いていく間に、
大きくなるであろう炎である。
さて、この燭台の炎とは無関係に、
以前来た時から、地下への道は続いている。
ただ、以前来たときには、
ちょっと所用を思い出し、まだ足を踏み入れずにいたのだった。
そして、今回、その洞窟に足を踏み入れるに至る。
洞窟の奥には、デスコッド、という村があった。
いや、はじめ、カインはその村をライフコッドと見間違えた。
村に入るなり、村長が、
「精霊の冠を取りに行ってご苦労だった。」
と、労ってくれたのだ。
もちろん、カインがよく知っているライフコッドの村長である。
ランドもジュディも、村のみんなも、
カインが冒険を始めた頃のままであった。
村のご老人が、
精霊の冠を取りに行くのを
お役御免になったことを悔やむのも当時のままであった。
そしてターニアは、今まさに、精霊の巫女の役への準備中であった。
この村の様子を見たカインは、
これは夢だろうか、と思った。
あるいは、今までの長い旅は夢であって、
今まさに夢から覚めたのか、とも思った。
また、同時に、邪悪なる者のまやかしである可能性も考えていた。
そして、村を回るうちに、
見知らぬ少女と出会う。
彼女は、ターニアの家にいたので、
本来なら最初に出会うはずであったのだが、
ターニアが巫女の準備中とのことだったので、
カインは、留守であるはずのターニアの家への訪問は、
後回しにしていたのだった。
彼女は言う。
「ここは、あなたが本当に見たい夢を見せてくれる場所。でも、不思議。まるで、あなた自身が見たい夢じゃないみたい。もう一人のあなたが見たがっている夢かしら?」
カインは、思い当たる節があった。
それは、カイン本体が見たがっているはずであろう夢。
ただ、カイン本体が見ている夢は、カイン自身であり、
カインとカイン本体はすでに同化してしまっているので、
「もう一人のあなた」というのが、
カイン本体のことを指しているのかどうか、
今ひとつよくわからないカイン。
もしも。
もしも、仮に、
カインの背後から、カインを操る何者かがいるとして、
その背後の何者かの夢が、この村である、
などと考えを巡らせて、カインは身震いした。
そんなはずはない、
カインはカインの意思で行動を取ってきたし、
操られたりももちろんしていない。
では、どういうことだろう?
もう一度頭を整理するカイン。
この村でのカインの立ち位置は、
「怪我をしてターニアに助けられて、家族同然の生活をしている」
という、極めてカイン本体の状況に近いものである。
と、言うことは、
やはりこれはカイン本体の見たがっている夢、
と捉えるのがよさそうである。
なにしろ、カインの夢だったら、
カインがターニアを妻にしているはずなのだから。
さて、見知らぬ少女はこう続ける。
このことを知ってしまったついでに、また別の夢を見せてくれる、
というのである。
「近い未来の夢、遠い未来の夢、魔物の夢、どれがいい?」
と、少女は尋ねる。
まぁ、本当に見たい夢は、
ターニアを妻にもらい、2人の間に子を授かり、
その子が大きく成長して行くのを見届ける、
ということなのであるが、
残念ながら、
カインの思い描く夢は、選択肢の中にないようであった。
小説家になりたい、という夢も、選択肢にはなかった。
しょうがないので、近い未来の夢を見せてもらうことにしたカイン。
そう頼むが早いか、
村の住人は次々と姿を変え、見知らぬ人々へと変化していく。
そして、
ここはデスコッドの村である、ということを教えてもらうに至る。
デスコッドを探索するカイン。
探索してわかったことだが、
デスコッドの住人には、誰一人として心当たりがない。
カインの知っている人物の夢は、この中にはないようであった。
カインはまず、ターニアの家を訪ねる。
ここにはピサロとロザリーというカップルが住んでいた。
幸せそうにしている2人を見ながら、
ターニアと自分をそこに重ね合わせるカイン。
なるほど、
近い将来、こういう人物が、こういう夢を見るのか、
と、カインは幸せそうな目で2人を見やった。
バトランドから来たと言う、立派なヒゲを蓄えた戦士。
彼はピンク色の甲冑を身に纏った、なんとも力強い肉体をしていた。
サントハイムから来たと言う老魔法使い。
彼はサントハイムの姫とはぐれたらしく、
姫を探してあくせくしていた。
どこか気品のある女武闘家と、青年の神官。
彼女は、腕試しするのが好きであるらしく、
青年神官を置いて、一人洞窟へ潜ろうとしていた。
ちょっと一国の姫には見えないけど、
発言からして、老魔法使いが探している人物である模様。
縦縞の服を着た、太った中年の商人。
彼は、宝のありかをカインに教えてくれる。
カルカドの井戸の近くにモンスターが埋めたという情報を得た、
と言うのである。
それを信じたカインは、早速カルカドに行って、
その宝を見つける。
そこで見つけた「オリハルコンの牙」を
再び中年の商人に鑑定してもらったところ、
「値段のつけられない貴重な武器ですが、もし売るつもりなら、ぜひこの私に」
と、この貴重な武器に興奮気味であった。
女占い師。
遊び人にも見える踊り子。
ソロ、という名の、緑髪の青年。
彼は、カインと同じか、少し年上だろうか。
シンシアという女性と仲良く話している。
カインは、ソロを見たときに、
会うのは初めてではないような錯覚に捉われた。
そして、思い出した。
ゼニス王が統治するクラウド城で、
しきりに下界に行きたいと言っていた女性。
彼女に雰囲気が似ているのである。
血の繋がりがあるのかもしれない。
そのソロと同じ雰囲気をもつ緑髪のソフィアという女性。
彼女は、夢告白をしたいのだが、
その場所がなかなか見つからないのだと言う。
そんな、近い将来の夢を見ながら、
カインは別にどうとも思わなかった。
なぜなら、カインは、
近い将来にどんなことが起こるか、知るはずもなかったからである。
さて、そうこうしているうちに、
テリーが、はぐれメタルとして一人前になってきたようで、
ダーマの地下の燭台の青い炎が大きくなっていた。
これで、すべての燭台に大きな炎を灯すことができたので、
カインは、ダーマの神官に、このことを報告に行った。
すると、「ゴスペルリング」という指輪を授与された。
この指輪は、はめていると魔物が近寄ってこないという、
ものすごく優れたアイテムであるらしい。
カインは、このゴスペルリングの授与を喜び、
早速指にはめて、
デスコッドからさらに続く洞窟へと足を踏み入れるのだった。
★レベル43、プレイ時間60時間3分
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