学志舎専任講師の村岡です。
さて、今回は「親から子への接し方」についてお知らせしたいと思います。
突然ですが、『マイフェアレディ』を観たことはありますか。
この映画は、ノーベル文学賞のバーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』が原作です。
貧しい花売りの娘(オードリー・ヘプバーン)が、ある言語学者との出会いをきっかけに、イギリスの上流階級で貴婦人のように振る舞えるまでになっていく成長物語です。人間の感情、階級、葛藤といった深いテーマがつづられています。
この作品では、次のようなセリフが出てきます。
「おわかりでしょう。ドレスの着こなし方や話し方を習ったり、出来ることは別として、本当のところ、貴婦人と花売り娘の違いはどう振舞うかではなく、どう扱われるかにあるんです・・・」
「本人が期待されている状態」そして「本人が達成できると信じられる環境」が大事であるということです。
この有名なセリフから、ハーバード大学の教育心理学の教授によって「ピグマリオン効果」と名付けられました。
その教授は、以下のような実験が行いました。
アメリカの小学校での学習能力予測テストで、学級担任には、数か月後の成績の伸びを検査するとし、
・Aのクラスには、無作為に選んだ生徒(平均的な生徒)
・Bのクラスには、選りすぐりの生徒(突出した知能を持つ生徒)
がそれぞれ在籍することを伝え、「数か月後にテストをするのでそれぞれ指導するように」と指導させた実験があります。
※実際には両クラスとも平均的な生徒が所属。つまり学級担当はウソの情報を与えられて指導したという実験です
結果、AクラスよりもBクラスの成績が上昇したそうです。
Bクラスの学級担当は、問題ができてなくても「まだまだ伸びる、あなたはできる人だからと厳しくもポジティブな感情をこめて徹底的に向き合いました。子どもたちに「期待のこもったまなざし」を向けることが学習効果につながったということで、今日では「ピグマリオン効果」と呼ばれています。
この実験は50年以上前に行われたこともあり諸説ありますが、親が子への接し方でも応用できる考え方であると私は思っています。
「あなたはできる。毎日頑張っていて本当に素晴らしい」というポジティブな感情は、会話がなくとも必ず伝わるものです。
今はどんなに学力の高い生徒でも、不安にならざるを得ない時期です。
親は子供の「心の安全地帯」であるべきです。
プレッシャーをかけるのではなく、ぜひポジティブな期待をして見守ってあげてください。
12月も中旬となり、厳しい寒波が到来し、寒い日々が続くことが予想されます。
塾生がラストスパートするためにも、家族全員の体調管理にはお気をつけください!