建売・注文住宅に関わらず、戸建住宅に住んでいる方。
「検査済証」の原本をお持ちですか?
建築基準法に関する手続きの中では、最重要書類です。
「新築したけど、そういえば受け取ってな~い」
と言う方は、ぜひ一度担当者にご確認ください。
ただし、「一生今の家を大きくいじらない」ことが
確定しているのであれば、さほど重要でないかもしれません。
でも将来大がかりな改修や増築の可能性があるのであれば、
「確認申請書」や「確認済証」と共に「検査済証」も
かならず保管しておいてくださいね。
↑これが検査済証。書式はどこでもだいたい同じです。
(ネットでどこかから拝借してきました。)
■書類の意味
上に挙げた3つの書類等を分かりやすく言うと以下の通り。
【確認申請書】
「書」と付きますが、通常は図面も一緒になっています。
申請するのは建築主、つまりアナタ!(建売の場合は建築業者。)
もちろん手続きはプロじゃないとできませんから、実質的には
ノータッチですけどね。
ウチねぇ、これからこんな建物を建てる予定なんで、ちょっと
建築基準法とかそういうのに合ってるかどうか確認してもらえる?
これが確認申請書の意味です。
【確認済証】
これは紙っぺら1枚です。
なくさないように確認申請書と一緒に綴じる場合もあります。
交付するのは、役所か民間の指定確認検査機関。
あんたんとこが申請した建物、ちゃ~んと建築基準法とかに
合っとったでよ、確認し終わった証拠に済証出しとくわ。
これが確認済証の意味です。
交付され次第、工事に着工することができます。
(そして工事が終わり…)
【検査済証】
厳密に言えば、工事が終わり次第「完了検査申請書」を
建築主が提出して、それに対応する形になります。
これまた紙っぺら1枚で、交付するのも同じく
役所か民間の指定確認検査機関。
ちゃ~んと確認申請書の通りに建てたかどうか検査に行ったら、
ばっちりできとったで。そいじゃ、証拠に済証出しとくわ。
これが検査済証の意味です。
もちろん、確認申請書の通りにできていない場合は、
「確認申請書の内容を変更しましたよ」という書類を提出したり、
建物側を直さなければいけないケースもあり得ます。
(謎の方言はお気になさらず。気分で書きました。)
■検査済証の重要性
例えばの話。
50年の時が経ち、あなたの家は子どもたちが受け継ぎ、
可変性のある間取りでしかも躯体をしっかりと造ったおかげで、
改修をすればまだまだ使える建物だとします。
もし、上の3つの書類等のうち、どれか1つしか残されていないと
したら、どれが最も残っていてほしいか。
それは、間違いなく検査済証です。
検査済証には、確認済証の番号も記載されているし、そして何よりも、
「その当時の法律等の基準を守って建てられた」
ことの唯一の証明になるからです。
確認済証だけ存在したとしても、それはまだ計画段階。
ちゃんと建てられた証明にはなり得ないのです。
■マンション・事務所ビル・工場での経験
仕事で「改修工事」を担当したことが何度かありました。
1960~1980年頃に建てられたケースが多かったです。
要はですね、築30~50年経って老朽化してきており、
大規模改修するか建て替えるかの選択で、
取り壊さないで「大規模改修」を選んだ、という物件です。
「耐震補強」が絡む場合もあるし、古い部分とは構造体を
切り離して「増築」という場合もあります。
その時に検査済証があるとないでは、大違い。
何も資料がないと、年代推定から始まります。
建てられた時期によって、鉄骨や鉄筋コンクリートの作り方、
強度、アスベストの有無、防火性能の考え方など、多くの基準が
異なっています。
少なくとも当時は法律に適合していたのか。
そもそも当時から法律に適合していなかったのか。
改修の設計はただでさえ知識や労力を要するのに、検査済証が
ないと、スタートから出遅れてしますのです。
もちろん、構造図や構造計算書も必須ですけどね。
つまりは「建てた記録は残しておいて!」
ということが言いたいのです。
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(おまけ。)
■銀行の担当者への不満
そもそもこの記事を書くきっかけは、とても素敵な家作りブログを
書かれている方の「銀行の担当者がいい加減!」というお怒りの
内容の記事でした。
で、思い出してしまったのです。
我が家の場合も、銀行の担当者がひどかったことを…。
まぁローンの手続きに入るまでは特に問題はなかったんですけどね。
家の引渡し書類の中に「検査済証」がなかったので確認したら、
融資の手続きの関係で銀行が持ったままでした。
そして、しばらくして銀行の担当者がうちに送ってきた書類が…
「完了検査引受証」
違~う!ヽ(`Д´)ノ
これは、指定確認検査機関が
「うちで完了検査をやることに対して、了解しましたよ」
というだけの書類。
重要度が天と地ほど違う。
検査済証をくれっつっとんねん!
最初から最後まですごく順調で、大満足の我が家の家作りにおいて、
僕が最も腹が立った瞬間でした。
家作り「後」の話ですね。
その後連絡もなければ謝ることもなし。
書類が届いただけ。
あなた、こちらが言わなかったら銀行側で持っててどうしたわけ?
いい加減な銀行の担当者、時々いるみたいです。
みなさん気をつけましょう。
(注意喚起で締めくくってしまった。)