意味深なタイトルをつけてしまいました
噂だけ書いても仕方ないですね。
「無印良品の家」の噂・評判について、本当はどうなのか?と
いう点について書いていきたいと思います。
僕は無印の家を建てるまでに、それなりに勉強をしました。
他のハウスメーカー(以下HM)も、多少は視野に入れながら、
本・雑誌・インターネットなどで情報を集めました。
住宅は専門分野ではないとはいえ、日常的に建築設計を
行っている分、情報を集めやすく理解しやすい環境に
あったと思います。
現段階でどこのHMで建てるか決定していない人にとっては、
いろんな手段で情報を集めていることでしょう。
その中で最も手軽なインターネット上の情報には、
かなり誤った情報、誤解を招く情報が散見されました。
また、欠陥とか欠点とかやたらと言う人もいますが、
「それはケースバイケースじゃない?」
「それはどのHMも工務店も同じじゃない?」
と思えるような些細なこともたくさんありました。
とにかく色々とありますので、順不同で書いていきます。
何回かに分けて書くと思いますが、今回はその第1回です。
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■無印良品の家は2×4(ツーバイフォー)?
「All About」の記事
(2011年6月5日) ←リンク有
ちょっと笑ってしまった記事から。
「若年層向け2×4系ビルダー」といえば、
「無印良品の家」もそのひとつ。
無印良品の家は木造軸組工法であって、2×4工法ではありません。
木造軸組工法であって、構造的にはSE構法を採用しています。
(工法と構法の違いはここでは省略します。)
信頼の置けそうなAll Aboutさんの記事でもこういう事があるんですね。
2×4が流行っているかのような記事のしょっぱなの事例として、
なぜ無印良品の家が挙げられたのか、どこから情報を集めたのか、
理解に苦しむところです。
「若年層向け」に対してムジ・ネットさんは反論すると思いますが、
現実としては30代の施主が多いでしょうから当たらずとも遠からず。
(どのHMも住宅購入年齢は30代が多いはずですが。)
年配の方にとっての無印良品は小売業の印象でしかないでしょう。
“家作りは有名・大手で!”と頑なに譲らない考えの人が身内にいる場合、
無印良品の家は土俵にもあげてもらえない可能性が高いですね。
■無印良品の家は、断熱性が低い?
■無印良品の家は、モデルプランから間取りを選ぶ?
「住宅の評判ナビ」 のHP ←リンク有
こちらのサイトは、有用な情報がたくさんあります。
「注文住宅の家づくり情報発信サイト」と自己紹介している
だけのことはあります。
広く情報を集めていますので、これから家を建てる方は
ぜひ一度ご覧になると良いと思います。
ブログのタイトルに「注文住宅の建て方」なんて付けて
おきながら、ろくに具体的な説明もせずグダグダ書いている
ブログより100倍役に立ちます。エヘ♪
こちらのHPの中で、ハウスメーカー情報の1つとして、
「無印良品の家の評判」
というページがあります。 ←リンク有
全体的には、それほど間違った情報はないと思います。
熱伝導率の単位が間違っているとか、
坪単価の数字が曖昧すぎることとか細かいことはさておいて、
誤解を与えそうな部分だけ2点補足します。
熱伝導率の単位は、正しくは W/(m・K)。
坪80万は、大がかりが地盤改良や多めのオプションを
金額に含めない限り達しないでしょう。
というか坪単価なんてそもそも……って言い出したら、
話が脱線して戻れなくなりそうなのでまた別の機会に。
断熱性能
この記事における「無印良品の家」の断熱性能について、
頼りない性能という書き方がされています。
「熱伝導率による断熱材の厚みの比較」はこの記事の通り。
発泡ウレタン30mmはグラスウール65mm相当でしかありません。
しかし、断熱性能を比較するのに重要なのは、
熱伝導率による断熱材のみの性能比較ではなく、
空気層等を含めた「壁全体を通した断熱性能」(熱貫流)です。
ペアガラスの空気層を無視できないのと考え方は同じです。
空気層は立派な断熱材として機能しますから。
もっと突き詰めれば家全体の性能、Q値やC値という話に
なってきますが、割愛します。
外張断熱をしている無印良品の家においては、
断熱材である硬質ウレタンフォーム(30mm)の内側に
石膏ボード(15mm)があり、その内側に空気層(105mm)、
さらに内側に仕上用の石膏ボード(12.5mm)という構成に
なっています。(シートは断熱に直接寄与しないので省略。)
この105mmの空気層を無視して断熱性能を語ることに
無理があるし、気密性や施工上の納めやすさなどの点で
外張断熱が優れた工法であることは事実だと思います。
比較対象としている一般的な木造軸組構法の充填断熱は、
グラスウール(100mm)のすぐ内側に、
仕上用の石膏ボード(12.5mm)という構成です。
ただし、誤解しないでいただきたいのは、外張断熱と充填断熱の
どちらが優れているかということではありません。
どちらの仕様にしても、適切に施工されるか、
また気密性能や窓などの開口部の仕様などによって
断熱性能は大きく異なります。
熱の流出入の50~70%は開口部からと言われています。
言いたいのは、「比較対象が適切でないので、“頼りない性能”
と記載するのはふさわしくないのではないか」ということです。
少なくとも、無印良品の家に住んでいる人は知っていると思います。
決して断熱性能が低い家ではないということを。
モデルプラン
プランは、20(80)プランが用意されています。
この文章からは「○通りのプラン間取りを選ぶ」ような印象です。
確かに“プラン集”にはそういう書き方がなされていますし、
実は僕も建てる前は、そういう発想でした。
あれだけの数のモデルプランを用意するということは、
原則的にはその中から選ぶものだと。
しかし実際は違いました。
やっぱり注文住宅なんだな、と思えるほどかなり融通が効きます。
例えば、我が家は基本的に尺モジュールですが、事情により
端部のスパンだけ「1820」ではなく、「1500」というスパンを
採用しています。
概ね『5間×3間』の造りですが、厳密は『(5間-320)×3間』です。
また、『4.75間』を採用した家も実際にあります。
455mm単位となるので、暗算がしにくいですけどね。
L型平面の家もあるし、中庭形式の家もあります。
内部の設備機器なども、かなり自由に仕様変更できます。
標準仕様を変更するということは高くなるケースが多いですが、
安くなる変更ももちろん可能です。
例えば、内壁をAP塗装からビニルクロスにしたり、
標準の収納BOX付トイレを別のタイプにすると安くなります。
つまり、「選ぶ」という発想ではなく、
「自分たちの好きな間取り・仕様で建てられる」ということです。
これについても、無印良品の家を建てた方はよくご存知です。
このブログを読んでくださっている方々も結構好き勝手やってます(笑)
ただしある程度の制限はあります。
特に家の性能に大きな影響を与える特殊な仕様変更は
認めてもらえないこともあるでしょう。
例えばトップライトの付けることや、階高の変更を伴うような変更、
「木の家」で屋根の庇を出すなどの変更は難しいかもしれません。
ある程度はどこのHMも制限があるのは同じだと思います。
オリジナリティーのあふれる家を建てたいなら、直接工務店に頼むか、
設計事務所や建築家にお願いした方が現実的だと思います。
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意外と長くなってしまいました。
何が正しいのか。
ネット上の情報に振り回されないのって難しいですね。
他にもいろんな話があります。欠点もあります。
とりあえず今回はこの辺で。