お題は「スイッチ・コンセント」。
目立って欲しくないけど、手の届く場所にいて欲しい。
脇役でありながら、とっても重要な存在です。
【スイッチ・コンセントの図面】
掲示板などで、
「コンセントは足りているでしょうか?
位置や数は適当なのでしょうか?」
というような質問を見かけます。
新築前の暮らしの中でも、コンセントはとても身近な存在ですから、別にこの質問自体はおかしいとは思いません。
僕が気になるのは、
スイッチのことを気にしているケースが少ないことです。
住宅においては、コンセントの配置が表示された図面の中に、
スイッチの配置も記載されています。
ただ、コンセントの記号が「そのまんまの形」で
誰にでも認識しやすいのに対して、
スイッチの記号って「小さな黒丸」で分かりにくいんですよね。
そりゃ目立たないわけです

ちなみに、大規模建築においては、「コンセント図」はあっても
「スイッチ図」はないケースが多々あります。
コンセントは、標準的な配置以外に、
施主が「細かい位置を指定したい」場合が多いです。
一方スイッチは、例外的な配置をすることが少なく、
「使いやすいように適当に配置してよ」ということがほとんどです。
【どっちも大事だけど…】
住宅においては、もちろんコンセントは重要なんですが、
僕はスイッチの方が重要だと思っています。
理由としては、“コンセントは何とでもなる”からです。
見映えはさておき、足りなければタコ足にもできるし、
家具に隠れたからといって数センチの隙間があれば
まぁなんとか使えます。
でもスイッチはそうはいきません。
家具の裏に隠れるぐらいなら、家具を置かないか、
スイッチに干渉しない大きさのひと回り小さい家具を
買い直す人が大半でしょう。
【後悔しないで~!】
雑誌かネットで見た時の記憶によると、
“住み始めてから後悔する内容”のトップに挙げられるのが、
「スイッチやコンセントの位置」だそうです。
設計した人は、もちろん良かれと思う位置に配置するのですが、
結局のところ使い方は人それぞれなんですよね。
「ここにはこんな家具を置くから、スイッチ類は避けてほしい」とか、
逆に「ここにコンセントがあれば便利だなぁ」という希望があるなら、
施主自身が指示するしかないのです。
後悔するケースというのは、この時期に
「まぁ使いやすそうなところに付けてくれるんじゃなーい?」
と、しっかり検討・指示しないで放置したのだと思います。
あるいは、がんばって検討したけどもイメージと違ったか。
設計者は、使い勝手を十分に考えた上で、
施主にちゃんと説明する義務があります。
説明する義務とは、「何かあった時の責任逃れ」が目的ではなく、
施主に「しっかりと理解(イメージ)してもらうこと」が重要です。
設計者が「ちょっと予想と違った」といのは
知識・技量不足としか言いようがないのですが、
こういう細かな使い勝手の説明としっかりやってくれるかどうかは、
HM・工務店の担当者が誠実かどうか、
にかなり左右されるでしょう。
【打合せのタイミング】
スイッチ・コンセントの図面がHM・工務店から出てくるのは、
間取りが確定し、詳細な打合せに入る頃です。
もしかしたらもう少し後かもしれません。
スイッチ・コンセントは間取りに与える影響はほとんどないのに対し、
間取りはスイッチ・コンセントの配置に多大な影響を及ぼします。
間取り次第で、スイッチ・コンセントの位置はガラッと変わるのです。
早すぎる検討は時間の無駄です。
手配は必要なので、着工してから「特殊な仕様にする」
のは難しいですが、普通の仕様であれば
「位置を変更する」というのは結構ぎりぎりまでなんとかなります。
とはいえ、詳細打合せの初期からしっかり考えて、
着工前にはちゃんと決めた方が良いです。
<理由①>⇒ミスを減らす
着工する段階で、一旦図面を取りまとめます。
「この図面で工事しますよ」というのを確定し、
工事内容や金額を明確にするのです。
着工後の変更は、一定のリスクを伴うと思ってください。
しっかりしている担当者(しっかりした“会社”かどうかではない)
ならおそらく大丈夫なんですが、
「設計さんに変更を伝えたのに、現場に伝わらなかった」

という本当につまらない理由で、完成した壁に穴を開けて
直すという事態が、現実には起こっているのです。
これは「無印良品の家」かどうかではなく、一般的な話です。
ちなみに我が家の営業・設計・監理の各担当者は本当に優秀で、
変更は漏れなく伝達されておりました。
ほとんど変更してないんですけどね(笑)
<理由②>⇒間取りへの影響を減らす
スイッチ・コンセントは
間取りに与える影響はほとんどないと書きましたが、
多少は影響を与えることがあります。
例えば、間取りを決定した後で、引き戸だとスイッチ・コンセントが
隠れてしまうことが判明し、開き戸に変更したいけど、
開き戸にすると狭くなるから壁を動かしたい、とか。
あるいは、間取り検討の頃は家具・家電・インテリアについて
何にも考えていなかったけど、ちゃんと大きさを調べたら
入らないから、壁を動かしたいとか。
<理由③>⇒竣工図の間違いを減らす
これも、ちゃんとした人なら問題はないです。
建物が完成した時、竣工図を受け取ります。
言うまでもなく、引き渡した建物を現わした図面です。
でも、現場で変更した内容が竣工図に反映されていない
ということが、現実には結構起きていると思います。
設計する人は、詳細打合せをし、確認申請を出す頃は
その物件に業務を集中できるのですが、
現場が始まると、他の物件の設計に移ってしまい、
現場は監理を担当する人に任せるのが通常だからです。
監理を担当する人は、図面を描くよりも、複数の現場を
回って、適切な施工がされているかどうかを
確認するのが仕事。
もちろん電話やメールでやり取りして、変更に対する
調整はしますが、いちいち図面を直したりはしません。
現場で起きた変更が、ちゃんと図面を担当していた
設計担当者に伝達されるかどうかで、
竣工図の精度が全然違ってきます。
自宅を改修する時になって、
「あれ?図面と建物が違う!」
ということが起きてしまいます。
これについても、我が家も担当者は本当に完璧でした

【まとめ?】
前置きのつもりが、書き始めたら長くなってしまいました。
まとめもなにも、本題に入れていない…。
次回から、もう少し寸法とか配置とかの細かい話をしますね。