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リブ加工

ビール瓶のケースの底のような、複雑で細くて深いリブをエンドミルで加工するのは大変です。今回、加工するリブの深さは20ミリ強、巾は先端で2ミリ、テーパ1度です。

いつもでしたら自動プロでパスだしするのが、無駄パスが無く、一番早い方法なのですが、今回ばかりはあまりにリブが複雑で、どこから手をつけてよいやらといった感じだったので、しかたなく(?)SprutCAMでパスだしを試ました。

やはり無駄な動きは多々ありますが、なによりあれこれ輪郭操作をしなくてよいのが結構、楽。自動プロは輪郭や運動定義をやってるうちに加工ミスすることがよくありますが、その点、3DCAMはモデルに食い込まないので楽です。

SprutCAM2007はもうでてる?

NOVEDGE(http://www.novedge.com/products/1626/tab/1 )を見るとSprutCAM Expertの version が5.31となっていて、もうSprutCAM2007が販売されてるみたいですね。

このへんは日本はもとよりロシアのサイトを見てもわかりません。本当に出てるんでしょうか?

先日、ダウンロードしてテストさせてもらったんだけど、肝心のシミュレーションは、バーが固定になってたりして、本当に描画スピードが上がっているのかどうか、評価できませんでした。またフライスに関しては特に加工戦略が増えたりといった改善は無いみたいです。

今回のバージョンアップの目的は、旋盤や固定5軸に対応したことくらいでしょうか。私から見たら、ただメニューが複雑に見えるようになっただけのような気がします。

特に、評価期間が一ヶ月に限定されていることや、2007を立ち上げるたびにオプション設定を日本語から英語に変更しなければならなかったり、落ち着いて評価できなかったことが残念です。



トロコイダル加工

トロコイダル加工でポケット加工してみました。

この加工では、加工工具の負荷を一定にするために、パス間のつなぎにすべてRが入っています。

特にこの場合、コーナー部を3回で切り込んでおり、コーナーぶち当てによるチッピングを防いでくれてます。


最近の2万回転とかの高速スピンドルを使った加工機では、こういったパス、加工法は当たり前かもしれません。

しかし、私が使っているような15年ほど前のNC(max3000rpm)でも、このパスを使えば送り機構に無理がかからず、

1m以上の送り速度でポケット荒加工ができます。

使える!取り残し加工、面沿い加工

荒取り加工 取り残し加工 面沿い加工 比較的簡単なモデルには、SPRUTCAMの取り残し加工や面沿い加工は充分使えるようですね。

これは非常にありがたい機能です。どこにどれくらい取り代が残っているのか考えて加工するのは、けっこう面倒。また等高線最適化加工でも仕上がらない面には、やはり面沿い加工が便利です。

今頃になってようやく日本上陸となったONECNCも、こんな便利なものはついてません。取り残し部分が色で表示されるだけで(REST ROBOTUSだったかな)、これはVISUALMILLがすでにやっていたものです。

3軸加工についてはSPRUTCAMは、非常に立ち上がりの早いCAMです。とにかく早く加工にかかれるのです。下手なミッドレンジCAMは使わないほうがいい。

ただ残念なことは、VISUALMILLやONECNCにある5軸(固定とはいえ)オプションがないことです。これからは5軸加工機がどんどん普及するでしょうからね。


ドライブ面(面沿い)加工って使える?

ドライブ面加工 ドライブ面加工をやってみました。ドライブ面加工は、形状によってはパスが出ないことも多く、計算時間も長いし、データも大きい、といいところなしですが、やっぱり面沿いに加工したほうがいい場合は仕方なくトライしています。

画像のものは、ゴム型のくいきり部になるV溝を、あとから追加工したもので、比較的よくできたほうです。

曲面がXZ方向にもYZ方向にも傾いているという厄介な形状の金型です。5軸とかで加工できたら楽な金型になるんでしょうが。


削り残しがあった

今日、お客さんから金型に削り足りない部分があるのを指摘されました。加工していたときはまったく気がつかず、残念。でも、客先の担当者には、try1でほぼokになったと感謝されてしまい、複雑な気持ちです。

取り残したのは、幅2mm、長さ30mmくらい、0.1から0.2mmくらいの取りしろなので、1.5Rボ-ルで一気にしあげることにしました。

まず、曲面をいったんすべて制限面フォルダに放り込んでしまいます。そしてそこから、削り残した面、2枚のみを切り取り、モデルフォルダに貼り付けます。制限面には0.02mmのオフセットを入れます。すでに磨き終わっている面に傷をつけたくないからです。そして等高線加工、往復でzを下げます、取りしろがすくないので。zで加工範囲を指定してOK.

簡単に削り残しのパスができました。仕上がりもきれい。この取り扱いの簡単さがよいですね。

受話器形状のコアを加工する

やれやれ、やっとコアの加工が終わった。500*150*110の鋼材(HRC40)から受話器のような形状を削りだしたのですが、最後のパスは自動プロで出しました。

SPRUTCAMでの最初のパス出し、40D-3Rでの大荒加工は、例によって簡単に出来ました。でも加工時間は、3mm切り込み、F700で3時間くらいかかったでしょうか、途中、チップ交換を何回かして。VIZUALMILLもそうですが、この手のローエンドCAMは、最初の荒取りに限っては、実にいいパスだしますね。必ずダウンカットで外側からせめて行きます。これがミッドレンジのCAMだと、どういうわけかいきなりワークに全幅切削で入っていったり、アップカットで回ったり、ピンのような削り残しができたりと、チップがいくらも持ちません。ローエンドCAMは、開発時期が比較的新しいからでしょうかね。

次の荒加工は10Rボールで2mm切り込み、F600、残し代0.5mm。とりあえず等高線パスを出してみたら、結構削り残しができそうなので、戦略変更。定番の結合加工で、等高線加工と走査線加工を45度で切り分け。実際に走査線加工だけやってみたら、立ち壁に近い1度のところはすでに大荒で0.5mm残しで取れていたので、等高線パスは必要なし。

そこでさらに5Rボールで同じ結合加工をやって、仕上げてしまいました。45度と適当に切り分けたのに、案外きれいに仕上がって、こいつなかなかやるな、と思いました。

仕上がったとはいっても、まだまだ取り残しがあるのが金型加工の常です。今度は、1度の壁とその下の大きな変形パートとの間の取り残しを3Rボールでせめます。やはり同じ戦略を使います。

これでようやくパート面が仕上がったので、いよいよ最後の難関、玉ぶち加工です。製品にてがさわらないようにへりRをつけてやるんですね。

3mmのかど0.5Rでテーパー角1度、突き出し長50mmです。これで仕上がる、と大見得を切っていたので加工出来ないとはいえません。ところがSPRUTCAM、どんな戦略を使ってもいいパスが出ません。取り残し加工のパスはちょっとリスクが大きいし、面沿い加工のパスはつかいものにならないし。やはりワークが比較的大きく、しかも面沿いの取り残し加工となると、難しいようです。とりあえず、無難に等高線仕上げを細かくかけて帰ったら、やっぱり朝来て見たら刃物ボロボロ。

そこでしかたなく、自動プロの登場。こういう加工は得意なんですよね、TAMは。ふつうにZ0での輪郭加工GO#を定義して、2.5D加工断面Z#を1度に指定、パート曲面をXZ-SLOPE#で定義、などとLANC言語でのプログラミング、ああ面度くさ。いわゆる投影加工というやつで、TAM使いにはなんのことはないっしょ。簡単に、ごまかしですが、仕上がりました。

で、まだリブが残ってました。これも自動プロの得意技なのですが、ここでSPRUTCAMが名誉挽回。

厄介なことに、この深さ20mmのリブ、受話器の上面のような曲面にうねーっとしっかりとのっているのです。とりあえず全部の曲面をいったん制限曲面へ放り込む。その中からリブの曲面だけ選択してまたもとのモデルホルダーへ戻す。これでリブ部のみカッターが走るはずです。

結果はOK。等高線加工で2mmの角0.5Rエンドミル、突き出し長20mm、0.05mm切り込み。自動プロならかなりの無駄パスがでるところですが、さすが必要なところのみ削ってます。

やはり仕事の立ち上がりのはやいところがSPRUTCAMのいいところです。面沿い加工とか取り残し加工とかはどのCAMでも難しい課題の多いところです。このCAMで決まり、というようなものは現状ではないので、いくつかのCAMを組み合わせて使っていくしかないでしょう。

曲面指定加工の要注意点

<SPRUTCAMは、モデルの読み込みのときに、すべてをいったん制限面(CHECK面)フォルダに入れておき、例えばコアのコーナーのぼかし面のみをモデル面フォルダに移し、この面のみ削るといったことが出来ます>

確かに、特定の曲面のみを指定して削ることが出来るのは、このCAMの大きな利点です。しかし、使い方には気をつけなければならないことがあります。

これは私も今までよくわかっていなかったのですが、この面だけ削れとモデル面フォルダに移した面に対しては工具のオフセット(残し代)が入るのですが、制限面(CHECK面)フォルダに入っている面に対しては

オフセット(残し代)が入らない、ということです。つまり、削らなくてもいい周囲の面に対して、工具が残し代ゼロでタッチするのです。

これは困ったことです。

例えば、加工後、コーナーのぼかし面だけが気に入らず、溶接肉盛りしてこの面だけ削る場合、当然、はじめは荒加工で0.5ミリくらい残して削りますが、このときはじかれた刃物が他の面に傷をつけてしまう可能性があります。

この現象を回避するために、最終仕上げ以外は制限面に対して0.5とか0.1とかのオフセットをかけておくことができます。そうすれば無用な傷はつきません。

ちなみに、ロシアのサイトからダウンロードできるチュートリアルには、このやり方は書かれていません。

http://www.sprutcam.com/Downloads

等高線加工で面粗さ一定を使う

面粗さ一定


どこのCAMでも、一番よく使う加工法は等高線加工でしょう。一般に、この加工法がいちばん刃物にやさしく、しかも計算時間が短いといえます。しかし等高線加工では、平坦部にはパスが出ませんし、傾斜がゆるやかな面にたいしてもパスが荒くなりがちです。

そこでたいていのCAMでは傾斜角45度以上は等高線加工、それ以下は走査線加工という風に使い分けています。等高線最適化加工というのもありますが、これはモデルによってうまいパスが出なかったり、計算時間が長くなったりして、使えない場合も多いです。SPRUTCAMでは結合加工というのがこの等高線最適化加工になります。

ところがSPRUTCAMの等高線加工ではスキャロップ(面粗さ)一定の指定が出来ます。パラメータの右上、Zピックを指定するところのすぐ上に、ちょっと目立ちませんが、スキャロップの指定が出来るようになっています。これは写真(コアの天面)にあるようなちょっとしたフィレットをきれいに加工するのに非常に便利です。

計算時間も結合加工(等高線最適化)やドライブ面加工(面沿い加工)に比べたら圧倒的に速いし、しかもデータ量も少なくてすみます。結合加工やドライブ面加工は、SPRUTCAMが三角パッチではなく面から直接計算しているせいか、データがむちゃくちゃ細かいし、計算時間もかかりすぎます。

もちろんスキャロップ(面粗さ)一定といっても、等高線加工なので平坦面にはパスは出ませんが、これは別に平坦面仕上げ加工という方法があるので、フラットエンドミルでもラジアスでもボールでも使って仕上げることが出来ます。これはミッドレンジCAMの守備範囲といっても過言ではありません。ただし平坦部加工では、ある平坦面がフィレットとか傾斜面とかと一体の面になっていては平坦面と認識されませんので、あらかじめモデルの平坦部は、独立した面としてアイソパラムなどで切り分けておいてください。



やっぱ使えるわ~SPRUTCAM

この一ヶ月くらい大型の金型を加工していて、ちょっとつらかったですね。例えばポケット加工の大きさは、600*400*60くらい。もう、機械的にも精神的にも納期的にも、いっぱいいっぱいといった感じです。


でもその中でも救いがありました。なんとか納期に間に合ったのは、SPRUTCAMのおかげです。


例えば、今回、キャビ板のパート面の加工が全面削りだしになってしまい、どこをクランプするか悩みましたが、やはりパート面を押え替えして削るしかないということになりました。押え替えは面倒だけど仕方ないとしても、クランプ冶具を回避したパスを効率よくつくらないと、金型がデカイので仕事が進みません。

そこでSPRUTCAMの二次元作図で、押さえている冶具より片側10mm大きく四角を描きました。そしてこれを、ここには工具が入れない立ち入り禁止区域に指定したのです。結果はバッチリ、希望のクランプ冶具を回避した効率のよいパスが作成できました。そして押え替えして、今度はその図形を逆に、この範囲のみ削るに指定して、削り残しになったところを加工したのです。

押え替えして加工するのは、一般機械部品加工なら当たり前のことなので、これは使えると便利な機能です。金型のクランプはまだ楽な方でしょう。ワークが重いから簡単には動かないし、バリバリ削っても大丈夫ですから。

また、先の写真にある最終0.5Rボール(突き出し長さ10mm)加工の入れ子(HRC40)ですが、1Rボールの加工が終わってもかなり取代が残ってしまい、等高線加工の0.5Rボールが折れてしまいました。ああ、面倒くさい、ストレスたまるわ!

そこで思い切って、使えないと思い込んでいたSPRUTCAMの取り残し加工を使ってみました。一見、パスはグジャグジャですが、結果はOK!お見事、取り残しがなくなっているではありませんか。やった~使えるわ、このCAM。

というわけで、お礼の意味もありましてこのブログを書いております。ロシアの方に足を向けて眠ることは出来ません。ありがとう。