SprutCAMを使おう -2ページ目

複雑な二次元半形状をモデルで加工する

 金型の加工をやっていてよくあるのが、二次元半でできる加工形状なのに複雑すぎてやってられない、というやつです。

一個一個は二次元半で加工できても、例えば、山と山が近すぎて裾野が重なっているとか、半球状の池の端っこのところに島があるとか、などです。この場合、ナスカなど2.5DのCAMでは、投影加工とか2.8D?加工とかいうやり方でなんとかしのぐわけですが、これがまたうまくいかない時が多い。そこで、別に電極を作って放電加工になったり、ワイヤーカットで入れ子の入れ子をいれたりするはめになります。そこまでいかなくても、段差が多いとか、池の中に島がいくつかあるとか、断面が複雑とか、二次元半で出来るけど面倒というのはよくあります。

 そこで登場するのがモデルです。複雑な二次元半形状を、えーい全部まとめて三次元モデル化、そして三次元加工でやってしまえ、というわけです。形状がいくら複雑でも、所詮一個一個の形状は二次元半ですから、モデル化はわりと簡単です。

モデル化すれば、加工が進むにつれて次第にその全貌が明らかになるという、成り行きまかせの2次元半加工と違って、最初から出来上がりが確認できるので、設計ミスなどは減ります。加工する人のストレスも少なくなります。

加工者がモデルを作るのは面倒ですが、これは本来、設計者がソリッドモデリングすべきものでしょう。ああ、こんな感じか、なんて出来上がったものを現場で見て、感心しているような設計者がまだ多い。2D,輪郭中心主義はもうやめましょう。

複雑な二次元半形状の入れ子

ポリゴン化と面計算

VISUALMILLなどの最近のCAMは、モデルを読み込んだら内部でポリゴン化して計算しています。

WORKNC,POWERMILLなどもそうです。特にMSGはポリゴン化(三角パッチ化)することで計算が非常に速くなることを、はずかしげもなく(?)売りにしています。MASTERCAMなど開発時期が古いものは面から計算しているので、確かに、比べれば明らかに計算が遅い。体感速度でいうと、5から10倍くらいでしょうか?TOOLSやCRAFTMILLときたら、恐ろしく遅い、おそすぎる。

でも、このポリゴン化には問題があります。二次元で表現できる垂直な面や水平な面も、いくつかの三角パッチに分割してしまうということです。この結果、フラットエンドミルで普通の二次元の輪郭加工をやるつもりが、なにやら壁に沿ってまっすぐ走るべき工具が、XY方向にふらふら、Zも微妙に上がったり下がったり、ということになります。三角パッチに変換するときの計算の誤差はどうしても避けられません。球面がミラーボールになったり。しかし、面計算のCAMでも実は、計算時間がかかり過ぎないように、トレーランスで0.01とかの<まるめ>をやらざるをえないので、結果的にはそれほどきれいな面に仕上がらないといった問題があります。

この内部計算をどのようなアルゴリズムでやるかというのが、CAM開発の一番大事なところだと思います。ところでこのSPRUTCAMは面で計算しているそうですが、あまりそれらしく感じません。計算時間はVISUALMILLと比べたら明らかに早いです。二倍くらいか。でも、出てくるデータを見てもその辺はよくわかりません。ただ、面を指定して、そこだけをドライブ曲面加工でやると、面の境界あたりでものすごくデータ量が大きくなって、機械がついていけない。カクカクって感じで動いてます。面沿い加工は簡単なモデルにしか使えない(計算時間がかかりすぎるので)という感じです。

私個人としては、ポリゴンでも面でもどっちでもいいから、早くきれいにやってくれ、というところです。

SPRUTCAMのBlogはじめました。

現在、SPRUTCAMをプラスティック金型の加工に利用しています。主に3次元曲面加工用CAMとして利用しています。

最初に体験版をダウンロードして実際に金型の加工に使ったのは、今年(2005年)の2月頃でした。トレイの金型で、コーナーのぼかし曲面を貼りかえる(削りなおす)必要があったので、コアのコーナーのぼかし面なら失敗してもなんとかなるか、とやってみました。これがうまく出来ました。

SPRUTCAMは、モデルの読み込みのときに、すべてをいったん制限面(CHECK面)フォルダに入れておき、例えばコアのコーナーのぼかし面のみをモデル面フォルダに移し、この面のみ削るといったことが出来ます。ちなみに、このやり方は、日本語版のチュートリアルには無かったと思います。ほかのCAM(例えばVISUALMILLなど)でも、だいたいは2次元曲線を適当に作って加工範囲を限定する、というやり方しか使えないことが多いので、これは便利です。

もちろん、失敗することもありました。ベースの大きさが1メートルくらいのやつで、あまりにモデルも大きく加工時間も長いので、えいやっと気合一発で夜間運転をかけて帰って、朝見たら何箇所かわけのわからない食い込みが。加工した経験のある者のみ味わえるこの時の気分。わかりますよね。

そうです。ここにひとつSPRUTCAMの問題があります。すなわち、加工シミュレーションが非常に遅い。

仕方なく、シミュレーションもろくにしないデータを加工に使うはめになる。この点は改善してほしい、ということで今日はおきます。