公共事業政策を巡り自民と民主がマニフェストで激突
8月18日に公示、30日に投開票となる衆院選に向け、主要な政党のマニフェスト(政権公約)が7月31日までに出そろった。公共事業や建設業に関連する政策について、現政権の自由民主党と次期政権を狙う民主党の違いは何か。課題ごとにその内容を点検する。
| 自由民主党 | 民主党 | |
|---|---|---|
| 公共事業 | 地域生活に不可欠な道路は費用便益比(B/C)にとらわれずに積極的に整備を進める。現在の経済危機を乗り越えるためにこの3年間は積極的な財政出動を行い、社会資本の前倒し整備を進める | 川辺川ダム、八ツ場ダムは中止。時代に合わない国の大型の直轄事業は全面的に見直す。道路整備は費用対効果を厳密にチェックしたうえで、必要な道路を造る |
| 地方分権 | 国の出先機関の廃止、補助金や税分配の見直しなどの「新地方分権一括法案」を成立させる。同時に、直轄事業負担金制度などの抜本的な見直しや、国と地方の協議機関設置の法制化を進める。「道州制基本法案」を早期に制定し、2017年までに「道州制」を導入する |
国の出先機関は原則廃止。直轄事業負担金制度は廃止。それに伴う地方交付税の減額は行わない |
ガソリン税などの暫定税率 |
維持(現行政策) | 廃止 |
高速道路 |
料金引き下げ(現行政策) | 原則、無料化 |
| 政権体制 | 天下り、渡りは全面的に禁止。国家公務員を2015年までに2005年比で2割(8万人以上)削減 | 政府に国会議員約100人を配置し、政治主導で政策を立案、調整、決定する。事務次官会議は廃止。首相直属の「国家戦略局」を設置。事務次官や局長などの幹部人事を業績評価に基づくものにする。天下り、渡りのあっせんを全面的に禁止する。国家公務員の総人件費を2割削減 |
| 入札・契約制度 | 特に記載せず | 公務員OBを官製談合防止法の適用対象にする。随意契約、指名競争入札を実施する場合は、徹底的な情報開示を義務付ける |
地球温暖化対策 |
温室効果ガス排出量を2020年に2005年比で15%削減、2050年に半減を目標とする |
温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%減、2050年までに同60%超減を目標とする |
災害対策 |
防災、減災対策を戦略的、重点的に進める | 危機管理庁(仮称)を設置 |
まず公共事業の整備について、自民党は「地域生活に不可欠な道路は費用対便益比(B/C)にとらわれずに積極的に整備を進める」と明記。景気対策として「この3年間は積極的な財政出動を行い、社会資本の前倒し整備を進める」とした。一方、民主党は「川辺川ダム、八ツ場ダムは中止」と具体的な事業名を挙げ、「時代に合わない国の大型直轄事業は全面的に見直す」と掲げた。
次に、地方分権に関しては、両党とも国の出先機関の廃止や国の直轄事業負担金制度の廃止をうたっている。ただし、自民党がそれぞれ見直しの法制化を進めるとの表現にとどめているのに対し、民主党は廃止すると明記している。道州制への移行については、自民党が早期に法案を制定して2017年までに導入する方針を示した。
ガソリン税などの暫定税率と高速道路の通行料を巡っては、自民党のマニフェストには記述はないが、暫定税率は維持、高速道路は土日1000円などの料金引き下げという現行の政策を維持する方針だ。これに対し、民主党は暫定税率の廃止、高速道路の原則無料化を実施する。
政策の決定などについて、民主党は政府に国会議員約100人を配置し、政治主導に切り替える。官僚と与党のいわゆる族議員が影響力を持つ現体制を改める方針だ。国家公務員の天下りや渡りは両党とも禁止する。国家公務員の削減に関しては、自民党は人員の2割削減を打ち出したのに対し、民主党は総人件費の2割削減と表記した。
自民党は民主党のマニフェストに対して、財源や実効性を疑問視。一方、民主党は自民党のマニフェストに対し、政策の実行時期や内容のあいまいさを指摘している。
出典:日経BP社 ケンプラッツ