Combined use of a multiplex PCR and serum procalcitonin to reduce antibiotic exposure in critically ill patients with community-acquired pneumonia: the MULTI-CAP randomized controlled trial
肺炎も、培養じゃなくPCRの時代がいつか来るかもですね。
目的
マルチプレックスPCR(mPCR)検査は、地域社会で獲得された肺炎(CAP)の原因微生物を迅速かつ正確に特定できる可能性があります。mPCRとバイオマーカーを用いた管理戦略は、抗生物質の使用を減らし、臨床結果の改善につながるかもしれません。
方法
MULTI-CAP試験は、多施設(20施設)、並行群、優越性を検証するオープンラベルのランダム化試験です。対象は免疫抑制されていない成人(18歳以上)で、CAPのため集中治療室(ICU)に入院した患者で、1対1の割合でランダムに割り付けられました。
介入群では、広範囲の呼吸器mPCRと従来の微生物検査を組み合わせて病原体診断を行い、mPCR結果と血清プロカルシトニンに基づく抗生物質の早期中止または階層的減量のアルゴリズムを適用しました。
対照群では従来の微生物検査のみを実施しました。両群ともに、プロカルシトニンの値と動態に基づいて、入院3日目から7日目まで毎日抗生物質の中止を検討しました。
主要評価項目は、登録時から28日目までの期間で抗生物質を使用せずに生存している日数と定義されました。
結果
2018年10月4日から2022年3月3日までに406名が登録され、意図した治療解析では385名が評価されました。
28日目時点での抗生物質を使わずに生存している中央値は、介入群で19.0日(四分位範囲0.0〜24.0日)、対照群で19.0日(7.0〜22.0日)であり、その差は0.0日(95%信頼区間:−4.0〜4.0)でした。
しかし、28日目までの抗生物質累積使用日数は介入群のほうが3日短かった(95%CI:−5.1〜−0.9)です。重篤な有害事象に群間差は認められませんでした。
結論
CAPのためICUに入院した患者において、mPCRと血清プロカルシトニンを組み合わせた管理戦略は、通常のケアと比べて28日目までの抗生物質使用の減少や臨床結果の改善にはつながりませんでした。
うーん、、、、
そう上手いことはいかんか。
でも、可能性はあると思うっす。
Early versus delayed catheter drainage for patients with necrotizing pancreatitis and early persistent organ failure (TIMING): a multicenter randomized controlled trial
壊死性重症膵炎には、侵襲的なことをするな‼︎
と教えられてきましたが。。。。
ただねえ、、、
膵液じゃじゃ漏れでねえ、良きならんでしょ〜、とも思う。。。
ドレナージだけ早期に?、ワンチャンあるのか?
目的
急性壊死性膵炎の早期局所合併症である急性壊死性貯留液(ANC)に対しては、ガイドラインで治療の遅延が推奨されています。しかし、早期持続性臓器不全を有する患者においては、その遅延が有害となる可能性があります。本研究は、ANCを有するこの患者群に対して早期介入が臨床的利益をもたらすかを評価することを目的としました。
方法
本研究は多施設共同、オープンラベル、ランダム化比較試験です。疾患発症7日後にANCかつ持続性臓器不全を有する患者を対象に、以下の条件をスクリーニングしました。
(1) 臓器不全が7日以上持続している、
(2) 臓器不全の重症度が悪化している、
(3) 新たに臓器不全が発症した。
これらのいずれかの条件を満たした患者は、早期経皮カテーテルドレナージを受ける群または標準治療群にランダム割り付けされました。
主要評価項目は入院期間中の重大合併症および/または死亡の複合アウトカムとしました。
結果
合計120名の患者が早期介入群(63名)または標準治療群(57名)に割り付けられました。
主要複合アウトカムの発生率は早期介入群33.3%(21/63)、標準治療群36.8%(21/57)で、有意差は認められませんでした(リスク差−3.5%、95%信頼区間−20.6〜13.6%)。死亡率を含む個別の項目でも差はありませんでした。
ランダム化後21日間の臓器不全なしの日数も両群間で差はなく、早期介入群で中央値4日(四分位範囲0〜14)、標準治療群で中央値1日(同0〜15)でした。
最小侵襲的デブリードマンや開腹手術の必要性も両群で同程度でした。
結論
壊死性膵炎で早期持続性臓器不全を有する患者に対し、ANCに対する早期カテーテルドレナージは、標準的な遅延治療と比較して臨床結果の改善をもたらしませんでした。今後、より大規模な試験による検証が必要です。
うーん、、、、
嵐が過ぎるまで、身体丸めて待ってるしか、、、、ないんすかねえ。 どーにかなってほしいっすけど。
Source control in bloodstream infections in patients with sepsis, septic shock, or requiring ICU admission: a scoping review with recommendations for standardizing research
カテ感染のソースコントロール? 抜去以外何があるっちゅうの?
背景
血流感染症(BSI)は集中治療室(ICU)感染症の15%を占め、敗血症を引き起こすことが多く、死亡率は最大50%に達します。感染源コントロール(Source Control:SC)は、細菌や真菌の負荷を減らし感染の拡大を防ぐ介入を指し、管理において極めて重要ですが、十分に研究されていません。
目的
本スコーピングレビューは、敗血症、敗血症性ショック、またはICU入室患者のBSI文献におけるSCの定義、介入内容、タイミング、適切さ、アウトカムを調査し、標準化された報告の提案を行うことを目的としています。
方法
Medline、EMBASE、Cochrane Libraryを検索し、成人のBSIを対象に以下の条件を満たす研究を抽出しました。
• ICU入室率が50%以上、
• 敗血症患者が75%以上、
• 敗血症性ショック患者が25%以上。
抽出したデータは既存のガイドラインに従い報告しました。
結果
2,193件の抄録から77件の研究を含めました。
SCが主要目的とされた研究は21%で、その他は他の目的と併記していました。
カンジダ血症(47%)とカテーテル抜去(60%)に関する研究が多く、34%はBSIの原因にかかわらずカテーテル抜去のみを評価していました。
SCの定義は不統一で、定義なしが8%、最小限の定義が7%、簡潔な定義が17%、包括的な定義が9%、カテーテル抜去を定義としたものが60%でした。
全患者対象にSC実施割合を報告した研究は47%で、SCが必要な患者に限定した報告は少数でした。
SCのタイミングは68%の研究で報告されましたが、定義は一貫していませんでした。
SCの適切さを評価した研究は3%のみでした。
SCは65%の研究でアウトカム改善に寄与し、害は報告されていませんでした。
結論
重症BSIに関するSC研究は、定義の不統一、SC効果の評価不足、カテーテル由来BSIやカンジダ血症の過剰代表によって制限されています。
証拠の質を高め、重症患者のBSI管理を最適化するためには、標準化された報告が不可欠です。
こんな死亡高い?
気をつけましょう。。。。
カンジダも多い言いますが、思ってるより多いのかな? MRSAなイメージが強いですが。。。
って、聞いたら、、、
カテーテル感染で多い病原菌
• グラム陽性菌
• 特に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、その中でも**MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)**は非常に頻度が高く、カテ感染の代表格です。
• その他、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidisなど)もよく見られます。
• 真菌(カンジダ属)
• 特に免疫抑制状態や長期間の抗菌薬使用がある患者では、カンジダ血症の原因としてカテーテルが重要な感染源になります。
• カンジダは血流感染全体では頻度は低いですが、カテ感染の一部では相当数を占める場合があります。
⸻
ポイント
• MRSAやその他のグラム陽性菌がカテーテル感染で最も一般的ですが、
• ICU患者や免疫不全、長期抗菌薬使用のある患者ではカンジダによる感染も増えてきており、
• そのため今回のレビューでカテーテル感染の研究にカンジダ血症が多く含まれている背景があります。
⸻
まとめると、
• カテーテル感染=MRSA(やその他グラム陽性菌)が多いが、免疫状態や治療背景によってはカンジダも重要な病原体になる
• 重症例では真菌感染も見逃せないため、抗真菌薬の検討やカテ抜去は特に重要視されます。
正に、僕の先生です。ChatGPT先生。
バージョンアップ、おめでとうございます‼︎
Noninvasive respiratory supports in ICU
なんでも、HFNOの時代っすよねえ。。。
イイも悪いも。
背景
非侵襲的呼吸補助は、急性呼吸不全の重症患者に対し、気管挿管や侵襲的人工呼吸を回避する目的で日常的に使用されています。これにより関連合併症のリスクが減少し、抜管後の人工呼吸器離脱の成功率も向上します。また、気管挿管時の前酸素化のためにも使用され、酸素化の改善と手技の安全性確保を目的としています。
本文
高流量鼻カニュラ酸素療法(HFNC)は、気道のデッドスペースを減少させ、吸入酸素濃度を安定的に保ち、流量依存性の低圧陽圧を発生させ、患者の快適性を最適化します。
陽圧型非侵襲的呼吸補助には、持続的陽圧呼吸療法(CPAP)と非侵襲的換気療法(NIV)があり、呼気終末陽圧をより高く設定できるため酸素化をさらに改善します。
非侵襲的換気療法はCPAPに比べて吸気労作をより軽減し、一回換気量や肺胞間圧(胸膜透過圧)を増加させます。
結論
高流量鼻カニュラ酸素療法は急性低酸素性呼吸不全における第一選択治療となっています。
一方、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の増悪で呼吸性アシドーシスを伴う患者に対しては非侵襲的換気療法が標準的治療です。
挿管が必要な患者では、非侵襲的換気療法が前酸素化の最適手法であり、低酸素状態のリスクを減らします。
非侵襲的換気療法が禁忌の患者や低酸素状態にない患者では、高流量鼻カニュラ酸素療法が代替選択肢となります。
抜管後に再挿管リスクの高い患者では、予防的な非侵襲的換気療法が、高流量鼻カニュラ酸素療法と交互に行われることもあり、他の戦略と比べて離脱成功率を改善します。
再挿管リスクの低い患者では、高流量鼻カニュラ酸素療法のみでも従来の酸素療法より良好な成績を示します。
状況次第で、NIPPV。
どっちにせよ、挿管管理一択の時代じゃない。
State of the art: Renal recovery after AKI - from basic science to clinical practice
AKIの回復過程、その治療法、予後、
はね、研究されてますけど、まだまだ。
同じ値のAKIでも、回復過程で別モノっすからね。
どんな違いなんすかね?
長期化は繊維化しちゃうって言うには、ArDSの肺と一緒?あ、抗繊維化薬とか、いつか使われるんすかね? pMxも、AKIに繊維化うんちゃらで、イタリアとかでは使うもんね〜。肺線維症にも、か。
今後注目分野っすね。
目的
急性腎障害(AKI)は重症患者に多くみられ、高い死亡リスクや慢性腎臓病(CKD)、心血管疾患の罹患率と関連しています。腎機能が不完全にしか回復しない、あるいは回復しない患者ではリスクがさらに高くなります。本レビューの目的は、腎回復のメカニズムに関する現状理解をまとめ、回復不全の主なリスク因子を列挙し、知見のギャップを明らかにすることです。
方法
文献の主要データに基づくナラティブレビュー(叙述的総説)を行いました。
結果
AKIからの回復は能動的なプロセスです。腎障害が軽度の場合は完全な再生が可能ですが、損傷が広範囲に及ぶと線維化が進行します。
現在の回復促進戦略は、損傷機序の特定とさらなる障害の最小化に焦点を当てています。
腎毒性物質への曝露や様々な形態の透析による「透析トラウマ」は回復を阻害します。
修復が不適応的になる可能性は、年齢や損傷の範囲・期間が大きいほど高まります。
糸球体濾過率(GFR)が障害前のレベルに戻っても、ネフロン損失やCKDの発症を否定するものではありません。
退院後のAKI生存者のフォローアップは重要ですが、不確実性が多く臨床実践はばらついています。薬物療法の役割を明らかにする研究が進行中です。
結論
AKIの予後は腎回復に密接に関連しており、有効な治療法の確立が強く求められています。
Venous thromboprophylaxis in the ICU: navigating evidence, risk, and practice gaps
背景
静脈血栓塞栓症(VTE)は重症患者における頻繁な合併症であり、罹患率や死亡率に大きく寄与しています。最近のメタアナリシス(42の観察研究、27,344名)では、心血管疾患、外科、内科、外傷、神経疾患の混合した重症患者におけるVTEの有病率は10.0%(95%信頼区間[CI]、7.0~14.0%)と報告されています[1]。
臨床所見(病歴や身体診察)のみでICUにおける下肢深部静脈血栓症(DVT)を検出することは不十分であることが示されており、そのため二重造影超音波検査(ドプラ―超音波)がこの場面での診断標準となっています[2]。
ガイドラインの概要
複数の臨床ガイドラインが重症患者の静脈血栓予防について述べています。具体的な推奨内容やエビデンスの評価方法に違いはあるものの、共通のテーマが一貫して認められます[3,4,5]。
1. 薬理的血栓予防がVTE予防の基盤
13件のランダム化比較試験(RCT、9,619名の重症内科、外科、外傷患者)を用いたネットワークメタアナリシスでは、低分子ヘパリン(LMWH)がDVT発生率を減少させる(オッズ比[OR] 0.59、95%信頼区間[CrI] 0.33–0.90、高い確実性)と報告されました。未分画ヘパリン(UFH)はDVT減少の可能性がありますが(OR 0.82、95%CrI 0.47–1.37、確実性は低い)[6]。
2. LMWHが一般にUFHより推奨される
LMWHはUFHよりDVT減少効果が高い可能性があり(OR 0.72、95%CrI 0.46–0.98、中程度の確実性)、肺塞栓(PE)やヘパリン誘発性血小板減少症(HIT)の発生率も低く、主要出血率は同等です[3,4,5,6]。
ただし、ICU患者は腎機能や体液移動、炎症などの影響で抗凝固薬の薬物動態・薬力学が大きく異なるため、単一の抗凝固薬クラスや投与量がすべての患者に最適とは限りません。
3. 抗凝固薬の最適投与量
44件のRCT(90,095名の入院患者、うち7,730名が重症患者)を含むネットワークメタアナリシスでは、固定量ではなく複数の投与量を評価しています。
その結果、中間量のLMWH(例:エノキサパリン40〜60mg/日)が低用量(例:40mg未満)よりVTE予防のリスク・ベネフィットのバランスが良好と示唆されました(確実性は低〜中程度)。
一方、中間量のUFH(総投与量10,000IU超)は主要出血のリスクが高まる傾向にありました(低〜中程度の確実性)[7]。
4. LMWH使用時のモニタリング
LMWH使用で抗Xa活性(aFXa)を日常的にモニタリングする必要はありません。ただし、腎機能障害、重度の肥満や低体重など特定の患者ではaFXa値を用いた投与調整が考慮されます[3]。
目標ピークaFXa値は0.2〜0.4IU/ml、肥満外傷患者では最大0.6IU/ml、トラフ値は0.1〜0.2IU/mlが推奨されています[3]。
5. 薬理的予防が不可能な患者への間欠的空気圧迫法(IPC)
薬理的血栓予防ができない患者にはIPCを使用すべきです。ネットワークメタアナリシスによると、IPCはコントロール群よりDVTリスクを減少させる可能性があります(OR 0.85、95%CrI 0.50–1.50、確実性は低い)[6]。
6. 薬理的予防を行う患者にIPCを併用しても追加利益は少ない
PREVENT試験(2,003名の主に内科重症患者)では、IPC+薬理的血栓予防と薬理的血栓予防単独の比較で有意な追加効果は認められませんでした[8]。
系統的レビューでは、IPC追加によるDVT減少効果は手術・外傷患者や産業支援の研究で主に報告されており、一貫性に欠けます[6,9,10]。
非常に高リスクの手術・外傷重症患者におけるIPC併用の効果はさらなる研究が必要です[3]。
7. IPCは段階的圧迫ストッキング(GCS)よりDVT減少効果がある可能性
確実性は低いですが、ランダム化試験ではGCS単独使用は脳卒中患者(CLOT 1試験)、LMWH追加の選択的手術患者(GAPS試験)において利益は示されませんでした[11,12]。
8. VTE予防の利益と出血リスクのバランスを慎重に評価することが重要
PROTECT試験では薬理的血栓予防患者の5.5%で重大出血が報告されています[14]。
このことは、血栓予防の判断において個別化された日々のリスク・ベネフィット評価が重要であることを示しています(表1参照)。
9. VTEリスクが低下したら血栓予防は中止可能
患者が自力歩行可能となり、持続的なリスク因子がなくなった場合や、治療目標が予防から別の方向に変わった場合など、ICUでの血栓予防は高リスク状態が解消した時点で中止して良いとされています。
10. 特定の臨床状況では個別の血栓予防レジメンが必要
重度の腎機能障害患者には他のLMWHよりも未分画ヘパリン(UFH)またはダルテパリンを使用すべきです[3]。
重度の肥満や低体重患者にはLMWHの投与量調整が必要です。
人工股関節置換術、人工膝関節置換術、股関節骨折患者の予防には、クマリン系、直接経口抗凝固薬(DOAC)、LMWH、UFH、機械的血栓予防法などが施設のプロトコルや患者特性に応じて用いられます(オンライン参照)。
実際の臨床現場での状況
多国籍調査(23カ国、170 ICU、715名の医師対象)によると、98%のICUで薬理的血栓予防が行われ、84%で機械的血栓予防法が用いられていました[15]。
報告された36種類の薬理的レジメンの中で、最も頻用されたのはLMWH(87%のICU)、次いで皮下注射のUFH(26%)でした。
LMWHの具体的な製剤では、エノキサパリン40mg、ダルテパリン5000IU、チンザパリン4500IUが1日1回投与で最も多く使われています[15]。
70%が間欠的空気圧迫法(IPC)、58%が段階的圧迫ストッキング(GCS)を使用しています[15]。
また、58%の回答者が施設内の血栓予防に関するガイドラインやプロトコルの存在を報告しました[15]。
血栓予防の未実施リスク
オーストラリア・ニュージーランド集中治療学会成人患者データベース(1,465,020件のICU入院記録)を用いた後ろ向き解析では、禁忌がないにもかかわらず入室24時間以内にいかなる血栓予防も受けなかった患者が7.3%存在しました。
血栓予防の早期省略は院内死亡リスクが35%増加(OR 1.35、95%CI 1.31–1.41)と独立して関連していました[16]。
ただし因果関係の証明は困難であり、血栓予防の有無は全体的な医療の質の指標である可能性や、残存交絡の影響も考慮が必要です。
しかし、施設内プロトコルの欠如、リスクの誤分類、スタッフの認識不足といった一般的な障壁を解消することが、臨床ガイドライン遵守の改善に重要とされています。
今後の展望
ICUにおける静脈血栓予防の将来課題は、個別化リスク評価、バイオマーカーを用いた戦略、投与量最適化、AIによる予測モデル統合による効果向上と出血リスク低減の両立です。
また、ガイドラインの標準化やICU退室後の延長予防の評価も重要な研究課題となっています。
ただ、、、、
ただですね、、、、
日本では、いまだに、、、、
低分子ヘパリンはICUの血栓予防に保険適応がありません‼︎ コレが日本、、、、なんすよね。。。
周術期もね、日本hq抗凝固薬が遅れてる。
何故かね、特定分野で、遅れてるんすよねえ?
Renal replacement therapy
過去20年間で、重症患者に対する腎代替療法(RRT)のアプローチは大きく変化しました。かつては早期かつ経験的な対応が主流でしたが、現在はより個別化され、エビデンスに基づく戦略へと移行しています。
大規模なランダム化比較試験(RCT)により、緊急の合併症がない場合は経過観察(ウォッチ&ウェイト)戦略をとることの安全性が示されており、一方で技術的進歩や投与量の適正化が安全性と効率性の向上に寄与しています。
この進展は、臨床判断、治療目標、利用可能な資源を統合し、RRTの開始時期、方法選択、終了を決定する患者中心のケアモデルを支持するものです。
本稿では、集中治療領域におけるRRTの現行標準的ケアの主要要素を紹介します。
図1はこれらの要素をまとめたものであり(抗凝固戦略や血管アクセスに関する考慮点も図には含まれますが、本文では触れていません)。
開始とタイミング
急性腎障害(AKI)における腎代替療法(RRT)の最適な開始は、あらかじめ決められた時間ではなく主に臨床的な指標に基づいて判断されます。
即時のRRT開始が必要となる緊急指標は4つあります:
1. 標準的な治療に反応しない重度の高カリウム血症
2. 重度の代謝性アシドーシス(重炭酸塩輸液や換気代償でも改善しないもの)
3. 利尿剤に抵抗性で肺水腫をきたす難治性の体液過剰
4. 脳症や心膜炎などの特異的な尿毒症合併症
これら緊急症状がなければ、臨床的・生物学的モニタリングを密に行い遅延開始戦略を優先すべきです。
実際、AKIKI、IDEAL-ICU、STARRT-AKIの大規模RCTは、生命を脅かす合併症出現前の早期開始が生存率を改善せず、むしろ腎回復を阻害する可能性があることを示しました。
遅延戦略で管理された患者の約40%はRRTを必要としませんでした。
ただし、オリゴ無尿状態が3日以上続く、または血清尿素濃度が40mmol/Lを超えるような過度の遅延は死亡率増加と関連しています(AKIKI-2研究)。
よって現行の標準的ケアは、不要な治療の回避と有害な遅延のバランスをとる慎重な指標駆動型開始を支持しており、個別化アプローチが検討中です。
施行法
RRT開始決定後、持続的RRT(CRRT)、間欠的血液透析(IHD)、持続的低効率透析(SLED)や延長間欠的RRT(PIRRT)などのハイブリッド法、資源制限下では腹膜透析も選択肢です。最適な方法選択は依然議論中です。
KDIGOガイドラインは血行動態不安定な患者に対してはCRRTを推奨していますが、他の専門家は施設の経験やスタッフ教育、資源状況を重視すべきと指摘します。
CRRTはゆっくりとした溶質・体液除去を提供しますが、RCTやメタ解析ではIHDに比べ生存率や腎回復の一貫した改善は示されていません。
STARRT-AKIの二次解析では、CRRTは90日死亡または透析依存リスクの低減と関連(調整オッズ比0.81、95%CI 0.66–0.99)し、特に早期開始群で顕著でした。
また、34,000名超のコホート研究ではCRRT群の方がIHD群より退院時の透析依存率が低い(26.5%対29.9%)ことが報告されています。
一方、AKIKIおよびIDEAL-ICU試験の二次解析ではCRRTが死亡率増加と関連する可能性も示され、結果は相反しており、観察研究や事後解析の限界、適応バイアスや治療の多様性が影響していると考えられます。
この不確実性を受け、現在ICRAKI試験(NCT05586503)というRCTでRRT方法の臨床的意義が明確化されようとしています。
投与量(ドーズ)
施行法にかかわらず、RRTの投与量は有効性の重要因子とされ、主に小分子溶質の除去や電解質・酸塩基異常の補正を反映します。
大規模多施設RCTやシステマティックレビューで、高用量RRTが低用量に比べて有益とは示されていません。
むしろ高用量は28日目の腎回復を遅らせる可能性があります(相対リスク1.15、95%CI 1.00–1.33、P=0.05)。
高用量CRRT(高容量血液ろ過、総除去液流量45mL/kg/h以上)に関しては、敗血症患者中心の研究で標準CRRTとの間に臨床的利益は示されていません。
一方、日本の小規模後ろ向き研究では、10~20mL/kg/hと標準より低用量CRRTでも電解質や酸塩基の管理は可能である示唆がありますが、主要臨床アウトカムへの影響は不明であり、低用量RRTに関するRCTが進行中です。
現行ガイドライン(KDIGO)はCRRTの標準的目標投与量を20–25mL/kg/hとし、IHDや延長間欠的RRTでは週あたりのKt/V約3.9を推奨しています。
中止
腎機能回復が認められればRRT中止を検討します。
クレアチニンやその他の尿毒素はRRTで除去されるため、内因性の糸球体濾過率回復の評価は困難です。
大規模コホート研究では、尿量が自発的に1日500mL超(利尿剤使用時は2.4L以上)あれば中止を試みる広く受け入れられた基準となっています。
過剰または不要なRRT継続は腎回復を妨げることもあり、NGAL、プロエンケファリン、CCL14などのバイオマーカーによる中止時期の最適化の研究が進んでいます。
中止時の尿量に加え、開始時尿量、RRT継続期間、既存の慢性腎疾患も予後因子として考慮されます。
利尿剤使用はRRT離脱を早めるとは示されていません。
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今後の展望
ICUにおけるRRTは今後、患者個別の臨床・生物学的指標に基づくより高度な個別化へと進むと期待されています。
最新のモデリング研究が提唱する開始タイミングの個別化は、治療をより精密にターゲット化し成績を最適化する可能性があります。
施行法の最適化を目指す臨床試験が進行中であり、低用量RRTの利点を探る研究もあります。
さらに、RRT中止の標準化と最適化の取り組みも重要であり、この重要なフェーズでの意思決定を洗練させるでしょう。
これらの進展により、集中治療におけるRRTはより患者に合わせた効果的な治療へと進化することが期待されます。
イイまとめですね。。。。
しっこ2Lでてるのに念の為もう一日、、、、とか、なくなるとイイっすね。。。。
Hemodynamic targets in the initial resuscitation of older patients with sepsis: time for a reappraisal?
集中治療室(ICU)入院を必要とする高齢患者の増加に伴い、この集団の特有のニーズをより深く理解しようとする臨床医や研究者の関心が高まっています[1]。ICU入院の是非に加え、ICUで行われる介入も評価されるべきです。中でも、循環動態管理や平均動脈圧(MAP)目標値についての研究が進み、65歳以上の患者においては高いMAP目標が有害となる可能性が示唆されています[2, 3]。
多施設オープンラベル無作為化試験であるOPTPRESS試験において、遠藤ら[4]は敗血症性ショックと診断された65歳以上の成人患者を対象に、高いMAP目標(80~85 mmHg)と低いMAP目標(65~70 mmHg)を比較しました。両群とも、ノルエピネフリン投与量が0.1 µg/kg/分以上に達した時点で早期にバソプレシンを開始しました。著者らの仮説は「高いMAP目標が死亡率を10%低減させる」というものでしたが、518名の中間解析後に有害事象のため早期終了となりました。90日死亡率は高MAP群で有意に高く、39.3%に対し低MAP群は28.6%でした。二次アウトカム(人工呼吸器非使用日数、カテコラミン非使用日数、腎代替療法非使用日数)も低MAP群が優れていました。なお、高血圧の有無による治療効果の異質性は認められませんでした(交互作用のp値=0.27)。
高齢患者において高いMAP目標を設定することの潜在的有害性は重要な知見です。過去の研究でも同様の懸念が示されています。OVATION試験とSEPSISPAM試験の個別患者データメタ解析では、高MAP目標が年齢とともに死亡リスクを上昇させることが報告されています[2, 5]。さらに、Lamontagneらは、65歳以上の血管拡張性ショック患者に対して許容的低血圧戦略(MAP目標60~65 mmHg)を採用したところ、死亡率改善の可能性を示しました(ハザード比0.94、95%CI 0.84–1.05)。さらに慢性高血圧患者での治療効果の好ましい異質性も示されています(オッズ比0.67、95%CI 0.51–0.88、交互作用のp値0.047)[3]。今回の研究は、より均質な敗血症性ショック患者群でこれらの知見を裏付けるものです。
高いMAP目標の有害作用はバソプレッサーの副作用に起因すると考えられます。高MAP群ではノルエピネフリンおよびバソプレシンの投与量が多くなりました。高MAP目標達成におけるノルエピネフリンの投与増加はよく知られており[6]、その多彩な副作用が予後不良に寄与する可能性も示されており、カテコラミン使用を最小化する戦略が支持されています[7]。
OPTPRESS試験では、高MAP目標達成にバソプレシンをベースにしたカテコラミン節約戦略を用いており、これがSEPSIS-PAM試験(不整脈リスク増加を示した)との有害事象プロファイルの違いを説明している可能性があります[6]。現行ガイドラインはバソプレシンをカテコラミン節約剤として推奨していますが[8]、最適な使用タイミングや方法は未だ不明です[9]。
バソプレシンはβアドレナリン受容体刺激を伴わず、V1a受容体を介して独特の血管収縮作用を発揮するため、左心室の後負荷が増加します[10]。このため、心機能が低下した高齢患者に特に有害となる可能性があり、この状況下での心機能評価が適切に行われることが望まれます(図1参照)。
多くのMAP目標設定試験と同様に、実際に達成されたMAP値はしばしば予想より高くなることが多いですが[3, 6]、この観察結果がより根本的な問題を見落とさせてはなりません。すなわち、臨床医はMAPの値そのものだけでなく、その生理学的影響を考慮しなければならないということです。早期蘇生の目的は組織灌流を回復し、循環・細胞・代謝異常による臓器不全を防ぐことにあります[11]。しかし、敗血症性ショックでは、大循環(マクロ循環)と微小循環(ミクロ循環)の乖離が病態生理の重要な特徴の一つです[12]。
総合的に見て、OPTPRESS試験や他のMAP目標試験の結果は、血管拡張は適応的反応であり、臨床では注意深く最小限に是正すべきであることを示唆していると考えられます。高血圧患者であっても、単に高いMAPを達成するためだけに血管拡張を是正することは有害であり、臨床実践では避けるべきです。灌流をターゲットとしたバソプレッサーの試験的使用戦略が有益かどうかは、高齢患者および若年患者の双方において今後の研究の焦点となるべきです。これは、マクロ循環とミクロ循環の両者の反応を統合的に評価するアプローチが必要であり、Hernandezらが提唱している通りです[13]。
敗血症性ショックの高齢患者管理においては、生理的複雑性や併存疾患を反映して、以下の重要な点を考慮する必要があります。
• 心機能障害の可能性を考慮しつつ、迅速に灌流を回復させること。一般的に推奨される30 ml/kgのクリスタロイドの迅速投与も、心臓の予備能や体液許容量に合わせて個別に調整すべきです。
• 既往症や包括的な心血管機能評価に基づき、適切なバソプレッサーの選択と投与タイミングを決定すること。
• 初期蘇生後に持続する低灌流に対しては、短期間の「バソプレッサーテスト」(一時的にMAPを上げて組織灌流の可逆性を評価)を検討すること。これをガイドする有効な指標(毛細血管再充満時間、尿量、乳酸クリアランスなど)の同定は依然として大きな課題です。
時折、クリティカルケアにおける臨床試験の重要性を改めて認識させられます。今回がまさにその一例です。OPTPRESS試験の著者らはこの試験を実施し、患者ケアのためのエビデンス基盤に大きく貢献したことを称賛に値します。今後は、圧力ではなく灌流をターゲットにした試験が、敗血症性ショック蘇生においてマクロ循環戦略の個別化が進むかどうかを明らかにすることが期待されます[14]。
いやあ、、、
時代って、ホント、繰り返すんでしょうね。
血圧絶対主義。血圧上げろ〜、言うてもねえ、
心拍出が2L、3L、6L、とか、
還流の量に関係なく血圧言うても、、、、
って、10年以上前の議論がまた、起きるんでしょう。で、いつか、、、結果を得られればイイっすね。
僕は、血圧絶対主義が嫌いだったから、還流あっての血圧に戻ってくれて嬉しいわ。
でもねえ、
蘇生後hq85、Sepsisは65とか、、、
ま、、、最低限ねえ、ありゃ、上は目指し過ぎんほうがいいよ絶対。