凝固と抗凝固 | 犬好き麻酔科医ブログ

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Should all patients with sepsis receive anticoagulation? Yes

Sepsisの時に抗凝固するかしないかは、
意見が割れてます。
で、まずは、やったほうがいいっしょ!!って意見。

そもそも、Sepsisでは、炎症と凝固が亢進しますなぁ。
さらには、それを溶かそうとして、血小板などの低下があったり、
末梢の組織の血流が、DICで悪化し、臓器障害を起こしたり、、、ね。
だからね、
理論的な話からすると、
亢進した凝固を抑える薬は、有効なはず、ってな、わかってるんですが。。。

一方、
凝固と免疫の関連も最近じゃあ言われてて、
凝固が亢進すると、免疫は賦活される、って。
つまりはまあ、必要な反応だぜ?、それを抑制するのかい?
みたいな話もあるわけっすな。

ま、まとめりゃ、
多少の凝固亢進(thrombin産生)は、身体にいい反応の可能性があり、
過剰な凝固亢進は、DICなどを起こす有害反応な可能性がある、と。

で、、、、
実際、ProC、Heparin、AT3、、、、
うん、確かに、予後改善したって報告はある。。。
が、、、しなかった報告のが圧倒的に多いよね?
でもまあ、
副作用である出血の頻度が低いんであれば、まあ、
使ってもいいのかもしれんが、コレはなんとも言えん。
特に血小板下がったらね。

あ、
新しいのだと、トロンボモジュリンとかにも系譜は繋がりますがね。

ま、Sepsisの主病態が、炎症、凝固、免疫にあるならねえ、
そこをターゲットにすることは、理解できる。
そんな中で、
何をどの患者に使うかが焦点ですなぁ、とされてます。



Should all septic patients be
given systemic anticoagulation? No

一方、そんな使い方はいかんぜえ、って意見もあるわけで。
ま、
病態としての治療ってな、想定外で、
DVTとか予防のための抗凝固薬、っていう、もう、引いてる意見からですけどね。
で、
それすらも否定的なんすわ。
重症患者は抗凝固薬必要です。(日本は遅れてますが、、、ね)
でも、
Sepsis患者を同様に扱うと、出血、多いぜ、っていうのが
主だった主張。
出血が少ないっていうStudyは、除外患者が多く、
そのために、出血頻度が下がってるだけで、
除外無しだと、6-10%を超えて出血が実際には起こってるんじゃね?、と。

それと、こっちの主張は、
凝固からくる、免疫賦活の主張っすわ。
immunothrombosis、
っていう言葉になるらしい。
目にすることがあるかもね、覚えておこうね。

ま、
まとめますと、
抗凝固薬からくる利益は不鮮明、
副作用である出血は、実はかなり多い、
凝固と免疫の関連を考えると、抗凝固薬が悪い可能性も?

ってことで反対っすわ。

ま、
どっちの意見も正しそうだよねー。
でも、
僕は、一番期待してた、ASAが、効果なかったんで、
もう、抗凝固薬がSepsisの予後を単独で改善ってな、無理かなー、って。
そうそう、、、、単純じゃないよね、Sepsis。

だから、面白いんだけどね。

どっちを選んでも、後悔せぬ治療をしましょうね。
ま、
Do No Harmを尊重すれば、しない、って感じかね。
あ、、、
日本人は、
周術期や、重症患者に、Heparinはじめ、抗凝固は全くしないけど、
Sepsisと聞くと、すぐ、Foyやら、AT3やら、TMやら、、、
ぜーんぶ使うの、なんででしょうね?
病態じゃなく、病名を治療してんだろーなあ、きっと。。。。