だって、捻くれ者じゃけええのお | 犬好き麻酔科医ブログ

犬好き麻酔科医ブログ

海外臨床留学麻酔Dog、カブリオレのお送りする、
最新論文から、医療の未来像まで。
日々精進。

経肺圧って、なんじゃらほい?
ウチのMEちゃんが、調べてるんで、、、、


Mechanical Ventilation Guided by Esophageal Pressure in Acute Lung Injury
NEJM 2008

なるものを見てみることに。。。

僕自身、経肺圧なるもんを測って、
人工呼吸器患者の設定を変えたことが無い。
器具があったら、何回か測ってみたことくらいあっただろうが、
一度も無いわあ。

ただ、、、、
あんまり、意味があるとも思えんのだが、どうだろうか??


重症患者の呼吸器設定は、
もう、ある程度決まったことをする、と思っている。

つまりは、一番大事なのは、
1回換気量を6ml/kg程度に制限すること。
コレは、設定をいじるだけで、簡単だわな。

ついでに、
平均気道内圧は、30以下にすること
コレも、超重症でなけりゃあ、まあ、可能だわなあ。

そして、至適PEEPをかけること。
、、、、
至適PEEPは、理論上、測定できるという意見がある。
そして、経肺圧も、そこが狙いなんだろう?
が、、、、
PEEPが、予後を改善したStudyが、存在しないのも事実、ではある。

そして、
PEEPなんて、基本10~12位にしとくだけじゃん?
酷けりゃ、15位まではあげるけどお?
ってのが、個人的感想、、、でもあり、
至適PEEPに、そこまで、のめり込み必要性は無いのでは、とも思う。


ま、、、いいや、見てみようか。。。
ま、Abstractを見てみると、、、
ARDS患者に、
標準管理群(ARDSーNetと同じなのは評価できるわな)
経肺圧群(食道内圧測定)
の比較。
で、酸素化がOutcomeのStudy。

結果を見ると、、、、
24-72時間にわたり、
経肺圧群で、酸素化が改善されたよ、と。
というモンですわ。
あ、ついでに測定した、コンプライアンスも改善してたよ、とされている。

ま、経肺圧を測定すると、酸素化が改善する、と。

でも、コレだけだとなんのこっちゃかわからん。
なんで、酸素化が改善されたんや?

経肺圧群のPEEPの設定方は、
食道内圧プラス0-10の範囲のPEEP、という設定で、
現在のFiO2で、決まっている、という方法のようだ。
ふむふむ。
で、
一番知りたいこと。
じゃ、実際に、どんだけ、PEEPに差が出たん??

Control群では、
ベース 15が、 72時間後 10へ

経肺圧群では、
ベース 13が、72時間後 17へ

ベースでは、同じPEEPの状態で比べて、
72時間後は、、、異なるPEEPで比べてるの??
で、経肺圧群で、酸素化がいい、と。
ん? この時だけ、Controlも、PEEP17にしたら、どうなの??
PEEP高い方が、酸素化は、いいに決まってる、、、よねえ?

ま、いいや。
実際のPEEPの変動を見ると、
経肺圧群で、PEEPを増やされ、
Control群で、PEEPを減らされている。

ということは、
経肺圧を図る意義、というのは、
PEEPをもっともっと、上げる、ということにつながるのか??

完全に、余談のデータだが、
生存率も、経肺圧の方が良い。
PEEPが、予後を規定する、というデータは無いのに、
経肺圧を元にして、PEEPを上げれば、予後が良いの??

ControlのPEEPがずっと15位だったら、差は出たの?

うーん、
イマイチ謎やなあ。。。

敢えて言うならば、、、
経肺圧を測定してみると、
重症患者の至適PEEP設定は、もっと高いとこにあるかもよ?
ねえ、PEEP15位をベースにしたら?
とか、、、かなあと。

ま、性格がねじ曲がった人の解釈、、、なのかもだけど。

まあ、無理にはからんでもなあ、と思っちゃうけどなあ。

でも、
PEEP下げすぎる人が、現代でも、、、2016年なのに、、、
沢山いるから、そういう人を納得させるにはいいのかも、、、だけど。。

以上ー