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Sepsis After Cardiac Surgery: From Pathophysiology to Management





心臓手術後のSepsisという事でね、
ちょっと時間かけて、見てみますかね。。


心臓手術は、全身の過剰な反応を惹起する。
手術外傷、ズレ応力、血液の外部への曝露、血管内皮以外との接触、、、、
輸血、生体の回復反応、、
色んな因子があるもんね。

最初の全身の炎症反応により、
免疫は抑制された状態になる。
よって、
院内感染、Sepsisを起こしやすい状態に陥っていると言える。

更に、虚血再灌流は、血管内皮の透過性を亢進させ、
小腸からのエンドトキシン放出を亢進させる。
(そう、最近だと、小腸からのエンドトキシン放出、ってのが、機序の一つにされてる。
コレの抑制が経管栄養の一つの役目ともされてるトコダネ)

このような場合、全身の反応は、単独の病因で起こされるわけではなく、
病因が発生する毒素によって、起きていると考えられる。


エンドトキシン、リポポリサッカライド (LPS),は、人の小腸に多く存在する。
が、一旦血管内にはいりこもうものなら、、、
臓器障害に繋がりかねん、全身反応を引き起こす。


“management of sepsis after cardiac surgery”
というものを調べてみると、
Sepsisに関しては、多くの知見が得られているにもかかわらず、
心臓手術患者に関するデータはほとんど存在しない事が判明した。


keywords として、
“sepsis,” “septic shock,” “sepsis management,” “postoperative complications,” “cardiac surgery.”
を入れて調査をする。

心臓手術は、全身の反応を直接、間接、両方で亢進させる。
手術外傷、ズレ応力、血管内皮以外との接触、内部ホルモン、セルセーバー、などで、
免疫は活性化される。

通常の反応として、
炎症反応は、サイトカインが、恒常性維持のため、産生される。

最近まで、
Sepsisによる臓器障害は、炎症過剰により、起こされると思われていた。
いわゆる、 “cytokine storm,” だ。
炎症過剰が起き、その後、抗炎症反応が優位に、という時期が来るとされていた。

だが、より最近のStudyで、
向炎症と、抗炎症の両方の反応は、同時に起こっているとされた。

これにより、免疫抑制が、Sepsisにおける臓器障害の機序では?、とされる。

免疫抑制で、患者は感染しやすくなり、日和見感染のような
感染症をSepsisの後期に認める理論となる。


心臓手術後のかんじゃでは、
人工呼吸関連、カテーテル、尿路、創部の感染症が挙げられる。

最近のSepsisの定義は、、、、って直近に変わっちまったんで、抜かそう。。。


心臓手術後の患者では、培養は、陰性となる事が多い。
だって、抗生剤を十分量行ってるんだもんね。

更に、Sepsisは、病原体そのものより、病原体の出す、毒素で起きているかもしれない。

感染も臓器障害も、実は定義が曖昧なものだ。
感染も、部位、病原菌、栄養状態、急性臓器障害の重症度、合併症、治療開始時期、、、
様々な因子で変わってくる。

手術患者では、更に複雑。
術後の反応か、Sepsis反応かは、直後には鑑別しにくい。

170ものバイオマーカーが研究されたが、
Sepsis領域で、役立つものは確定していない。
有名どこは、CRPとプロカルシトニン。
が、、、手術単独でも上昇するのが微妙なとこ。

ただ、
大手術術後4日目以降に、
CRP (>100 mg/L)が続くと、感染の事が多いとされている。

心臓手術後は、プロカルシトニンも上昇する。
術後1日目にピークを迎える。(CRPは、2日目が多い)
術後心不全で、プロカルシトニン>10 ng/mL は、感染の可能性が高いようだ。


Sepsisには、凝固系も重要に関わる。
感染と、それ以外の炎症を、APTTで判断する方法もあるんだってさ。

エンドトキシンは、心臓手術後のSepsisに大きく関わる。
でも、エンドトキシン、リポポリサッカライドを如何に定量するかって、
何年も研究されてる難しいとこでもあるんだけどね。

幾つか、人工心肺と、エンドトキシンの関連を指摘してる報告もある。
最初の24時間にエンドトキシンが多いと、その後の感染は増える。
AKIも増えるようだ。

エンドトキシン血症は、院内感染でもエンドトキシン放出でも起きる。
抗生剤予防投与、エンドトキシン放出抑制などで予防せねばいかん。

Sepsisの治療ガイドラインは、2004「2008,2012と改定された。
(で、今年、定義そのものが変わった)

十分な輸液、十分な抗生剤、原発コントロール、臓器補助、がキモになる。

2012のものでは、 “bundles,” なるものができ、
3時間以内に達成する4つのこと、
6時間以内に達成する3つにこと、
計7個を推奨している。

広域抗生剤を1時間以内に投与し、
培養はその前にし、
菌のハズレがないように注意する。


Sepsis心筋症と言われる病態は頻度が高い。
心臓手術後のSepsisでは、より頻度が高い。

輸液が必要なのは一緒。外液は、コロイドよりもいいだろう。
ただ、50%は、輸液に反応しないらしい。
そんな状態での輸液は有害なので、
特に、しん機能が低下してたら尚更ね、
他の方法へ切り替える。

輸液で、拍出量や組織酸素化が改善するか判断することは重要だ。
反応性に関しては、色々研究されてるから、今更追加しないけどね!
でも、
輸液で、SvO2が2%上昇すると有効ってデータもあるんだってさ。
本当かね?


ノルアドレナリンは、第一選択です。いつでもどこでも、ね。
一方、
vasopressin も、カテコラミン非反応性では、使用できるだろう。

ノルアドレナリンが、全く無害か、というと、そうとは言えない。
アドレナリンストレス(β刺激)が、心筋障害、高血糖、免疫抑制などを起こすかもしれない。

これでも、低しん機能の場合、DoBが考慮される。
収縮は上がるが、酸素消費は上がるんでね。諸刃ではあるが。

レボシメンダンの可能性は、過去ログで触れてるんで、省略。覚えてますか?
ま、、、日本にゃないですが、使えるようになるかもよ。
一番は、βを介さず、、、ってとこだよね。

β遮断が、どれだけ有効かも、議論がある。
これも、過去ログで、β刺激とGDT、β遮断、でまとめている。覚えてますか?


Sepsis after cardiac surgery、ってな、あんまりない状況らしい。
まずは徹底的に予防する。
予防抗生剤、SDD、血糖値コントロール、人工呼吸器の早期離脱など。

むむ。。。
長々と書いてあるが、、、、
真新しいこと、、、ない??
ま、心臓手術後のSepsisって、滅多にないよね。
直後は、本当ないかな?
IEですら、そこまで困ることはない。
でも、、、、治療が長引くと、、、
肺炎、尿路、胆嚢、消化管、、、
色々問題が出る。
ま、早期解決が一番ってこと?
大事なこと抑えときゃ、まあ、いいんかなあ、と。

うん、そんだけだ。