奈良県漫遊2日目の宵。

 

宿泊は駅前のスーパーホテルPremiumにしたので、夕飯は奈良で美食。

 

<旅の行程>

1日目:奈良

2日目:西ノ京→斑鳩→奈良

3日目:天理→三輪→橿原

4日目:橿原→明日香→五条

 

奇跡的に予約が取れた奈良が誇る蕎麦の名店。

 

ミシュランの星を毎年獲得していて、食通や著名人に愛される蕎麦屋です。

(著名人の逸話も多数)

 

場所は奈良公園の南、ならまちの片隅。

 

奈良の銘酒"春鹿"の蔵元・今西家の元離れを店舗として使っています。

 

◆玄◆

 

裏路地の角に佇む門。

 

 

離れらしい風流な造り。

 

案内されたのは、玄関脇に設けられた個室。

 

 

提灯風の照明とステンドグラスの組合せが擬洋風な光景を生み出します。

 

 

この空間を独占という至福。

 

"店主が説明に参りますので、お待ち下さい"と、和装の美しい女将さん。

 

 

待つ時間も美食の内。

 

 

程なくして、店主のご登場。

 

コースと日本酒ペアリングの説明をしてくれます。

 

 

日本酒ぺリングはお好みでストップやスキップをして下さいとの事。

(結果、最後の方でストップしてしまった)

 

それでは、

 

魅惑の蕎麦会席の始まりです。

 

蕎麦豆腐

 

雲丹・豆腐・オクラソースという、色のコントラストも美しいひと皿。

 

更科粉を使った蕎麦豆腐は上品な香りで、葛切りの様なぷるっとした食感も楽しめます。

 

添えられているのは半固形になった醤油飴。

 

蕎麦豆腐と雲丹を口に含み、醤油飴を一粒…口の中で醤油飴が溶け出し、食べながら味変を楽しめます。

 

蕎麦がき

 

密度の高い蕎麦がきは風味も濃厚。

 

塩は広島産。

 

蕎麦スープ

 

トロッとした舌触り。

 

メインの蕎麦への期待度が高まっていきます。

 

そして、

 

衝撃と感動の蕎麦がこちら。

 

梅たたきの水蕎麦

 

十割蕎麦を極限?と言う程まで細くした蕎麦。

 

食べ方は、そのまま→塩→水→お好みで。

 

博多ラーメンにも近いパツっとした食感の蕎麦は噛めば噛む程、鼻腔に蕎麦の香りが広がります。

 

塩と一緒に食べると、風味が一気に口の中に広がり、味と香りの大饗宴です。

 

当然ながら、日本酒がとても合う。

 

美味しい蕎麦と塩の相性の良さを痛感。

 

続いて、水に浸けて食べてみると…

 

蕎麦の食感がガラッと変わり、絹の様な滑らかさ。

 

味わいだけでなく、食感と喉越しでも幸せに。

 

この驚きと感動を店主に伝えたところ、にこっとして"分かって頂けました?"と誇らしげな様子。

 

蕎麦への愛と知識、そして、計算された設計が生んだ傑作ですね。

 

 

ところで、

 

日本酒のボトルがまるでお洒落な香水瓶の様で、気になり聞いてみたところ、西川孝次さんという尾道在住のガラス工芸家の作品だそうです。

 

 

その造形美に一目惚れ。

 

いつか購入したいものです。

 

田舎蕎麦

 

こちらは普通につゆで頂きます。

 

水蕎麦で残った塩でも。

 

 

蕎麦湯がポタージュ並のとろみ。

 

まるで、液体蕎麦がき。

 

蕎麦の実入りれんこん餅のかにあんかけ

 

食感も良い蓮根に蟹が味を添えます。

 

鯛の蕎麦甘皮粉焼き えんどう豆のソース

 

蕎麦粉の衣を纏った鯛。

 

上に乗るのは、2度揚げ舞茸チップス。

 

蕎麦衣の香ばしさとチップスの香ばしさ。

 

それに色と豆の風味を添えるソース。

 

蕎麦米入りじゃこご飯

 

ご飯と香の物で〆です。

 

蕎麦団子

 

デザートも蕎麦。

 

マンダリンジュースとオレンジクッキーで爽やかに。

 

気付けば2時間半が経っていました。

 

蕎麦の名店は多々あれど、蕎麦をここまで分解して創作するのは、他には無い気がします。

 

まさに唯一無二、異次元級の蕎麦屋でした。

(お代は¥20,000程)

 

"とても貴重で素晴らしい体験をありがとうございました"と、玄関まで見送ってくれた店主と女将さんにお礼をしてお店を後に。

 

次も予約が取れますように。

 

今西清兵衛商店

 

"春鹿"の銘柄で知られる、明治時代創業の酒蔵。

 

この裏手の離れが玄の店舗です。

 

元は興福寺大乗院の坊官だった福地院家の居宅だったもので、室町時代築造の書院は重文。

 

見学も出来るようなので、次回は書院見学からの玄がしたいものです。

 

 

表に出れば、既に夜の帳が降りていました。

 

夜のならまちをゆったり散歩しながら駅方面へ。

 

 

ほろ酔い心地で幸福感に満たされて…

 

漫遊2日目の終了。