春日大社の南側へ。
境内南に広がる社叢を出て、通りを渡ると、そこは古都の空気漂う静かな住宅街。
住宅の間を縫って進むと、塀の小径に出ます。
静かに佇む国宝寺院にお参りです。
◆新薬師寺◆
東門
(国指定重要文化財)
鎌倉初期建立とされる四脚門。
入山は角を曲がった先の南門から。
南門
(国指定重要文化財)
鎌倉時中期建立と伝わります。
東門よりもひと回り大きく、石積みの基壇の上に建つ四脚門です。
門の柵に"鹿が入って来るので、閉めて下さい"という注意書きがあるのが、THE奈良スタイルw
門から続く石の参道。
その先に建つ石灯籠。
質素で簡素、歴史の深さを感じる雰囲気。
御本堂
(国宝)
<由緒>
華厳宗 日輪山新薬師寺
創建:天平19年(747)
御本尊:薬師如来
開基:光明皇后
札所:西国薬師四十九霊場第六番
聖武天皇の病気平癒を祈って、光明皇后により建立されました。
創建当初の寺号は香山薬師寺。
奈良時代、"南都十大寺"にも数えられ、その境内も400m四方を超える広さを誇りました。
当時は東西60mに及ぶ金堂が建っていて、その中に7躯の薬師像や如来像、十二神将像が安置されていましたが、応和2年(962)の暴風で金堂が倒壊し、これらの仏像も失われます。
御本堂は奈良時代中期、創建当初の築造。
暴風を逃れ、後に御本堂となりました。
隠れた?見所がこのステンドグラスの扉。
平成14年(2002)頃、ステンドグラスに魅せられた当時の住職が設置したものです。
国宝建造物の為、釘を使わず、扉に枠を付けてガラスを取り付けたそうです。
瑠璃色の光が堂内に描く模様はどんなだろう?
展示物の関係か、内側の扉は閉ざされていました。
堂内へは左手から。
*拝観料¥600
堂内には薬師如来蔵を中心にして、十二神将像が円を描いて安置されていました。
木造薬師如来坐像
(国宝)
*パンフレットより
境内を振り返る。
右手に見える地蔵堂も重文。
鐘楼
(国指定重要文化財)
鎌倉時代の築造です。
鎌倉時代、華厳宗の明恵上人による再興時に伽藍や門が建てられました。
立派な石積の台に建つ石塔。
境内の片隅の池。
祀られているのは弁天様?
視線を落とせば、苔むす蹲と、時の経過と元に御姿が薄れている石像。
今では訪れる者も疎らな古刹。
天平の空気をゆったりと感じられました。
隣接した神社にもお参りします。
南都鏡神社
(御祭神:天照皇神・藤原広嗣公・地主神)
奈良時代中期、佐賀県唐津の鏡神社から分霊を請けて創建されました。
その後、藤原広嗣の屋敷跡と言われる当地に遷座され、新薬師寺の鎮守となります。
拝殿
御本殿
(奈良市指定有形文化財)
代々、春日大社の御本殿を下賜されていて、現在の御本殿は延享3年(1746)移築のもの。
美しい春日造の社殿を目の前に。
比賣神社
(御祭神:十市皇女)
南門の並びに佇む鏡神社の境外社。
古くからあった比賣塚に昭和56年(1981)にお社を建立して創建されました。
天武天皇の第一皇女を祀っています。
奈良ならではの神仏習合の形が残る風景でした。
塀に囲まれた小径を戻ります。
次回、文豪の旧居の記事を送ります。