石川県漫遊2日目。
金沢駅から1時間、福井県との県境、加賀市の大聖寺駅へ。
かつて、加賀大聖寺藩として栄えた、九谷焼発祥の地としても知られる城下町です。
<旅の行程>
1日目:金沢
2日目:金沢→羽咋→大聖寺
3日目:大聖寺→加賀橋立
この漫遊、ここまでは訪れた事がある地でしたが、ここからは初訪問。
宿泊は駅前のアパホテル。
夕飯は駅からすぐの地元の名店を予約しました。
ばん亭
創業昭和50年(1975)、鉄板焼き店から始まった割烹店です。
お店の看板メニューは鴨料理。
特に、江戸時代からの歴史を持つブランド、坂網鴨はここだけの特別なもの。
割烹店らしい玄関から中へと。
予約したのは特別な坂網鴨のコース。
(お一人様でも受けて下さり感謝)
カウンター席を独占です。
お店に置かれている鴨や鴨猟の資料を興味津々に眺めながら、料理を待ちます。
鳥大好き、鴨大好き。
けど、名前を覚えられないw
それでは、
極上の"坂網鴨づくしコース"の始まり。
*コース代:15,000円
酢の物
(鴨のささみのみぞれ和え)
柔らかいささみをみぞれでさっぱりと。
鴨先付
(骨付山椒焼き・大根と鴨味噌)
撮る前に食べてしまったの図…
ジューシーな鴨肉に山椒が合いました。
常きげん ばん亭 吟醸生貯蔵酒
@石川県加賀市 鹿野酒造
ばん亭オリジナル銘柄の地酒で、フルーティーさとキレを併せ持った美酒でした。
鹿野酒造は文政2年(1819)創業の老舗蔵。
鴨串焼き
(もも肉と胸肉)
噛むほどに溢れる肉汁と広がる旨味。
鴨の桑焼き
濃厚な鴨肉を引き立てる味噌とスパイス。
ところで、坂網鴨について。
この地域に伝わる坂網猟法で捕られる鴨の事で、その歴史は元禄年間(1688〜1704)にまで遡ります。
元は武士の冬の鍛錬で始まった坂網猟。
Y字の竿の様な網を鴨の群れが飛び立つ瞬間、垂直に空に投げ、捕獲します。
猟期は11月〜2月の3ヶ月、夕暮れ時に餌を求めて飛び立つ瞬間を狙います。
まさに、資料にもある"刹那の芸術"の世界。
また、空腹時に捕獲される為、臭みが少ないのが坂網鴨の特徴。
年々捕獲量も減り、後継者不足も深刻だそうです…
けれど、ばん亭の会長(父)に始まり、社長(長男)・坂網猟師(次男)と、代々、伝統が承継されています。
(写真右の方がご次男)
そんな話を聞き、鴨の味わいを一層美味しく、有り難く感じる宵。
鴨治部鍋
本日のメイン、鴨鍋。
"一人分だから、見た目が寂しくてごめんなさいね"と、仲居さん。
小麦粉と片栗粉のブレンド粉がまぶされます。
現社長でもある大将の考案で、小麦粉で旨味を閉じ込め、片栗粉でぷるッとした食感が加え、鴨肉の風味と食感をより高い次元に引き上げます。
感動の美味しさでした。
鍋の具材は葱、牛蒡、芹、加賀麩など。
"2人前だともっと鴨の脂が出るのだけど"と、再び仲居さん。
(次回は誰か連れてくる?)
ぷるりんなツヤ感。
(伝わります?)
うどん
1人前でも、濃厚な鴨の脂が十分に出汁とうどんに沁みて、美味。
仲居さんに坂網猟法のことを色々と窺っていたら、厨房から大将が来て下さいました。
恐縮ながら、心からの感謝と賛辞を伝えて退店。
またいずれ訪れたいお店。
こういう味と文化と人との出会い。
旅をより素晴らしいものにしてくれます。
幸せに包まれて、ホテルに戻り就寝。
アパホテル加賀大聖寺駅前
安定の良さ。
ご当地マンホール
鴨鴨鴨。
これにて2日目の終了。
次回、大聖寺の風景を送ります。