村上が誇る郷土料理、塩引き鮭。
鮭と村上の歴史は古く、平安時代には既に名産として朝廷に献上していたそうです。
市内を流れる三面川は鮭の遡上で知られ、江戸時代に河川工事を行い、鮭の人工増殖を世界で初めて成功させたのもここ村上でした。
そんな鮭の町を牽引する老舗へ。
◆千年鮭 きっかわ◆
(国登録有形文化財)
店頭を飾る"鮭"の暖簾。
JR東日本のポスターでも有名ですね。
寛永3年(1626)に米問屋として創業、昭和前期に鮭製造業へと転業します。
平成に入ると、"村上町屋商人会"を設立し、町の観光業を牽引していきます。
"町屋の人形さま巡り"や"町屋の屏風まつり"といったイベントを手掛け、村上を年間10万人以上が訪れる観光地へと導きました。
店舗は明治25年(1892)頃の築造。
松尾芭蕉ゆかりの「井筒屋」や先日の記事にも乗せた「浪漫亭」など、歴史ある名建築を次々とリノベして今も町を活性化させています。
店内の奥も見学自由。
広間の向かいに吊るされた鮭たち。
これぞ村上の原風景。
村上では何百年もの間、日常の風景だったのでしょう…けれど、訪れる者にとっては感動の非日常。
そこに観光業復興の鍵がある。
武家町ゆえ、切腹を想起させる事から鮭の腹は一部分を残して割かれます。
また、村上の経済を救った天の恵み"鮭"への崇敬の念から切腹をさせなかったとか。
茶の間
歴史を感じる広間。
中に上がる事は出来ません。
新潟は庭園文化でも知られますが、こちらにも小さく美しいお庭があります。
雨に濡れて艶やかな苔と石。
店内の坪庭も風流。
現在の15代当主になり、平成27年(2015)の鮭の日(11/11)に店名を"味匠 喜っ川"から商標登録も取った"千年鮭"を謳ったものに変更。
古来の和風鮭料理のみならず、洋風料理も手掛ける等、新たな歴史を歩んでいます。
匠世代から若い世代へ。
この流れが各地で成功して欲しい。
そんな名店が手掛けた最新の古民家リノベが斜向かいにあります。
茶館きっかわ 嘉門亭
今年5月にオープンした村上茶と酒粕をテーマにしたサロンです。
明治時代築造の古民家を再生。
今回は時間の都合で寄れず…次回に。
通りには、他にも鮭を扱う老舗があります。
越後村上うおや本店
寛政年間(1789〜1801)創業の老舗。
本店脇の「海鮮一鰭」は直営の食事処。
うおや塩引館
その向かいには、一昨年7月開店の直売所。
軒下にずらりと塩引き鮭。
(ここのは腹を完全に割かれている…)
「きっかわ」と「うおや」で色々購入して、只今冷蔵庫は鮭三昧状態w
ご当地マンホール
鮭と瀬波の夕陽と村上城の石垣の柄。
次回、町屋通りの風景を送ります。
続く。