横浜市南部、横須賀市との境、金沢区。
かつて、この周辺は"金沢八景"で知られる風光明美な平潟で、歌川広重を始め多くの浮世絵師が描いた景勝地でした。
昭和期の開発により往時の風景は失われましたが、今も海と町を見護り続ける神社があります。
金沢八景駅から徒歩すぐ。
国道沿いに鳥居が建っています。
◆瀬戸神社◆
鳥居の奥、瑞垣の後ろの石灯籠は日光東照宮から移設されたもの。
社号標
社名は中曽根康弘氏の揮毫。
鳥居をくぐるとすぐ正面に社殿。
手水舎
拝殿
<主祭神>
大山祇命
治承4年(1180)、源頼朝が三嶋大社から御祭神を勧請して社殿を建立します。
その為、三島明神とも呼ばれました。
また、周辺からは古墳時代の祭祀遺物が出土していて、古代から神聖な地だった事が窺えます。
ところで、
社殿の扁額は小泉純一郎氏の揮毫。
(小泉家の出自はここ金沢)
現在の社殿は寛永12年(1800)の建立。
源氏以降も幕府から崇敬され、徳川家康も自ら参拝して社領を寄進しました。
また、社宝の木造神像や、北条政子の奉納と伝わる舞楽面が国重文に指定されています。
御本殿
海辺の名残りを見せる岩場に建つ社殿。
国道沿いの境内ですが、
どこか畏れを感じる雰囲気が漂います…
青麻社
(御祭神:大己貴命・少彦名命)
傍らの神像の由緒は不詳だそうです。
多くの古木が残る社叢は横浜市指定天然記念物。
岩場のやぐらにはお稲荷さん。
カヤ
(横浜市指定名木古木)
推定樹齢720年、金沢区最古の名木です。
蛇混柏
延宝8年(1680)の暴風で倒れたビャクシン。
倒壊後も樹勢を誇っていたそうです。
社務所
今春竣工した新社務所。
見事な向拝。
御朱印
続いて、国道向かいの境内社へ。
琵琶島
(横浜市登録地域史跡)
入江に突き出た小島に弁天様が祀られています。
琵琶島神社
(御祭神:市杵島姫命)
上から見た琵琶島。
*2015年の写真
ご当地マンホール
金沢八景"瀬戸秋月"の柄。
ちょうど瀬戸神社からの風景です。
現在の瀬戸の入江。
左にマンション群、右はモノレール。
正面の野島に面影を残すのみ…
八景は失われてしまいましたが、瀬戸神社の境内だけは往時からの自然が残り、耳を澄ませば、古代にまで遡る"何か"が語りかけてくる…
そんな気分に浸ったお参りでした。
次回、金沢八景"称名晩鐘"の今を送ります。
続く。