唐津駅から徒歩10分程、
唐津街道の裏手に、かつての唐津の隆盛を偲ばせる建築が建っています。
◆旧唐津銀行本店◆
(佐賀県指定有形文化財)
*見学無料
明治19年開業の唐津銀行の本店として、明治45年に竣工しました。
赤煉瓦と花崗岩を織り交ぜた独特の風貌。
日本建築学の礎を築いた、辰野金吾によるものです。
この様式は"辰野式"と呼ばれるそうです。
辰野金吾は日本銀行本店や東京駅の丸の内駅舎の他、様々な名建築を手掛けてきました。
旧日本銀行小樽支店@2009年
旧岩手銀行本店本館(@2010年)
武雄温泉楼門(@2011年)
その殆どが文化財に指定されています。
印象的な窓の装飾に屋根の煙突。
ペディメントを見上げ、吸い込まれるように館内に。
入口にはレッドカーペット敷きの欅の階段。
館内の風景。
イオニア式の柱には幸福の象徴と言われている花、アカンサスが彫られています。
随所に暖炉が設けられていました。
明治時代に石炭産業で栄華を極めた唐津ならでは。
暖炉にもアカンサスの彫刻。
昭和30年に佐賀興業銀行と合併し、佐賀銀行となり、平成9年まで営業を続けました。
その後、市に寄贈され、保存修理を経て平成23年に一般公開となりました。
解説員の方いわく、保存するかどうかではかなり揉めたそうですが、これだけの建築ですから、大切に保存していってもらいたいものです。
その為にも、人々が唐津を訪れて素晴らしさを堪能し、町にお金を落としていく事を願って止みません。
まるで高級レストランのような。
2階の廊下から。
天井の様式美。
シャンデリアの装飾は唐津焼きに描かれる草花をイメージしているのでしょうか。
どこか幾何学的な天井の柱。
資料室もあります。
屋根にある塔屋へ続く螺旋階段。
塔屋はただの装飾ですが、メンテナンス用に階段が設けられていたそうです。
銀行建築はその土地の繁栄の象徴。
明治時代の石炭産業による好景気も、40年程で衰退します。
今も佐賀県下第二位の人口を誇るものの、最盛期の7割程度にまで減っている模様。
唐津の栄華盛衰を感じつつ、建物を後にしました。
地下には、レストラン「唐津迎賓館」があります。
TVドラマ「王様のレストラン」の料理監修を手掛けた名シェフが自らの出身地である唐津を"グルメの街にしたい"と、5年前にオープンしたお店です。
いずれお邪魔してみたいものです。
時刻は17時。
初日の宿へと向かいます。
続く