忍城を後にして、行田市駅から羽生駅乗り換えで1時間程、足利市駅に着きます。
埼玉の次は栃木です。
栃木と言うと、何を連想しますか?
…ん?
栃木県というくくりだと、こんな反応になってしまいませんか?
名所や良い所がたくさんあるですが…
例えば、日光、中禅寺湖、華厳の滝、鬼怒川温泉、那須 etc.
宇都宮餃子、とちおとめ、佐野ラーメン、大田原牛、ゆば etc.
益子焼、結城紬、日光彫り、足尾銅山 etc.
列挙すると、おぉ~となりませんか?
そんな栃木県にある足利はその名の通り、室町幕府を築いた足利氏発祥の地。
個人的にお気に入りの町です。
それでは、散策開始。
渡良瀬川から少し歩くと、石畳の町並みが見えてきます。
その先にあるのが足利氏の菩提寺であり、真言宗大本山の鑁阿寺です。
バンナジと読みます。
正式名称、金剛山 仁王院 法華坊 鑁阿寺。
屋根付きで威厳ある太鼓橋と重厚な山門。
かつて、足利氏の館(居城)があった場所の為、お堀で囲まれています。
境内は足利氏宅跡として国の史跡に指定されています。
居館跡に建つ寺社と言う訳です。
山門を前に上を仰ぐと、夏の終わりの柔らかな雲と空が広がっていました。
山門の先には真っすぐ参道が伸びています。
様々な形の石灯籠が参道を囲んでいます。
この石灯籠、3.11の時に全て倒れてしまったのだとか。本堂は当時、痛みが酷く修造工事をしていましたが、3.11の直前に工事は竣工し、無事だったそうです。
屋根の真ん中だけ色が違いますが、修造工事の際、元の瓦を再利用したからだそうです。
鑁阿寺への愛情ですね。
参道を進みます…
苔むす灯籠に刻まれてきた時の重さを感じます。
国宝の本堂。
屋根の先端の勾配が美しいですね。
その屋根には足利家と皇室の家紋が並び、威厳を放っています。
戦後に制定基準が変わり、一旦、国宝ではなくなり、重要文化財となっていましたが、昨年、めでたく国宝に返り咲きました。
現在は世界遺産登録も目指しているとか。
御本尊は大日如来。地元では"大日様"と呼ばれ、慕われています。
鎌倉時代に足利氏の祖である源義康(=足利義康)が自分の館にお堂を建てた事に始まり、二代目の足利義兼が現在の本堂を建立、三代目の義氏が伽藍を整備し、足利氏の氏寺、菩提寺としました。
因みに、足利義康は源義家の孫に当たる血統です。
本堂は鎌倉時代の建築様式を伝える禅宗様。
いいですね、この重厚な渋み。
庇の下には鬼が構えています。
彫刻も見事です。
本堂の左右に伸びる参道。
かつては本堂と廊下で繋がっていたという中御堂(不動堂)。
御本尊の不動明王は成田山から勧請されたそうです。
その隣りには経堂。
義兼が妻の供養の為に一切経会を行う道場として建立しました。
参道の途中にある多宝塔。
まるで後光のように陽の光が差し込む、素晴らしいタイミング。
その横にそびえ立つ大銀杏。
樹齢は550年程のようです。
木々に囲まれた中にある鐘楼。
ふと、銀杏越しに空を見ると、美しく輝いていました。
日も暮れ始め、境内もひと気が無くなり、鎮まった空気に包まれます。
立派な本堂を拝めて満足。
日が落ちる前に町中散策を。
おまけ↓
2010年1月の鑁阿寺。
続く