あれから4日。
今でも振り返る・・・。
充実感と喪失感。
勝てなかったのか?
勝たせる方法は本当に他にはなかったのか?・・・・・・。
何故あの時に・・・。あと少しで・・・。
選手全員の逞しさ。成長。そして得難い経験。本当に大きな経験をした。きっと誰にも分からない。あのピッチに立った君たちしか分からない。熱を感じ肌で体感したあの瞬間を・・・。
各々のサッカー人生において。何十年先も君たちは振り返る事が出来る。
あのピッチに立った事を・・・。
選手も。そして指導者も。
選手全員に心からのありがとうを。感謝だけでは表現出来ない感動を。そして・・・。
『日本施設選手権全国大会結果報告』
全国から24チームが予選を勝ち抜き参加。
4チームを6ブロックに分け上位2チーム及びワイルドカード4チームが決勝Tへ。
予選Cグループ
1試合目
対 宇野FC(中・四国代表)
【試合戦評】
《前半》
まず失点しない事を第一条件に送り出す。前半は最低でも1点差で終わること。
全国を経験していないチームにとって先手を取られる事ほど苦しい事はない。
そこに意識を持って始まった立ち上がり。
慣れない体育館。そして独特の緊張感から生まれる焦りと動揺。
シンプルに攻める相手に終始押し込まれてしまう。
前への推進力が少なく、関西大会の初戦と同じような展開に・・・。
げんきとこうきで守備バランスを整え反撃を待つ。後々振り返ればこの2人の存在がどれほど大きかったのか・・・。
そして・・・上手く前を向いたそうたが左サイドを突破。右アウトサイドのシュートで先制!!
願ってもない先制点。前半をなんとかゼロで終わらせる為に両ベンチが慌しく動く。
しかし・・・。シンプルに入れたセカンドボールを拾われ失点。
前半を1対1で折り返す。
《ハーフタイム》
まず驚いたのがほとんどの選手の汗の量が尋常ではなかったこと。
極度の緊張からか普段の何倍も疲れていたので回復に努める。
そして2点目を意識させ守勢に回らず前からアプローチをかけゴール前に侵入させるように。
セットプレーを大事にと。
《後半》
前半と比べ良くボールが回り始め少しずつ雰囲気、環境になれ適応し始めていた。
しかしそこに油断が・・・。
カバーに早く行き過ぎてしまい1対2の状況に。ここを突破され失点。
そして立て続けに3失点目。
ゲーム内容が持ち直し始めた矢先の失点は選手の動揺を加速させ・・・。
結果
対宇野FC(中・四国代表)
1対3 負け
試合後ミィーティング
ゲーム内容が悪くなかった事。そして自分達のスタイルで戦える事を再確認。
次の試合が勝負になる事を伝えモチベーションを上げ直す。
前線の選手に対してのボールのつけ方をこうき、げんきと話し合う。
ゴール前では必ず2対1の状況を作り出す事を徹底。
2試合目
対 エスパルスジュニア(東海代表)
【試合戦評】
《前半》
選手のメンタルバランスは程よく緊張感が緩和されたのを確認したので前線を2枚にし
攻撃的に。
守勢に回ると主導権を握られるので守備はシンプルに。攻撃はドリブラー2枚に託す。
前半ボールが良く動く。そして逞しく感じたのが相手を見て何かを選択できた事。
取り組んだことが目に見えて分かる好ゲーム。
そして力強く突破したりょうが先制点!!!
前半を1対0で折り返す。
《ハーフタイム》
後半相手がメンバーを変えてきたのでそれを確認し前を1枚に戻す。
立ち上がりは攻め込まれる事を覚悟した上でショートカウンターに活路を。
げんたには背後への駆け引きを常に意識しようと伝える。
《後半》
思った以上に相手がドリブルを多用し攻めてきた事。そしてそれにしっかり耐えた守備陣には賞賛を。
何度か危険な場面を作られるが冷静に対応。前線の選手は足を止める事なくアプローチに。
時計の針が進んでいく。全員が思っていた・・・このままで終わりを・・・・・・・。
ラスト32秒。
右サイドの選手が切り返す。対応したれんやの逆をつかれ左足のシュート。
同点。
こうきは自分を責める。何故カバーにいけなかったのか・・・。
げんきは指先に残るシュートの感覚を・・・。
そして。
結果
対エスパルスジュニア(東海代表)
1対1 引き分け
試合後ミィーティング
勝ちたかった事に対して号泣する選手。
ここで話を。まず負けなかったこと。そして夢チャレンジとして今までで一番の素晴らしいゲームが出来たこと。いつもより熱く。そして気持ちを持ち続けようと。真剣に聞く選手。
まだ終わっていない。終わりじゃないんだ。
3試合目
対 RDフットサルクラブ(九州代表)
【試合戦評】
《前半》
他グループの結果により勝てばベスト16に進出出来る事が決定。
全国のベスト16へ・・・。小細工なんか必要なかった。
選手を信じる。
始まりから終わりまで怒涛のハイプレス。
相手に何も考えさせる事のない。時間と余裕すら与えない。鬼気迫る表情で全員が思う。
『みんなで勝つんだ』
誰かの為に。自分の為に。この一瞬はもう二度と戻ってはこない。
自分達だけではなく、支えてくれる全ての人の為に。
後悔はしたくない。させたくない。声を出すしかない。支えてあげるしかない。
その思いをのせたりゅんじの素晴らしい先制点。何度も何度も練習したセットプレーでの追加点。
結果
対RDフットサルクラブ(九州代表)
2対1 勝利
『全員』で掴んだ全国初勝利。そして全国大会ベスト16に進出!!!
試合後ミィーティング
1回戦が郡山FCに決定。関西大会では2回対戦し2回共敗れている素晴らしい相手。
全国でまた戦える事に喜びを。選手はやってやる気持ちを。
僕は・・・
みんなで勝とうと・・・。あいつらの為にも・・・。きっと想いは一緒だから。
決勝トーナメント1回戦
対郡山FC(関西第1代表)
【試合戦評】
自分達で話し合いが出来る様になった。自分達から声が出るようになった。
自主的に。勝ちたい気持ちが自分とチームを変える。そこには誰がやるとかそんな些細な事は存在しない。
間違っていなかった。
《前半》
何度も何度も確認する。やられたパターンを繰り返し復習。
長いボールに対しての対応。そのセカンドボールの処理。
そして自分達のマイボールの時間を長くする。
前半やはり押し込まれる。危ない場面を作られるが最後の所でやらせない。
そして・・・・・・・。
こうきがボールをインターセプト。前線のげんたに素早く展開。げんたは左サイドに持ち込み巧みに真ん中のりゅんじを使う。りゅんじは一旦右のりょうに出し切り替えしたボールが再びりゅんじに・・・。
股の下を抜けたシュートがゴール!!
先制点。歓喜に沸く選手とベンチ。
ガッツポーズを繰り返すりゅんじ。げんきは声を上げ切り替えろと。
1対0で前半終了
《ハーフタイム》
勝ちたい気持ちを抑えさせ冷静にプレーが出来る様に諭す。
もしかしたら逆転されるかもしれない。心の余裕だけ持たせピッチに。
こうきにはゲームの鍵はおまえが握っているぞと。絶対に気持ちを切らすなと。
《後半》
選手に疲れが見えたのでフルに選手を使い切る。
交代で入った選手も忠実に自分の仕事を。
押し込む時間が長いが追加点が取れない。
拘って崩すが最後がずれてしまいゴールに入らない。普段であればここで気持ちの集中が切れてもおかしくない。しかしげんき・こうきが集中を一切切らさない。
後ろが充実している安心感は前線の躍動感に繋がる。
そして後ろで支え続けていたこうきの追加点!!
全員の勝利への意志が確信に変わる。
『勝てる』
全員が立ち上がり終了の笛を待つ。
試合終了
夢チャレンジTOPチーム1期生全国ベスト8進出。
試合後ミィーティング
素晴らしい結果に対して彼らが見ていたのは決勝に行くことだけ。
浮かれず次に対しての気持ちを持つことは簡単な事ではない。
決勝の舞台へ。ベスト4への挑戦が始まる。
決勝トーナメント準々決勝
対若葉ウイングス(関東代表)
【試合戦評】
圧倒的な体格差。
大人と子供レベルの身体能力の違い。
これも才能。
それをしっかり理解させ試合に入る。
げんたには君のスピードにはついてこれない。先手を取ろうと。
立ち上がり30秒。
げんたが自陣ゴール前からドリブルを開始。対峙した自分より遥かに大きな相手の股下を抜く巧みなフェイントで1対1を制す。飛び出したキーパーより少しだけ早くシュート。交錯するGKとげんた。そしてボールの行方を追う・・・。
ボールがゴールに吸い込まれる。歓喜の雄たけびが。エースがここぞの本当に大事な場面で結果を出す。彼の全てがこのゴールに凝縮されている。
選手は思う。いける。もしかしたら自分達のほうが・・・。ベンチも確信に変わる。
しかし・・・・・連戦。疲れ。一瞬のほんの一瞬の僅かな隙を。
前半残り1分で同点。
1対1で前半終了。
《ハーフタイム》
落胆した表情の選手とまだ行けると思っている選手。
それぞれに思いのズレが・・・。
それでも気持ちを切らす事なくこうきがみんなに話を。
まだ同点。負けているわけじゃない。そんな顔をするなと。チャレンジしよう。
《後半》
パワー。スピード。
それに対応し続ける事は体力・精神力共に爆発的なパワーを使わないといけない。
必死で。全力で。みんなの想いを背負いピッチの5人は走り続ける。
そして残り1分30秒。
一瞬のミスが・・・。時間が止まる・・・。
全員が必死で戻る・・・。
現実は残酷で儚い。
歴史が・・・終わった。
試合終了。
1対3
試合後ミィーティング
負けた。負けた事実を受け止める勇気。
それだけの覚悟を決めた挑戦者だけが流せる涙。
何も言う言葉が見つからない。素晴らしい監督であれば絶対に勝たせてあげる事が出来た試合だったはずだ。自分を責める。情けない。保護者様にも申し訳ない。
その瞬間。
こうき
『コーチ・・・ありがとう』
れんや
『コーチほんまごめん俺のせいで・・・。・・・。ごめん・・・』
この言葉に返す言葉が・・・。分からない。自分でも。
負けた選手が言える言葉ではない。
心から本当にありがとうと。ありがとうは僕の言葉であるはずなのに。
この瞬間はきっと忘れない。忘れられるはずがない。
そして最終試合はげんたの全国ハットトリックとゆうきの活躍により勝利。
全国5位入賞として全日程が終了となりました。
夢チャレンジの試合がおもしろいとお声かけ頂いた全国チーム関係者の皆様本当にありがとうございました。今後共交流の程宜しくお願い致します。
1期生が作ってくれた全国5位の偉業。
10名の6年生と5名の5年生。それに魅力を感じついてきてくれた6年生2名。
彼らの歴史は続いていく。
そして少しでも思い返してあの時はと感慨にふける瞬間を持ってもらえたら幸せだ。
選手として行けなかった全国大会。
プロになっても味わう事が出来なかった瞬間に出会えた事。そして彼らに出会えた事。
支えてくれる全ての人へ。
本当にありがとうございました。
最後にげんきの一言・・・
『夢チャレンジに入って良かった』