今回の千葉県などの大雨、それほどの強い台風でもなかったのに、なぜあれほどの大雨となったか
はい。今回の千葉県の大雨は、「台風そのものが猛烈だったから」ではなく、台風が運んできた大量の暖湿気と、千葉付近で雨雲の列が動けなくなったことが大きな原因です。
気象庁自身も今回について、かなり異例の現象だったと説明しています。
なぜ、あれほど降ったのか
ポイントは4つあります。
① 台風が「巨大な水蒸気ポンプ」になった
台風25号の中心付近の風だけを見ると、「ものすごく強い台風」という印象ではありませんでした。
しかし台風は、南の暖かい海から大量の暖かく湿った空気を関東へ送り込む装置になります。
つまり、
台風の強さ ≠ その場所で降る雨の量
なんです。
台風から流れ込む暖湿気が前線や積乱雲を活発化させることは、気象庁も説明しています。
② 千葉の上空で「雨雲が止まった」
今回の最大のポイントはここです。
気象庁の9月16日の説明によると、
関東平野の千葉より西側の低い高度に冷たい空気がたまっていた
↓
そこへ東側から非常に暖かく湿った空気が流れ込んだ
↓
冷気が壁のようになって暖湿気の流れを止めた
↓
雨雲の列(スコールライン)が千葉市付近で進めなくなった
という現象が起きました。
これが非常に重要です。
普通なら、
雨雲 → 千葉 → 東京・埼玉方面へ移動
となるところが、
雨雲 → 千葉付近で停滞 → 次々と新しい雨雲が発生
となった。
いわば、**「雨雲のベルトコンベアが千葉で詰まった」**ような状態です。
③ 同じ場所に雨を降らせ続けた
線状降水帯は、次々と発生する積乱雲が列を作り、ほぼ同じ場所を数時間通過・停滞する現象です。
今回の千葉はまさに、
「雨雲が来る」→「通り過ぎる」
ではなく、
「雨雲が来る」→「その場にとどまる」→「後ろから次の雨雲が来る」
という状態になりました。
これが、台風の中心付近の風の強さから想像する以上の雨量になった理由です。
④ しかも9月の関東は、まだ海が非常に暖かい
ここも重要です。
9月下旬でも日本の南の海はかなり暖かく、そこから蒸発する水蒸気が豊富です。
そのため、
暖かい海 → 大量の水蒸気 → 台風が関東へ運ぶ → 千葉付近で上昇 → 巨大な積乱雲
という流れができました。
今回のようなケースでは、台風の「風の強さ」よりも、どれだけ水蒸気を運び、どこで雨雲が停滞するかのほうが重要になります。
そして、今回特に怖かったのは「予測の難しさ」
気象庁は今回について、
通常ならスコールラインが移動して雨雲は通過すると考えていた
ところが、実際には千葉市付近で止まってしまったと説明しています。
つまり、これは単純な「台風が強かった」という話ではありません。
台風+暖湿気+関東平野の冷気+雨雲の停滞
という、複数の条件が非常に悪い形で重なったわけです。
「佐倉」の被害が大きかった理由
佐倉市などでは、まさにこの**「雨雲が移動せず、同じ地域に大量の雨が集中する」**ことが大きな問題になります。
実際、佐倉市では床上浸水が約300軒確認され、千葉県全体でも床上・床下浸水が約1,400軒に達したと報じられています。
ですから今回の大雨は、「強い台風だったから」ではなく、「台風が持ってきた大量の水蒸気を、千葉付近で雨に変換する仕組みができてしまった」と考えると非常に分かりやすいです。
そして実は、このタイプの大雨は今後かなり注意が必要です。台風がそれほど強くなくても、条件がそろえば今回以上の雨になる可能性があります。