NANOホールディングス(東証グロース 4571)の将来性については、「大きな夢がある一方で、非常にリスクも高い銘柄」という評価になります。

強気材料

NANOホールディングスは、従来の創薬企業からmRNA・核酸医薬のプラットフォーム企業へ事業転換を進めています。特に戦略子会社のNANO MRNAを中心に、mRNAやLNP(脂質ナノ粒子)技術の集積を進めています。

2026年には次世代LNP技術を持つ企業「Luna RD」の買収を進めており、mRNA医薬品の送達技術(デリバリー技術)の強化を図っています。PEGを使用しないLNP技術は、将来の核酸医薬分野で差別化要因になる可能性があります。

また、変形性膝関節症向けmRNA治療の臨床試験や、RUNX1 mRNAプロジェクトなども進んでいます。


弱気材料

一方で、現時点では利益が出ていません。

2026年3月期は約9億円超の最終赤字となり、赤字幅も拡大しています。継続的な資金調達が必要な段階です。

また、mRNA創薬業界全体が2021~2022年のコロナワクチンブーム後に投資マネーが減少しており、技術が優れていても事業化まで長い時間がかかります。


私の見方

将来性を5段階で表すと、

  • 技術ポテンシャル:★★★★★
  • 事業化確率:★★★☆☆
  • 財務安定性:★★☆☆☆
  • 株価変動リスク:★★★★★

という印象です。

特にユーザー様が以前から関心を持たれているmRNA医療やナノテクノロジー分野が本格的に成長すると、NANOホールディングスは大化けする可能性があります。

ただし、現状は「成功すれば10倍以上もあり得るが、失敗すれば資金調達が続く」という典型的なバイオベンチャーでもあります。投資する場合は、安定成長株ではなくベンチャー投資として考えるのが適切でしょう。

 

大阪大学の位高教授とNANOグループの関係や、心不全向けmRNA技術との関連についても調べると、将来性を判断するうえでかなり重要なポイントになります。

 

位髙啓史教授とNANOホールディングスの関係、そしてそれがNANOホールディングスの将来性にどう結びつくかを整理します。

 

まず、位髙啓史は日本のmRNA・DDS(ドラッグデリバリーシステム)研究の第一人者の一人です。大阪大学のmRNA研究チームを率い、mRNAを標的組織へ届けるナノミセル技術の研究を長年続けています。

 

そして2026年5月には、位髙教授らの研究グループが、複数のmRNAをナノミセルで心臓へ送達し、心筋梗塞後の心不全を改善する成果を発表しています。これは単なるワクチンではなく、mRNAによる再生医療・心不全治療の方向性を示す研究です。

 

一方で、NANOホールディングスの中核子会社であるNANO MRNAは、まさにmRNA創薬プラットフォームを事業の柱に据えています。さらに同社のイベントでは位髙教授が座長を務め、NANO MRNAの経営陣が講演するなど、学術的な接点は確認できます。

ただし現時点で、

  • 位髙教授がNANOホールディングスの役員である
  • 位髙教授がNANO MRNAの主要株主である
  • 心不全mRNA研究がNANOホールディングスに直接ライセンス供与されている

 

「位髙教授の研究成果がそのままNANOホールディングスの利益になる」段階ではないが、研究分野・技術領域は非常に近い

という理解が適切だと思います。

投資家の視点では、

  1. 位髙教授らのmRNA送達技術が臨床応用へ進む
  2. NANO MRNAがその技術の事業化に関与する
  3. 製薬会社との提携や導出が成立する

という流れになれば、NANOホールディングスの企業価値は大きく変わる可能性があります。逆に言えば、現在の株価はまだ「期待先行」の部分が大きいとも言えます。

 

NANOホールディングスの将来性を左右する最大のポイントはmRNAそのものではなく、mRNAを目的の臓器へ安全に届けるDDS・ナノ粒子技術が実用化できるかどうかです。そこはまさに位髙教授が世界レベルで研究している領域と重なっています。

 

 

NANOホールディングス(子会社PrimRNA)が開発しているRUNX1 mRNAによる変形性膝関節症治療薬は、もともと位髙啓史教授らの研究成果が源流になっています。

実際に2016年の研究では、当時の位髙教授らのグループが、

  • RUNX1 mRNAを関節内に送達する
  • 軟骨細胞の機能を回復させる
  • 変形性関節症の進行を抑制する

ことを動物実験で世界で初めて示しました。

そして現在NANOグループのPrimRNAが開発しているパイプラインを見ると、

  • 「RUNX1 mRNA」
  • 適応症:変形性膝関節症
  • パートナー:東京科学大学

となっており、まさにこの研究の事業化を目指していることが分かります。

さらに位髙教授自身も科研費プロジェクトで「変形性関節症治療用mRNA医薬の創製」を進めており、研究テーマそのものが一致しています。

ですから、

「RUNX1 mRNAは位髙教授と無関係ではなく、むしろ位髙教授の研究成果を源流とする代表的なパイプラインの一つ」

と考えてよいと思います。

 

そして投資家目線で重要なのはここです。

現在このRUNX1 mRNAは、オーストラリアで第1相臨床試験に進んでおり、2026年には世界初の患者投与も実施されています。

もしこの治験で安全性と有効性の手応えが確認されれば、

  • 位髙教授の基礎研究
  • NANOグループのmRNA創薬
  • DDS(薬物送達)技術

の価値が同時に大きく評価される可能性があります。

その意味では、NANOホールディングスの将来性を判断する上で、私はRUNX1 mRNAが最重要パイプラインの一つだと考えています。成功すれば会社の評価を大きく変える可能性がありますが、まだ第1相試験段階なのでリスクも高い、という状況です。