上方修正基準とは、企業が公表済みの業績予想(売上高・利益など)について、
当初予想よりも大幅に良くなる見込みが立った場合に、業績予想を引き上げて開示するための判断基準です。
日本の上場企業(特に東証)で一般的に使われる考え方をまとめます。


1. 基本的な考え方(金融商品取引法・適時開示)

法律で「○%以上なら必ず上方修正」と明確に定義されているわけではありませんが、
投資判断に重要な影響を与えるかどうかが基準になります。


2. 実務上よく使われる数値目安(慣行)

多くの企業が以下を一つの目安として採用しています。

利益(特に営業利益・経常利益)

  • 前年差・予想差が ±10%以上

  • かつ 金額的にも重要(例:数億円以上)

売上高

  • ±10%以上の乖離が目安
    (ただし、売上より利益の方が重視されやすい)

当期純利益

  • ±30%以上を目安にする企業も多い
    (特別損益の影響が大きいため)


3. 上方修正を行う主な理由(典型例)

  • 想定以上の販売数量増加

  • 原価率の改善(材料費低下、歩留まり改善など)

  • 為替の好影響

  • 固定費の抑制

  • 高付加価値製品の構成比上昇


4. 上方修正を出さないケースもある

以下の場合は、たとえ好調でも修正しないことがあります。

  • 一時的要因(単発の大型案件など)

  • 下期の不確実性が高い

  • 通期では吸収可能な範囲と判断


5. IR資料でよく使われる表現例

  • 「想定を上回る受注進捗を背景に、営業利益は前回予想比+15%となる見通し」

  • 「収益性の改善により、営業利益は黒字幅が拡大」


6. 投資家視点での重要ポイント

  • なぜ上方修正したのか(再現性)

  • 一過性か、構造的改善か

  • 次期(来期)にもつながるか