(シェアードリサーチ社から)

同社は、米国マサチューセッツ工科大学で発明された自己組織化ペプチド技術による医療機器の開発・製造・販売を行うメディカルテクノロジー企業である。自己組織化ペプチドは、3種類のアミノ酸からなり、生理条件下に置くとペプチド分子同士が規則的に集合、ナノファイバーを形成してゲル化する。また、自己組織化ペプチドは、原材料に生物由来品を含まず、安全性、均質性など様々な特長を持つ。同社はこれを応用し、外科領域、組織再生領域、DDS領域といった様々な領域で自己組織化ペプチドの製品化を進めている。同社が開発している医薬製品は、「医薬品」ではなく、「医療機器」に分類され、医薬品に比べて申請から承認までの期間が短く、費用も少額である。

 

主要パイプラインは吸収性局所止血材(TDM-621)、癒着防止材(TDM-651)、粘膜隆起材(TDM-644)である。パイプラインのなかでもTDM-621の重要性が高いとSR社は認識している。TDM-621は、消化器内視鏡手術、外科手術等で生じた出血部に注射器で塗布して用いられ、血液等の体液と接触すると自己組織化してナノファイバーを形成、ゲル化して止血する。同社によれば、TDM-621は既存の止血材と比較して、感染リスクの否定、インフォームドコンセントが不要、術野確保に優れるといった利点がある。世界の止血材市場規模は約3,800億円である(出所:同社資料、2020, Marketstand Markets)が、同製品はこの利点によって既存の止血材からの置き換えを進め、各地域において30~50%のシェア獲得を目指している。

 

また、同社は、自己組織化ペプチドによる技術の応用によって、従来の止血材を中心とした外科領域に加え、直腸粘膜炎および炎症性腸疾患(IBD)などを対象とする組織再生領域、核酸医薬などのDDSの領域においても開発を進めている。同社によれば、IBDの潜在市場は3兆円であり、外科領域に組織再生領域およびDDS領域を合わせた市場規模は外科領域の10倍以上である。