味の素は今後、以下のような変貌を遂げていく方針です
- 2030年に向けて「食と健康の課題解決企業」へと生まれ変わることを目指しています
- アミノ酸のはたらきを活用し、世界の健康寿命を延ばすことに貢献する方針を掲げています
- 事業ポートフォリオの変革を進め、「食品会社でもない、アミノ系会社でもないユニークな会社」を目指しています
具体的な戦略
- 健康寿命延伸への貢献
- 10億人の健康寿命(健康に生活できる期間)を延伸することを目標としています
- あらゆる年代の毎日の食習慣を改善し、健康寿命の延伸を図ります
- 環境負荷の削減
- 事業を成長させながら、環境負荷を50%削減する計画です
- アミノサイエンス事業の拡大
- 2030年までに、食品事業とアミノサイエンス事業の利益比率を1対1にまで成長させる計画です
「UMAMI」が世界中の半導体に
味の素の売上高1兆3591億円のうち大多数を占めているのは、主力の調味料・食品事業(売上高:7750億円)だ。ただ、増益分である144億円のうち約80億円を叩き出したのは、実は半導体材料を扱うファンクショナルマテリアルズ事業になる。
味の素では、「食品会社でもない、アミノ系会社でもないユニークな会社」(藤江太郎 社長)を目指すための事業ポートフォリオ変革の取り組みとして、アミノ酸にかかわる技術を食品系以外にも転換する「アミノサイエンス事業※」を展開。2030年までに事業利益ベースで食品事業と1対1にまで成長させようとしている。
※決算資料では「ヘルスケア等」に分類される。

出典:味の素2023年3月期通期決算、プレゼンテーション資料より
アミノサイエンスは、うま味調味料に欠かせないアミノ酸を活用したビジネスだ。飼料や化粧品の原料向けとして活用する道もあるが、AIやDXブームで急速に存在感を示しているのが半導体絶縁材料の「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」だ。
半導体はウエハーに回路を形成し、チップに切り分ける「前工程」と、チップを半導体基板に設置し、外部のデバイスとの配線を施し、人工樹脂製のパッケージで封入する「後工程」がある。ABFはこの「後工程」で利用され、高性能パソコン向けの世界シェアはほぼ100%を誇る。
チップが設置される半導体基板は、細かい電子回路を何層にも積み上げる。細かい回路の間で電気が干渉しないようには「絶縁体」が必要だ。ABFはこの絶縁体に使われる。ABFの主成分はエポキシ樹脂だ。同社は、アミノ酸を活用して、有機物のエポキシ樹脂と無機物の添加剤を均一に混ぜて、フィルム状に加工する技術を開発した。
かつて、半導体基板には液状絶縁体が使われていたが、フィルム絶縁体は工程数を減らせるなど、半導体産業にとっては「救世主」となった。