米通商法301条に基づく措置

米バイデン政権は、中国製電気自動車(EV)の関税率を現在の25%から100%へ4倍にまで引き上げる予定、とウォールストリート・ジャーナル紙が報じた。早ければ14日に正式に発表する。EV以外にも、車載電池や電池生産に不可欠な重要鉱物、太陽光パネル、風力発電タービンなど、クリーンエネルギー分野での関税引き上げが検討されている

 

強まる中国過剰生産、「チャイナショック2.0」議論

クリーンエネルギー分野にとどまらず、中国は多くの分野で生産過剰に陥っており、その問題を緩和するために、安値で海外に輸出攻勢をかけている、と欧米諸国は中国を批判している。経済協力開発機構(OECD)によると、世界の鉄鋼の過剰な生産能力は、中国などの安価な鋼材が世界中に広がった約10年前の水準に近づいているという。当時は、米ペンシルベニア州やオハイオ州では多数の鉄鋼労働者が失職したとされる。これは、当時「チャイナショック」と表現されたが、10年経って同様の事態が懸念され始めており、「チャイナショック2.0」と呼ばれている。

中国は4月に成立した関税法の草案に、貿易相手国が協定に反して中国の輸出品に関税や制限を設けた場合には、輸入品に報復関税を課すという内容を盛り込んだ。欧米がクリーンエネルギー分野での中国製品向け関税の引き上げに動く場合、中国が報復措置を講じ、最終的に報復合戦へと発展するリスクがある。それは、世界に保護主義を蔓延させ、世界貿易の縮小につながりかねない。