アメリカのノンバンク大手のCTIが破綻した。負債総額は$649億。史上6番目の規模の破綻とのことである。

CTIはリーマンショック後の混乱期に、GSやMSと一緒に銀行に転換し、FRBの管理下に入った。アメリカ政府もCTIは銀行になったということで、$23億も資本注入を行った。その公的支援は破綻によって焦げ付き、返済されない見通しとなった。

CTIはオリックスのアメリカ版ノンバンクである。(実際にはCTIが本家だが・・・)取引先も中小企業を中心におよそ100万社ほどある。この破綻は、アメリカの中小企業向け融資が厳しい状況にあることを、図らずも露呈させてしまった。今後は中小企業向け融資は絞り込まれ、貸し渋りがますます激しくなるものと予想される。

投資銀行業務を持つ銀行は、リーマンショック後プレーヤーの数が減ったため、好決算のラッシュであったが、融資に依存する銀行は大手でさえ厳しい状況である。大手に比べ体力も弱く、取引先にも中小が多い地銀にとっては、さらに状況は厳しく、すでに100行以上も破綻している。政府による自動車購入補助などの景気刺激策によって、7-9月のGDPの伸びは年率3.5%と大きな伸びを見せたが、その効果の消滅する10月以降は景気の先行きに不透明感が強い。残念ながら、景気刺激策も一部の大手には恩恵を与えたが、中小企業や個人所得、さらには雇用によい影響を及ぼすこともなく、一時的な刺激にしかならなかったようである。

投資銀行業務で稼ぐことのできない地銀は、景気の回復による融資の増加に期待するしかない状態であるが、回復以前に、今の手持ちの債権が徐々に蝕まれている状態である。失業率の増加により、サブプライムの10倍の規模のプライムローンの延滞率もジワリと上昇してきている。また、債権の不良化はRMBSからCMBSへと移りつつある。実際に消費不況の影響から商業地からのテナント料も下がり気味。ショッピングモールの中も空きスペースが増えてきており、潜在的なデフォルトリスクは高まりつつある。

プライムとCMBSの不良債権化は地銀の抱える爆弾である。連鎖的に爆発して第2の金融恐慌になるか、景気の回復によって不発弾として処理できるか。どちらになるのかは時間の問題である。

長期金利が上昇してきた。10年物の国債指標銘柄の利回りが1.4%を超えた。日本の財政状況を考えると、金利の上昇は避けられないと思われる。

バブルの崩壊以後、日本の金利は日銀のゼロ金利政策、量的緩和政策、不況の長期化での資金需要の減少による影響で、日本の金利は長期間低金利のまま推移してきた。国債は主に国内の金融機関に消化されてきた。これは景気低迷により融資が伸びなかったことと、優良企業は資金調達を直接金融にシフトしたことにより、消去法で国債の運用にすがるしかなかった幸運による。

しかし、日本には不安要因があまりにも多い。民主党政権の2010年度の予算規模は100兆円に迫る勢いであり、しかも歳入は40兆を切る可能性も指摘されている。日本はすでに、国と地方を合わせた借入金の残高が1,000兆円を超えているといわれている。これは400万円の収入の人が、1億の借金を抱えているにも関わらず、さらに年間600万円の借金をして、年間1,000万円の生活を維持しようとしていることに等しい。こんな生活が長続きしないことは小学生でもわかることである。

小泉首相の時代、「国債の新規発行額を30兆円以内に抑える」と公約した金額の実に2倍の新発債が発行されるとしたら、一体誰が買うのだろうか?

民主党政権はマニフェストを金科玉条として政策を進めているようであるが、財政再建を誰も唱えていないのは無責任の極みである。子供手当ても高速道路の無料化などのバラマキは、どう考えても財政再建よりも優先順位が低いものと私は考える。自民党にはその流れを変える力はなかったが、政権が変わった今こそ、本当にしなければならない政策に手をつける絶好のタイミングである。そうでなければ、莫大な借金の付けを後代に残すことになりかねない。大衆迎合的な口当たりの良い政策を並べることは、並みの政治家なら誰でもできる。しかし、どんな不評な政策であってもそれが真に必要なものであるならば、命を賭してもやり抜くのが真の政治家である。

日本にもそうした真の政治家が出現することを切に願う。

BNPパリバは、ソフトバンクの相場操縦とアーバンコーポレーションの資金調達時の不正行為で、業務停止が免れない状況となった。パリバは会社としてもコンプライアンス軽視がはなはだしく、過去にも損失飛ばし商品の販売、EB債の売り浴びせなど何度も処分を受けている。何度処分を受けても改善されないのは、「不正であろうが何であろうが、利益を上げた者勝」という企業文化によるものと思われる。

社員の報酬体系は、フランス企業とはいえ、米英並みに出来高払いで、利益を上げれば上げるほど報酬は高くなる。また、他の外資同様入社と同時に「次はどこの会社に自分を高く売り込もうか・・・」と考えている社員が多い。こうした土壌は、短期で巨額の利益を上げ、ボーナスをもらったらさっさと辞めて、他の企業にヘッドハンティングされて、さらに高い報酬を得ることを目指すインセンティブが働きやすい。

アーバンのスキームを主導したエリックもまさにこうした人種であり、ドイチェでも、リーマンでも、そしてパリバでも同じことを繰り返してきているようである。彼らの関心はひとえに自分の報酬のみであり、クライアントがつぶれようが、株主が大きく損を被ろうが、さらには今いる会社が法令違反で処分されようが、そんなことは一切関係ないと思っている。したがって彼らは、問題が大きくなり会社に処分を下される頃には、すでに退職し、他社で仕事をしているか、もしくは海外に高飛びしているかで、すでに手が届かないところにいることがほとんどである。

金融取引の専門性の高い分野は、巨額の利益が転がり込んでくる可能性も高い代わりに、巨額の損失が発生する危険性や法令違反の危険性も高い。それに従事する社員は、その専門性を武器に、上司も把握できない状況を作り、「利益を上げているから好きにさせろ」という自分だけの聖域を設けさせてしまう環境に陥りやすい。パリバのケースはこのような状況下で、担当者に好き勝手にさせた結果であると思われる。

リーガルリスクの代償は、業務停止、業務改善命令、さらには不正利益の拠出等、企業の業績に甚大な影響を与える結果となった。ソフトバンクに絡んだトレーダーも何らかの処分がなされるとのことである。しかしながら、法人への処分と比べ、当該個人への処分が仮に業務停止だけであったとしたら、あまりにも軽すぎるのではないか。監視義務を怠ったという責めは負うべきとしても、基本的に会社の舞台を利用しての個人プレーが一番の問題点である。刑事罰とは行かないまでも、最低限不正行為の結果得た報酬については全額没収するなどの法整備が必要である。また、エリックのように他社に行こうが、海外に高飛びしようが、とにかくとっ捕まえて報酬を吐き出させるような仕組みづくりが必要である。

個人の暴走を止める手立てを欠いたままであれば、また第2、第3のパリバが出てこないとも限らない。



沖縄の普天間基地の移転問題で、日米間がギクシャクしだした。
アメリカ側は、キャンプシュワブの沖合に若干の移動であれば同意の可能生ありとの球を投げてきたが、日本側はノー回答であった。この問題と海上給油の問題では、国家間の約束とはどんなものかを深く考えさせられた。

普天間の問題は、日米合意から既に10数年も経過しているにもかかわらず、専ら日本の国内事情により放置され続けている。民主党政権は、合意を反故にして沖縄以外または海外への移転を求めていくつもりであるらしい。

合意したのも、放置したのも、自民党政権時代の置き土産であるから、ひとえに自民党の責任は大きい。民主党が責めを負う筋合いでないことは明白である。「我々はずっと反対してきた」という岡田氏の気持ちは良くわかる。

しかし、岡田氏は日本国の外相である。外相が国家間の約束事を一方的に反故にするということは、国家間の重大事となる。一昔前なら戦争にもなりかねない。本来であれば民主党の政策以前に国家間の約束は重いはずではないのか?政権が変わる度に国家間の約束が履行されないとなれば、外交上他国は一体何を信用すれば良いのだろう?

合意が履行されないとわかれば、日本の信頼は大きく損なわれる。既にこの2つの防衛問題だけで、ワシントンポストに、「中国以上に厄介な国」との社説も掲載された。もちろん一部の意見ではあろうが、国防をアメリカに依存する以上、こうした意見が総意となる前に芽を摘む必要がある。

国家間の約束は、どんな政権であろうとも、基本的は政党の政策よりも優先されるべきものであると私は考える。変更はその約束が果たされた後の交渉で決められるべきものである。何も果たされぬまま合意を反故にするような行為は、「日本は政権が変われば過去の約束事はすべてチャラになる」と世界に向けて宣言しているものである。そのような国が一体だれから信頼されるだろうか?

日本のような軍備をアメリカに依存している国が、「アメリカと対等な立場・・・」といったところで、海外、特にアメリカではまともに受け取る者はいないのではないか。自国の防衛を他国に依存する者は、どこまで行っても半人前でしかない。もっとも、再軍備をすると言った瞬間に、中国は猛烈に反発するであろう。冷静に東アジアの情勢を見極めると、日米安保条約の元、アメリカに防衛を任せるしか選択肢がないのが現状である。すでに中国は軍事大国であるばかりか、経済的にも日本を抜き去り、アメリカに匹敵しうるパワーを持ちつつある。10年、20年前であれば可能であった選択肢かも知れないが、今ではありえない。大国中国に対抗するためには、何としてもアメリカとの緊密な関係を維持し、中国・もしくはロシアに楔を打ち込まれないようにすることが肝要である。

パワーのシフトが起こりつつある微妙な時期に、他国の信頼、特にアメリカの信頼を裏切るような行為は、百害あって一利なしである。北朝鮮の核や拉致、日本海の天然ガスなどの資源の帰属問題、尖閣、竹島、北方領土などの領土問題など、日本だけの力ではいかんともしがたい問題の解決に、どうしても他国の力、特に力がある者の支援が必要である。

普天間の移転は多聞に国内問題である。そして、地元を説得しまとめるのは政治の大きな役割である。民主党政権は1日も早くこの問題に決着を着け、アメリカとの約束を果たし、アメリカと共同で中国のパワーに対抗すべきである。

私の記憶が正しければ、民主党がマニフェストに書かれている政策を実施するための15兆円の財源は、無駄の排除、公務員の削減、特殊法人などの廃止で生まれる15.3兆円で十分まかなうと、小沢幹事長も藤井財務相発言していた。

来年度の支出で見込まれる概算要求が史上最高額の95.4兆円! しかも税収は40兆円前後の予想である。収入の2倍以上の資金を支出に当てるという神経は、一体どのようなものであろうか?

今回の概算要求では、自民党政権時代に民主党が「無駄である」と攻撃した項目も数多くそのまま盛り込まれているようである。もし、それらが本当に必要であるのなら、なぜ当時無駄と判断したのか、そして、なぜ今は必要なのかを検証し、その判断の誤りを明確にすべきであると思う。

自民党の予算に民主党の政策をまるまる乗せて概算要求を作るのであれば、それはサルでもできる作業であろう。われわれが民主党に期待したことは、不効率かつ無駄に浪費されている資金を、効率的にしかも成長性の高い分野に優先的に配分し、それによって閉塞した現状を打開し、新たな成長戦略に日本経済を乗せるということであったはずである。

しかるに、今やっていることといえば、公共事業の凍結が目立つ程度ではないのか。その凍結も一時的なもので、無駄な事業が復活する可能性も十分ありうる。痛みの伴う公務員の削減や、特殊・独立行政法人の廃止などは手付かず。さらに不透明な公益法人などは話題にも上らず。天下り廃止に至っては、斉藤元大蔵次官をトップに据えるという明確な公約違反。「辞めて14年なら天下りではない」とは一体どんな論理であろうか? 辞めて14年なら天下りも渡りも明確に認めるということなのか? あまりにも場当たり的な対応をしていると、期待は一気に失望に変わるであろう。
(もっとも、私はもうすでに失望しているが・・・)

お金を使うことにはマニフェストをかざし、痛みを伴う政策にはマニフェストを隠しだんまりを決め込むとは、姑息以外の何ものでもない。

私は、国民に対する民主党の本気度は、自らの支持母体である官公労に痛みを強いる「公務員削減」をできるかどうかで図ることができると考えている。支持母体をも敵に回して改革を迫るのであれば、喜んで応援したいが、郵政の公社化を進めている現状では、期待すら無駄なように思われて仕方がない。

私の場合、民主党政権への不安は、鳩山首相のリーダーシップのなさに帰結する。重要な政策ですら閣僚に丸投げで、しかも今のところ統率を取る気配も見えない。日本郵政社長人事での亀井総務相との会談の内容を聞くにつけ、「この人には当事者意識はあるのだろうか?」と疑わざるを得ない。もっとも重要な人事ですら、直前まで知らずに蚊帳の外にいたということが露呈してしまったことをどう感じているのか?

昨日から、予算の無駄の削減を目的とした「行政刷新会議」がやっと開かれたが、首相にリーダーシップがない分、仙谷さんに覚悟を示してもらうしか期待できそうなところはない。
少なくとも2009年度予算の88.5兆円を1円たりとも超えることがなく、それでもなお民主党の望む15兆円の政策が実現できるということを示してもらいたい。

昨日は株価は下がったが、政策の実現可能性しだいでは、さらに大幅に落ち込む危険性がある。すでに外資は日本の先行きに見切りをつけ、着々と資金を引き上げているようである。
小泉改革とまでは言わないが、少なくとも成長戦略をはっきりさせるべきであろう。

斉藤社長でも何でもかまわないが、歳入よりも多い国債をなんとしても消化するために、郵政を公社化した
といわれないようにしてほしいものである。