焦って帰ってきた金が話し始めた、
『実は閉店してからゴミ出しに行ってたら、うちの女の子がお客さんに絡まれてて、様子を見てたら連れて行かれそうやったから止めに入ったら、いきなり殴られてん。』
俺はまず、
『で、お前やり返したんか?』
と聞くと、金は無言で頷いた。
『けどお前なんでそんな焦ってるん?』
内藤が聞くと、
『それがそのお客さんが田無組の人やったらしくて、いきなり5人に追い掛けられてん。』
『田無組!?お前エラいとこに絡まれたなぁ。』
俺は田無組について知らなかったので、
『ちょ、タンマ!内藤、田無組ってそんな有名なん?』
『俺もあんま詳しく聞いたことないねんけど、そんな人数おらんけどめっちゃイケイケでやばいって。』
金と内藤はかなり深刻そうな顔をしていたが、
『いやいや、話おかしくないか!?だってその田無組って人数はあんま多くないんやろ?んないきなり5人で追い掛けてくるかなぁ?』
俺は納得いかなかった。すると内藤が、
『とりあえず金はしばらく店休んでここにおれ。田無組のことは俺が調べとくわ。祐介は大学生なんやから深入りすんな。』
『いやけどお前・・・』
『ええから!俺に任しとけ!』
と言った。
その次の日から内藤は俺と話さなくなった。恐らくあいつなりに俺を巻き込まないようにしようとしてくれているのだろう。とりあえず、俺は表立たず、情報を求めていつものバーに向かった。宮成さんなら何か知っているかもしれない。
そしてバーに行くと宮成さんはいつものように笑顔で、
『おーい!祐介、こっちや!』
と呼んでいる。俺はすぐ横に座り耳元で、
『宮成さん、田無組ってご存知ないですか?』
と聞いた。すると、すぐに笑顔は消え、険しい表情で、
『祐介、二人で話しよか。』
そういって会計を済ませ、二人で店を出た。バーから少し歩き、暗い路地に入ると、
『お前なんで田無組のこと聞いてきたんや?』
そう宮成さんが聞いてきたので、金の名前を出さず、事情を説明すると、
『その話、誰にもするな。ええな?何もなかったように過ごすんや。お前は関わるな。俺じゃ力になれんわ。すまんな。』
そう言い残し、どこかに言ってしまった。
どうすればいいか分からず、帰ろうとすると、内藤から電話がかかってきた。
『祐介、ちょっとだけ田無組のこと分かったで。なんか大阪でも大きめの辰巳組ってとこの分家らしい。で、前も言ったけど人数は少なめやけど、かなり有名で名前が出ただけでみんなビビってまうくらいやわ。』
『そんなでかいとこなんか・・・』
『あと、このへんでは若頭の"宮成"って人がダントツ有名らしい。やから俺宮成って人探してみるわ。』
『は?今何て?宮成って言った!?』
あまりの展開に全くついていけなかった・・・・。

続きは次回更新で。






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色々問題が解決したこともあり、時間に余裕ができはじめた俺は、仕事終わりに1人で近くのバーに飲みに行くようになった。カウンターのみの小さなバーで1人で飲むにはうってつけの場所だった。その日もいつものように飲みに行った。お気に入りの一番端の席に座ると、
『お兄ちゃんいっつもそこで飲んでるなぁ。仕事なにしてんの?ホストか?』
知らない人に声をかけられた。話によると、このバーの常連で俺をいつも見ていたらしい。
『キャバのボーイか!大変そやなぁ。俺は宮成ってゆーねん覚えといてや!』
そう言い残し帰って行った。不思議に思ったが、いい人そうだし知らない人と話すのも悪くないなと思った。
『おあいそ。』
そう言って会計を済まそうとすると、
『え?宮成さんからお金は頂きましたよ?』
と言われた。なんていい人なんだ。
それからというもの、会うたび宮成さんは俺を可愛がってくれ、飲みに連れて行ってくれたり、相談に乗ってくれた。宮成さんは40くらいで、紳士的でとてもいい人だった。
しかし、何故だか仕事については何も教えてくれなかった。
『宮成さんって仕事なにしてるんですか?』
と一度聞いたが、
『自由人やな。』
そういって誤魔化された。ちゃんと聞こうと思ったが、なんだかこれ以上深入りするなという少し怖いオーラを出していたので聞かなかった。
不思議で魅力的なおじさん。それが宮成さんの印象だった。
ある日、内藤といつものように部屋で喋っていると、金が慌てて部屋に飛び込んできた。
『翔ちゃん、祐介、大変や。』
『どないさたん?うわっ、なんやその顔!誰にやられたんや?』
内藤がすぐさま金の顔が傷だらけなのに気づいた。
『実は・・・』

続きは次回更新で。



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復讐のための準備を進めていたある日、仕事を終え帰っていると、近くから喧嘩をしている様な声が聞こえてきた。
少し気になり、見に行くと内藤が5人組に囲まれ殴りあいになっている。
『めんどくさそうやし、見なかった事にするか。』
そう思ったが、なんだか多人数に絡まれている内藤を放っておけず、
『おい!もうええやろ!5人で1人をボコって何が楽しいねん!』
と言って割って入ってしまった。
5人組は一斉に、
『誰やお前!こいつのツレか?』
と言ってきた。
『いや、ツレではないな。けどうちの店の人間やから。とりあえずもうええやろ!そいつこっちに返してくれ!』
そんな話が通じる訳がなく、ある程度抵抗したが、結局内藤と二人でぼこぼこにされてしまった。
どれぐらい経っただろうか、気がつくと、金がいた。
『大丈夫か?』
実は、この時初めてまともに金の声を聞いた。
『あいつらは?』
『俺が来た時にはもうおらんかったわ。』
話していると内藤も気がつき、
『なんで助けた?』
『分からん。けどまぁ店の人間が絡まれたら放っとかれへんやろ。』
『なんやねんそれ。』
こんな会話になった。とりあえずその場を離れようとした内藤と俺は立ち上がろうとすると、体がふらふらだった。仕方なく金に肩をかり、金と内藤の二人が住むマンションに行くことになった。
『なんで絡まれてたん?』
内藤に俺が聞くと、
『内藤は俺の事助けてくれてん。』
金が答えた。
どうやら最初に金が絡まれていたのを内藤が見て、金を逃がしているうちに自分が捕まり、囲まれてしまったらしい。
しばらく沈黙が続くと、内藤が、
『・・・・ありがとう。』
と言った。俺は思わずくわえていたタバコを落とし、
『な、なんて?今なんて言った?』
『二回も言わんわ!』
顔を赤くし、内藤は焦っていた。
金は笑い、
『翔ちゃんが謝った!』
と、バカにしていた。
それから復讐のことや今までの全てを忘れ、長い時間三人で話し込み、俺は内藤と金の部屋に泊まった。
それからというもの、内藤と金と俺は、ずっと三人でいるようになった。
店からもめ事もなくなり、雰囲気はとてもよくなった。
営業においても、内藤と金は俺のやり方を受け入れ、お客様からも、
『なんか、接客がめっちゃよくなったな。』
と、誉めて頂きとてもいい方向に向かっていた。

続きは次回更新で。



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