シュウさん達に紹介してもらった女の子が面接にやって来た。二人とも経験者だけあり、すんなり面接も終わり、その日から働くことになった。軽く店舗の中を案内し、代表や店長を紹介した後すぐにお客様が来られた。
二人とも前の店から固定客を連れて来ており、はっきり言って、俺がすることなんて何もなかった。担当五人のうち、四人は普通に指名を取れてるし、さらにそのうち一人はナンバーツーだ。業界にいれば誰もが羨むような環境にいた俺だが、少しずつ自分にできること、そして自分がしたいこと、今自分がしてることについてジレンマを感じ始めた。本来、俺はマネージャーになると決まった時、代表は厳しい人だ。厳しい中に愛情はあるが、なかなか伝わらない。ならせめて俺が皆の間に入り、本当にこの店で頑張っていこうと思える環境を作りたい。そう考えていた。実際は何もできていない。自分の無力さを噛みしめ何もできないことに対して歯がゆい日々を送っていた。さらに、みゆがサボり始める。
『生理痛がひどいので休みます。』
とか、何かと理由をつけ、休むことが増えていった。さらに、追い討ちをかけるように先輩マネージャーがまた一人やめた。ついにアルバイトの中で俺が一番上の立場になってしまった。先輩が担当していたみゆの友達は、本人の意向により俺が担当することになった。ただでさえ、無力感にさいなまれていたのに、担当が六人になってしまった。
もう、既にパンク寸前だった。
さらに悪いことは続く。新しく担当したみおは、もうやめる気だったらしい。当日欠勤を連発。代表はあえて何も言わなかったが、いつキレてもおかしくない状況だった。
そして、代表から、
『なぁ、俺みおってやつボロクソに言って泣かしてやめさしてもいい?』
そう言われた。いつもの俺なら、
『俺が説得するんで少し待って下さい。』こう言っただろう。いや、言うべきだった。
しかし、
『代表が言わなくても俺が言いますよ。』
こう言ってしまった。
『お前、マネージャーの雰囲気出てきたな。』
そう言われても嬉しくなかった。ただ、俺だって苦しい中、逃げ回るみおが許せなかった。
そして、久々に出勤してきた時にすぐみおの元に行き。
『お前、そろそろやめたいらしいな?つか、スカウトに頼んで次の店探してるらしいやん。』
『え?そんなことないよぉ。』
『しらこいねんワレ!こっちはとっくにスカウトから聞いてウラ取っとんのじゃ!ええか?お前何回無断欠勤した?無断欠勤したら罰金出るん知ってるよな?お前まともに給料でると思ってんのかコラ!』(注:キャバクラ、ホストなどは罰金の制度が数多くあり、無断欠勤、当日欠勤、遅刻、ミーティングの不参加や遅刻などで罰金が発生する)
『だってスカウトの人は大丈夫って・・・・』
続きを聞く前に、
『そんなもんスカウトが適当に自分の都合のええように言ってるだけやろ?はっきり言ってな、知らんがな!!』
みおは泣いていた。
『サイテーや』
俺は心の中で思っていた。
しかし、気持ちとは裏腹に、
『やめるんやったらやめたらええやんけ!勝手にしろや!』
こう吐き捨てた。それ以降二度とみおの姿を見ることはなかった。
代表には、
『よー言ったなお前。俺もすっきりしたわ。』
と言われたが、俺の中のジレンマは強くなるばかりだった。理想とは程遠い現実に、目を背けたかった。
さらに、みゆもやめた。こうして俺の担当は六人から四人に減った。
そして、マネージャー投票の時期が迫っていた。
俺はシュウさんの紹介で入った二人には、
『担当、別に俺じゃなくてもいいんやで?シュウさんの紹介とか関係なく。』
と、釘をさしたが、
『祐介さんなら大丈夫ですよ。お願いします。』
と言われてしまった。問題を起こしていた二人がやめたため、俺の担当は皆成績がよく、女の子達にも信頼されるようになった。
こんな俺を信じて着いてきてくれる子がいる。
『もう一回一から頑張ろう。』
そう決めた矢先のことだった・・・。


続きは次回更新で。

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