だいぶ間が空いてしまいましたが、
企業サイトを自社でSEO対策するとき、つまりインハウスSEOのアドバイスを簡単に書きたいと思います。
今回と次回2回に分けてお届けします。
USでは、SEOは基本的にインハウスで行うケースがほとんどです。
SEO業者の関わり方はトレーニングというパターンがかなり多く、
一部大規模な競合の多いサイトは日本でも行われているようなコンサルティングサービスを利用しているというケースが見られます。
コンサルティングを受ける場合でも、「一緒にやっていく」というイメージが強く、
日本のように業者にすべて任せるというスタンスはあまりないと思います。
今回ここでは、SEOのコンサルも受けずに、自社で情報収集してやっていく方法を検討したいと思います。
正直なところ、このパターンは我々SEO業者が関わらないものなので、
私が知らないこともあると思いますが、我々の立場で考えたインハウスの方法を書きたいと思います。
1,体制づくりと社内理解を
まず、いきなりですがリソースの問題を整理するのが何よりだと思います。
SEOというものは、どれだけやるか?にもよりますが思った以上に工数がかかるものです。
規模の大きなサイトで、難易度の高いキーワードをやろうと思えばなおさらです。
私は、インハウスでSEOを行うのであれば、ある程度の規模のサイトであれば専任担当をつけたほうが良いと思います。
もちろん社内リソースにもよりますので、一概には言えませんが、
SEOをメインで行える人が1人はいないと、なかなかインハウスのSEO運用は厳しいのではないでしょうか?
今回は、コーポレートサイトやブランドサイトの話で、ECなど数千、数万のワードをSEO対策するというのとはちょっと違いますのでリスティングなどと兼任しても良いかもしれません。
また、このSEO担当者の役割としては、必ずしも自分でサイトを修正しなくても良いと思います。
要は、SEO業者におけるSEOプロデューサーやSEOコンサルタントみたいな肩書きの人と同じ動きができれば良いわけです。
スキル的には、
・HTMLの基礎知識がある(書けなくても、タグの意味くらいは知っている。読める。)
・ウェブシステムの基礎知識がある(構築できなくても、どういう仕組みなっているか分かる)
ことに加えて、もちろんSEOの知識が必要となります。
また、SEO担当者は情報システム部門の人や、ウェブ制作の担当者とコミュニケーションをとり、一緒にSEOを進めていく必要があります。
時には、別サイトを運用している担当者やグループ会社の担当者ともコミュニケーションする必要が出てきます。
そのため、コミュニケーション能力が高い人のほうが向いていると思います。
「SEO」というと、PCにかじりついてマニアックなことをしている
というイメージを持つ方も多いと思いますが、
知識武装できたとしてもそれを使いこなせなければ意味がありませんので、
自分でシステムもHTMLも全部できちゃいますという人以外には、コミュニケーション能力は必須になると思います。
まあ、システムやHTMLができる人でもキーワード選定などで色々な部門をとりまとめなければならないのでコミュニケーション能力をおのずと必要になると思いますが・・・。
そして、このSEO担当者をサポートできる体制をきちんと作ってあげることも大切だと思います。
特にその上司の方は、システム部門やウェブの部門をきっちりと握ってあげることが必要だと思います。
SEO業者が入っているケースでも、
「他部門がまったく動いてくれなくて、修正が反映できません」
という残念な言葉はよく聞きます。
SEOというものには何人も担当者がつくわけではないので、担当する方は孤独感もあると思います。
周囲のサポートがとても重要だと思います。
そのウェブサイトの目標をはっきりと示して、チームで目標達成する姿勢がなければ成功はしないでしょう。
2,情報収集
インハウスでやる際に大きな課題がこの部分です。
ここができて、何をやるかが明確になればあとは、SEOコンサルをつけているのと同等です。
この部分の精度が、SEOの精度をそのまま担っていると言っても過言ではないと思います。
情報収集にはいくつかの方法があるかと思います。
書籍、雑誌、インターネット、口コミetc
それぞれにメリット、デメリットがあると思います。
・書籍、雑誌
私も過去雑誌で連載を持ったことがありますが、ブログで書くこととやはり異なると思っています。
書籍や雑誌は長時間残るものですし、修正が聞かないので、書き手としては、
「普遍的」かつ「間違いがない」ことを掲載する傾向にあると思います。
もちろん、時代が流れていますので5年前のものがそのまま当てはまるとは思えません。
が、
- 検索にガンガンヒットするホームページの作り方―SEO(検索エンジン最適化)テクニックで効果的にPRしよう/渡辺 隆広
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
(競合の本をなんで紹介しているんだと怒られそうですが、良いものは良いので仕方ないです)
雑誌も書籍ほどではないですが、その傾向はある程度あるかと思います。
ただ、「Yahoo!がこう変わった」とか「Google変化予測」とか、
そもそも短いスパンにスポットを当てて書いた記事は別で、その時々に必要なSEOのヒントをつかめると思います。
また、
- Web担当者 現場のノウハウ SEOスペシャル 2009 冬号 (インプレスムック)/Web担当者Forum編集部
- ¥1,500
- Amazon.co.jp
WEB担なんかは、その時のアルゴリズムにあわせた特集記事もあるので、旬な情報も得られると思います。
・インターネット
専門情報サイト、ブログなど、SEO情報を発信しているサイトは大量にあります。
サイトによって、言っていることが違う・・・
なんてこともあると思います。
誤った情報を掴んで取り返しのつかないことにならないように、
情報の精査が必要になります。
長期に渡って読み続けている、信頼できるサイトのみを信用するのも良いでしょう、
(宣伝ぽくなってしまいますが)スピンジャパン
は、SEO記事について批評が書き込まれるので、それを見て真偽を判断するのも良いと思います。
あとは、その情報がどれだけのサイトに書かれているかも目安にはなると思います。
最新の超レア情報というのは逃してしまうかもしれませんが、どの複数のサイトで言っていることであれば、当然信頼性は高まります。
・口コミ
これはネットの情報を拾うのとあまり変わらないと思います。
SEOの専門家ではない人でも、確かにSEOに非常に詳しい人はたくさんいます。
特にアフィリエイターの方には、我々が及ばない部分が山ほどあるでしょう。
ただ、個人サイトでやれることと、企業サイトでやれることは違うということを理解してください。
口コミ情報をネット等で一度確認するなど、
こちらもレア情報を使えなくなってしまうかもしれませんが、安全策をとったほうが良いと思います。
と3つあげると結局他と差がつかないじゃないか!ということになってしまうと思います。
ただ、SEOをやるにあたって一番怖いのはペナルティです。
特に企業サイトでペナルティを受けることは企業ブランドの失墜に繋がる可能性も否定できません。
そのため、自分で情報収集するときは細心の注意が必要だと思います。
その中で比較的安全性が高くてお奨めな方法は、
「競合サイトを徹底的に分析する」
ということです。
SEO対象とするキーワードでランクアップしている競合はどうやっているのか?
titleはどうやって書いているか?
コンテンツの構造は?ボリュームは?
被リンクはどうなっている?
いろいろなSEO要素を上位にいる複数のサイトで観察していくとヒントが見つかると思います。
私たちも、このような解析は徹底して行っています。
SEO業者ほど行うことはリソース上不可能だと思いますが、SEOの要素と言われて思いつくもので、
自分達で解析、分析できそうなものを見てみれば
「まず何をすべきか?」
見えやすいのではないでしょうか?
欲を言えば、それを(別のキーワードでも良いので)まずはSEO担当者の個人サイトや別のサテライトサイトなどで試してみるというのが理想だと思います。
いずれにしても、情報収集というのはアルゴリズム解析、アルゴリズム分析そのものだったりするので我々SEO業者も力の差になる部分であったりします。
インハウスで行う場合には、この部分にどれだけリソースを割けるかがカギになりそうですね。
後編では、実際にサイトにSEOを入れていく際のポイントをお送りしたいと思います。
【木村 賢】