松島千治のプロフィール
千葉大学工学部電気工学科を1981年に卒業し、2012年に開発スペシャリストを務めていた電子機器や電子部品の某メーカーを退社。その間、プリンタ,スキャナ,液晶パネル,画像処理,静電タッチパネル,3次元座標入力,GPSベースバンド,ワイヤレス給電などの開発に携わる。20歳頃から古今東西の各種占いを調査して、占い歴約40年です。

 

 

 

太陽系の惑星公転の地上人類への影響(PEIバイオリズム周期の誤差)2023.2.21改訂版

 

 今回紹介するの論文では、1970年代に日米を中心に世界的なブームになったPEI(PSI)バイオリズム(23日周期の身体リズム,28日周期の感情リズム,33日周期の知性リズム)は周期の日数が何に依存しているのかが謎とされてきましたが、全くルーツの異なる太陽中心占星術に拡張を加えることで同様の予測を行うことを解明して、両者を修正して統合した科学的に有意性の確かな新しいバイオリズムを提唱しています。 

 この論文で紹介している内容は、イギリスのあのネイチャー誌に掲載されても当然と考えられるような大発見です。現在ではPEIバイオリズムも太陽中心占星術も疑似科学とされていますが、2つの独立して解明されてきた予測方法を微修正することで同様の予測をすると言うこと自体は、動かしようのない科学的事実であり、まさにこの論文が示していることです。

 また、PEIバイオリズムは正しくないことはすでに検証済で、だから疑似科学になっていて決着済のことであるとの主張も聞こえてきそうです。しかし、今回の論文により、PEIバイオリズムの周期には微妙な誤差があった可能性が高いことが分かりました。この誤差により、誕生日から長い年月が経つと従来のPEIバイオリズムが意味をもたなくなることは明確です。それに、当初のバイオリズムでは、生まれた日との関係はなく、単に人の状態に周期性があることのみが知られていました。したがって、周期を微修正された新しいPEIバイオリズムは、十分検証されるに値します。

 なお、本論文の内容は、特許出願されていますので、商業利用を検討される方はご留意ください。

 

【論文】

■ 概要

 人の状態は、理由も分からずに変化することがあります。人の状態を予測する従来の方法には、PEIバイオリズムや西洋占星術などがあります。しかし、どちらの方法も、現在では疑似科学として位置付けられています。ここでは、メカニズムが不明で周期の日数が自然数とされてきたバイオリズムと拡張された西洋占星術の一部が、まったく独立して解明されてきたにも関わらず、周期,項目,結果のいずれにおいても極めて類似した予測をすることを示します。バイオリズムの身体リズムの周期の23日は、西洋占星術で自分らしさとエネルギーを占う1地球の公転周期の16分の1の22.83日に極めて近い。同様に、感情リズムの周期の28日は、感覚や恋愛を占う1金星の公転周期の8分の1の28.09日に極めて近い。さらに、知性リズムの周期の33日は、コミュニケーションと把握を占う1水星の公転周期の8分の3の32.99日に極めて近い。さらに、バイオリズムの要注意日2は西洋占星術の不調和角度1に対応し、予測結果も類似している。このような高い類似性が偶然ではなく必然である確率は、控え目に計算しても99.7%以上になる。このことが示す科学的な結論は、PEIバイオリズムの周期は惑星の公転を元にしたものであるために自然数の周期には微妙な誤差があり、惑星公転の人への影響は高い信頼性でありそうであるということである。このため、周期を修正されたバイオリズムや拡張された太陽中心の西洋占星術は、多くの事例で検証されるべきである。その結果有意性が確認されれば、生物学や医学などにとっては直接的に意味のあることであり、多くの分野での活用も期待される。

 

■ 背景

 従来のバイオリズムは、図1aに示すように、生まれてからの日数による身体,感情,知性(PEI)の3つのリズムにより構成されている。また、太陽中心占星術には、図1bに示すように、地球,金星,水星などが産まれた時の位置と予測する時点の位置がなす角度θにより好不調を予測する方法がある。

 

図1| 従来の予測方法 a, バイオリズムは、生まれた日を起点とした正弦波を用いて人の状態を予測する方法である。バイオリズムには、23日周期の身体リズムPと28日周期の感情リズムEと33日周期の知性リズムIがある。リズム波が負から正に変わる日とその前後の日は、図中で色のついた長方形で示され、要注意日と考えられている。b, 西洋占星術には、太陽中心の黄道上で同一の惑星が形成する角度に基づいて予測する方法がある。色線の円は生まれた時点の惑星の位置を示し、色で塗りつぶされた円は予測辞典の惑星の位置を示し、180度以下のなす角度θが90度,180度,45度,135度に近いタイミングでは不調和と予測する。

 

■ バイオリズムと太陽中心占星術の予測の類似性

 私は、惑星公転による地上での現象への影響のメカニズムについて解明しようとしていた。そこで、バイオリズムと西洋占星術の一部が、表1に示すように、項目,タイミング,結果において極めて類似した予測を行うことに気が付いた。ここで、バイオリズムの身体リズムは西洋占星術の地球に対応し、感情リズムは金星に対応し、知性リズムは水星に対応すると仮定した。

 

 

● 予測項目の類似性

 地球の公転は、地球中心の西洋占星術では太陽の動きとして扱われるため、ここでは便宜上占星術の太陽を地球の代わりとする。バイオリズムで当初ウィルヘルム・フリース医師により男性リズムとされていた3身体リズムの予測項目の身体能力2と、占星術で前身が男性神アポロンである太陽の予測項目の自分らしさとエネルギー1は類似している。同様に、当初女性リズムとされていた3感情リズムの予測項目の気分と感性2は、前身が女性神ヴィーナスである金星の予測項目の感覚や恋愛1と類似している。そして、知的リズムの予測項目の把握と判断2は、水星の予測項目のコミュニケーションと把握1と類似している。ただし、ここでの予測項目の文言は文献間でかならずしも統一されてはいないが、意味はどの文献でもほぼ同様である。

 

● 予測タイミングの類似性

[西洋占星術の不調和角度]

 予測タイミングの類似性を説明するために必要な西洋占星術の一部分を概説する。それは、西洋占星術の中の太陽中心占星術で、トランシット法で、アスペクト法で、不調和角度で360度を2,4,8で割った角度の奇数倍の角度で、地球,金星,水星自体が成す角度によるものである。ここで、トランシット法とは、生まれた時と現在との惑星の位置関係から運勢を占う方法である。また、アスペクト法とは、あらかじめ定められた調和/不調和を意味する角度により占う方法である。不調和を示すプトレマイオスのメジャーな角度は90度と180度であり、不調和を示すケプラーのマイナーな角度は45度と135度である1。したがって、調和か不調和か不定となる360度(0度)を除いて、45度の自然数倍のすべての角度は不調和である。

 

[感情リズムと金星の予測タイミングの類似性]

 予測タイミングの類似性については、感情リズムの28日と金星の公転周期(224.701日4)の8 分の1 の28.09 日との差は0.31%と極めて小さいため、金星はこの時間に黄道上を360度の8分の1である約45度移動する。このため、金星は、8回に1回0度に戻る場合を除いて、感情リズムとほぼ同期して不調和な角度を形成する。

 

[知性リズムと水星の予測タイミングの類似性]

同様に、知性リズムの33日と水星の公転周期(87.969 日5)の8分の3の32.99日との差は0.035%と極めて小さいため、水星はこの時間に黄道上を360度の凡そ8分の3である約135 度移動する。図2b(B/P 比≒6/16)に示すように、135度の移動を繰り返すと、135度,270(90)度,45度,180度,315(45)度,90度,225(135)度と進み、元の0度に戻りこれを繰り返す。ここで括弧()内の数字は、180度より小さい方の360度の補角である。このように、水星は、8回に1回0度に戻る場合を除いて、知性リズムとほぼ同期して不調和な角度を形成する。

 

[身体リズムと地球(太陽)の予測タイミングの類似性]

 身体リズムの23日と地球の公転周期(365.256日6)の16分の1 の22.83 日との差は0.75%と極めて小さいため、地球はこの時間に黄道上を360度の16分の1である約22.5度移動する。しかし、この角度は、従来の占星術では意味のある角度ではない。したがって、身体リズムとほぼ同期するためには、従来の西洋占星術に拡張を加える必要がある。ただし、この拡張は、不自然に人為的なものではなく、自然なものでなくてはならない。そこで、従来の西洋占星術での不調和な角度45(315),90(270), 135(225), 180度が360度を2のべき乗である2, 4, 8で割った角度の奇数倍の角度であったことに着目し、その規則を維持して360度を16で割った角度の奇数倍の角度を弱い不調和な角度として追加するようにした。この拡張により、金星や水星の場合と同様に、地球は、16回に1回0度に戻る場合を除いて、身体リズムとほぼ同期して不調和な角度を形成する。

 

[B/P比]

 ここで、これらのタイミングの類似性を共通の尺度で表すために、バイオリズムの身体リズム,感情リズム,知性リズムの各周期を対応する惑星の公転周期で割ったB/P 比を定義する。対応する3 つのB/P 比は、図2aに示すように、16分の1の自然数倍に極めて近い値になっている。また、図2bは、各B/P 比でのバイオリズムと西洋占星術の不調和との同期関係を示している。

 

図2| バイオリズムと惑星公転の同期 a, 対応する惑星の公転周期に対するバイオリズムの周期の比であるB/P比をチャート化したものである。3つのB/P比は16分の1の自然数倍に極めて近い値となっている。b, B/P比が16分の1の自然数倍の場合に、バオリズムの周期の切替りにおける惑星の位置を示したものである。黒線の大きな円は惑星の公転を示していて、外側の数字はバイオリズムの切替りのタイミングを数えたものである。このように、B/P比が16分の1の自然数倍の場合には、バイオリズムの周期の切替りのタイミングでは、惑星は元の位置に戻る場合を除いて常に不調和な角度を形成する。ただし、B/P比が3/16,5/16,6/16,7/16の場合には、バイオリズムの周期の途中にもメジャーな不調和角度があるため、バイオリズムと惑星公転の同期は不鮮明である。鮮明になるB/P比は、1/16,2/16,4/16である。

 

● 予測結果の類似性

 予測結果の類似性については、バイオリズムは元来周期的に発生する患者の体調悪化から見出されたものであり、基本的に要注意日を予測するものである。また、西洋占星術では、360度を2のべき乗で割った角度の奇数倍の角度は、不調和な角度である。このように、バイオリズムと西洋占星術では予測結果も類似している。

 

■ 類似が偶然でない確率の計算

 ここでは、これらの類似性がバイオリズムと西洋占星術に関連があったために必然の結果なのか、あるいはバイオリズムと西洋占星術は無関係で偶然の類似なのかである。ここでは、必然の結果である確率を求めるために、便宜上その補数である偶然の類似である確率を科学的に計算する。

 

● 前提条件

 この確率を計算するためには、バイオリズム解明の歴史に遡って確率計算の前提条件を明確にする必要がある。ここでの前提条件は、バイオリズムは、医師であったウィルヘルム・フリース氏が男性の体調には23日周期があり、女性の感情には28日周期があることを見出したのが始まりである3。その後、アルフレッド・テスラー氏は、音楽の和音のようにリズムは3つであるべきと考えて、23日と28日と等間隔になる33日周期を考えた3。さらに、彼は、多くの学生の成績を調査して33日周期には知性リズムが対応することを見出した3

 

● 言語データの分類

 このように前提条件は複雑な言語により構成されるため、ここではこれらを分解して、「当然」と「偶然」と「不明」の3つに分類する。身体リズムや感情リズムが予測項目になったことは、医師が身体や感情について調査するのは当たり前なので、「当然」とする。それでも、身体リズムの周期が地球の公転周期の16分の1の22.8285日に最も近い自然数である23日になったのは、バイオリズムと西洋占星術が無関係とすると「偶然」である。同様に、感情リズムの周期が金星の公転周期の8分の1の28.09日に最も近い自然数である28日になったことも、バイオリズムと西洋占星術が無関係だとすると「偶然」である。ここで、バイオリズムの周期が自然数に限定されたことは、経緯が明確でないのでここでは「不明」とする。知性リズムの周期が33日になったことは、23日と28日と等間隔であると言う理由が明確なため「当然」とする。ただし、どうして短い方の18日でなく⾧い方の33日を考えたのかは、経緯が明確でないのでここでは「不明」とする。また、アルフレッド・テスラー氏により知性が予測項目になったことは、彼が学生の成績だけを調査したのか、あるいは多くの調査をした中で知性だけに相関があったのかの経緯が分からないため、ここでは「不明」とする。ここで留意するべきことは、地球の公転周期の16分の1の22.8285日や金星の公転周期の8分の1の28.09日や水星の公転周期の8分の3の32.99日がすべて自然数に極めて近いことは、天体定数に関する偶然であって、ここでの確率計算とは無関係なことである。

 

● 偶然の確率

 ここで、「偶然」に分類したのは、身体リズムと感情リズムの周期の日数のみである。悪い状態の予測が同期するのは、図2b に示すように、B/R 比が16分の1の自然数倍の場合のみである。つまり、身体リズムや感情リズムの周期が対応する惑星の公転周期の16分の1の自然数倍の場合である。したがって、最も近い自然数に偶然なる確率は、対応する惑星の公転周期の16分の1の逆数である。計算すると、身体リズムでは約4.4%(23分の1)であり、感情リズムでは約7.1%(14分の1)であり、これらがバイオリズムとして同時におこる確率はそれらの積の約0.3%である。つまり、バイオリズムと拡張された西洋占星術の一部の予測が偶然類似する確率は約0.3%である。補完的に、バイオリズムと拡張された西洋占星術の一部の予測の類似が当然の結果である確率は、約99.7%である。

 

● 99.7%は控え目な確率

 ただし、ここまでの確率計算では、「不明」に分類された前提条件は一切関与していない。さらに、バイオリズムの解明において、多くの調査がなされた中で西洋占星術と類似した予測をする方法のみが選別されたのかもしれないことを考えると、「当然」に分類した前提条件の中には実際には「偶然」に分類されるべきだったものが含まれていたかも知れない。したがって、ここで得られた99.7%の当然の結果である確率は、私の前提条件に関する不十分な知識に依存したものであり、確率を誇張しないために控え目に計算された最小限の値であり、実際にはこの値よりはるかに高い値かもしれない。また、ここで得られた確率は、知性リズムに関する前提条件が含まれていないため、当初のウィルヘルム・フリース医師による身体リズムと感情リズムと拡張された西洋占星術の一部との予測の類似が当然の結果である確率である。さらに、ここで得られた99.7%以上の確率は、言うまでもないが、予測の類似が当然の結果である確率であって、予測の的中率とはまったく異なる。

 

■ 考察

 

● 惑星公転の人類への影響

 さらに、ここでは、これまでに得られた確率を基に考察を行う。予測の類似が当然の結果である確率が99.7%以上であることは、断定するには十分ではないが、それなりに高い値である。そこで、仮に予測の類似が当然の結果であると仮定すると、予測を類似させる何らかの背景や理由がなくてはならない。普通に考えると、図3に示すように、惑星の公転が地上の人の状態に影響を与えていて、そのことを西洋占星術は空間的な側面から予測し、バイオリズムは時間的な側面から予測していると考えるのが自然である。つまり、これまで不明とされてきたPEIバイオリズムの周期の元が、惑星の公転であると考えるのが自然である。また、予測結果が類似するのは予測結果が科学的に意味があるからと考えることもできるし、バイオリズムと拡張された西洋占星術は互いに予測結果の正しさを検証した結果とも考えることができる。

 

 

図3 | 予測類似性の考えられる背景 a, 惑星の公転が地上の人の状態に影響を及ぼしていることを想定した概念図である。b, 惑星の公転を空間的な側面と時間的な側面から捉えたものである。横軸は時間で、上段の縦軸は惑星の位置であり、下段はバイオリズムである。惑星はほぼ一定の角速度で公転しているためほぼ直線で表されている。黒丸は不調和角度を形成する位置を示している。西洋占星術は空間的な側面を捉えて上段縦軸の生まれた時点と予測時点の角度の差θに基づいて予測を行い、バイオリズムは時間的な側面から捉えて生まれた日から繰り返されるサイクルの切替り前後のグレーの長方形で示す要注意日を予測する。従来のバイオリズムでは、長い月日が経過すると位相はずれてしまうが、周期を微修正したバイオリズムは同期を保つことができる。

 

● バイオリズムの周期の誤差

 このように考えて、ここではバイオリズムを考え直してみる。バイオリズムの周期と惑星の周期にB/R 比をかけた時間との微妙な差については、惑星の公転周期は変えることのできない定数であるため、バイオリズムの周期に微妙な誤差があると考えるのが自然である。つまり、身体リズムの周期は、23日から地球の公転周期の16分の1の22.8285日に修正されるべきであろう。この身体リズムの周期の修正は、要注意日は誕生日に依存して毎年同じ時期に繰り返されることを意味している。同様に、感情リズムの周期は28日から金星の公転周期の8分の1の28.0876日か16分の1 の14.0438日に、知性リズムの周期は33日から水星の公転周期の8分の1 の10.9961日か16分の1の5.4941日に修正されるべきであろう。余談ではあるが、このように微修正であることを考えると、バイオリズムの周期が自然数の日数であると誤解したことも無理のないことだったのかも知れない。

 

● 周期の誤差の影響

 それでも、ここではバイオリズムの周期に微妙な誤差があったと考えられることはむしろ好都合である。何故ならば、バイオリズムは多くの著名な学者たちによって支持されてきたにも関わらず、そのメカニズムも不明で、また他の多くの学者等によってことごとく論拠が否定されて、疑似科学として位置付けられているからである。これらの微妙な誤差によって1日のズレを生じる日数は、周期の誤差の比率の逆数に等しい。それは、身体リズムでは0.75%の逆数の134日で、感情リズムでは0.31%の逆数の322日で、知性リズムでは0.035%の逆数の2,821日(約7.7 年)である。したがって、調査期間がこれらの誤差を許容できる範囲内のものであれば調査結果は意味のあるもので、調査が生まれてからの日数を基に行われると相関のない結果が得られたのではないかと考えることもできる。このように調査方法によって結果が大きく異なることは、疑似科学として位置付けられている現状を上手く説明できているのかもしれない。

 

 さらにバイオリズムの他の特徴について考えて見ると、バイオリズムは、医師であったウィルヘルム・フリースが単に周期性があることに気づいたのが始まりである。その後、バイオリズムは、生まれた時点の星の配置をもとに占う西洋占星術と同様に、生まれた日を起点とするようになった。このことは、アルフレッド・テスラー氏による比較的若い学生を主な対象とした、誤差が非常に小さい知性リズムの検証などであれば確認できたのかもしれない。

 

● バイオリズム周期中間の要注意日

 また、バイオリズムは、いつの日かリズムの開始点ばかりでなくリズムの中間の日も要注意日であるとされるようになった。このことは、金星の公転周期の16分の2と周期がほぼ一致する感情リズムによって見出されたことかもしれない。感情リズムの周期の半分が、ちょうど金星の公転周期の16分の1となって、感情リズムの要注意日と拡張された西洋占星術の不調和日が同期するからである。ただし、バイオリズムが正弦波であるとされることについては、西洋占星術では全く説明ができない。

 

● 楕円軌道の影響

 ところで、ここまでは便宜上惑星の公転が円軌道であると仮定していたが、正確には楕円軌道であり、角速度は一定ではない。このことにより生じるズレの最大幅は、拡張データの図に示すように、身体リズムで約4日、感情リズムで約1日、知性リズムで約12日である。身体リズムのズレはやや大きいが、不調和日はリズムの切り替わりの日とその前後の日であるとされているので、ある程度の相関が得られると考えられる。また、このズレは、月によって補正することなどが可能である。感情リズムのズレは概ね許容範囲である。しかし、知性リズムのズレ幅は、水星の公転の約8分の1 であり、無視できるレベルではない。それでも、アルフレッド・テスラーが知性リズムを見出すことができたように、十分なデータがあれば有意性の検証は可能かもしれない。また、この惑星公転の空間的な側面と時間的な側面のズレについては、空間的な側面が意味をもつと考える方が自然かもしれない。それでも、惑星公転が地上の人の状態に影響を与えるメカニズムが分かっていないため、時間的な側面が意味をもっている可能性も否定できない。

 

● 公転の基準

 それから、ここでは惑星公転の基準として、太陽中心の占星術では地軸の傾きに重要な意味がなさそうなため恒星を用いたが、春分点を基準にした場合と70年に1度程度の角度ズレを生じる。現時点ではどちらの基準に意味があるのか不明である。

 

■ 結び

 この論文では、主に次のことを開示した。第1に、科学的に疑いようのない事実として、独立して解明されてきた西洋占星術とバイオリズムが、若干の修正を加えることで、極めて類似した予測を行うこと。第2に、これらの類似が無関係な偶然ではなく、関連があるための必然の結果である確率は控え目に計算しても99.7%以上であり、惑星の公転を時間的な側面と空間的な側面から捉えたものと考えられること。つまり、これまで不明とされてきたPEIバイオリズムの周期の元が、惑星の公転であると考えられること。第3に、バイオリズムは周期に誤差があったために専門家の見解が分かれて疑似科学として位置づけられたのかもしれないこと。それでも、本論文で示した考え方が、正しいと断定するにはなお不十分であろう。したがって、これを機に周期を修正したバイオリズムや太陽中心の西洋占星術の一部は、多くの事例により検証されることが期待される。その結果、有意性が確認されれば、生物学や医学などにとっては直接的に意味のあることであり、1970年頃にバイオリズムが日米でブームになった時のように、健康管理,効率改善,スポーツ,人間関係,教育,事故の予防など幅広い分野での活用も期待される。さらに、どのような媒体やメカニズムにより、惑星の公転が地上の人の状態に影響を与えているのかと言う課題が残る。この課題の解決には、物理学や気象学や生物学などの新しい知見が必要になるかもしれない。

 

■ 手法の説明
楕円軌道 楕円軌道による予測タイミングのずれは、次の式により計算した。時間の起点は、2022年1月1日である。

 

タイミングのずれ= 経過時間- (公転周期 × 進行角度/360度)

 

惑星の楕円軌道は、ウェブサイト7により計算した。設定は次の通りである。
     Name of main S/C or object : EARTH', 'VENUS', and 'MERCURY
     Output coordinate system : Solar Ecliptic
     Start year : 2022
     Start day  : 001
     Stop year : 2022
     Stop day   : 365
     Time resolution(in days) : 001
     Optional: Name of additional S/C or object : NO selected object

 

■ 参考文献
1. Louise, E., THE COMPLETE GUIDE TO ASTROLOGY. Rockridge Press, Emeryville, California, (2020)
2. Peter, W., RHYTHMS of LIFE. Green Magic, Brooks Road Street, Somerset, (2021)
3. Gross H. M., Baiorizumu no riron. Nihonbaiorizumukyoukai, Japan, (1973)
4. NASA, Venus Fact Sheet. https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/venusfact.html, (2021)
5. NASA, Mercury Fact Sheet. https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/mercuryfact.html, (2021)
6. NASA, Earth Fact Sheet. https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/earthfact.html, (2021)
7. NASA, Heliocentric Trajectories for Selected Spacecraft, Planets, and Comets.
https://omniweb.gsfc.nasa.gov/coho/helios/heli.html

 

 

■ 拡張データ

 

表は、図2bに示した西洋占星術の予測と同期をとり得るバイオリズムの周期について、惑星ごとに実際の日数を示したものである。表中の太字は、バイオリズムの身体リズムと感情リズムと知性リズムの周期に最も近い日数である。この表は、自然数を前提とした身体リズムの周期が偶然の類似だと仮定した場合の確率が1/23であり、感情リズムについては1/14である理由を明確に示している。

 

図| 楕円軌道によるタイミングのずれ 1月1日を基準とした2022年のタイミングのずれである。この図は、ずれの最大範囲は、地球では約4日で、金星では約1日で、水星では約12日であることを示している。


 今回のブログを、最後まで読んで下さりありがとうございます。当ブログ「未知を既知に 自由研究家 松島千治」では、この他にも様々な研究成果などを紹介しておりますので、ご覧いただけると嬉しいです。

 

 

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以上 

 

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