【新開発!】 車全体を新車の状態に保つ静電気劣化防止車庫 2020.9.15

 

はじめに

 時間が経っても自動車を新しい状態に保つ新技術を開発しました。この技術では、静電気劣化防止装置を車庫に設けて、金属部分のみならず内装や保管物を含めた駐車中の車全体の劣化を防止します。

 現開発ステップでは、1台のマイカーについて約7年間の実証実験を行い、大きな効果があることを確認できたため、技術をブログでも公開することにしました。商用目的でなければ自由に使って頂いて、何年か後にでも結果をご報告して頂けると幸いです。

 但し、無償での情報公開のため、どのような結果を生じても責任を負いかねますので、実施する場合は自己責任でお願いします。

 

現在市販されている製品
 車の電気的な劣化防止と言えば、これまでは、「Rust Stopper」や「Rust-Arrestor」のように自動車内に電源を設けて、板金の内側から外側に向けて電子を供給することにより防錆する装置が販売されています。これらの製品では、雨などで濡れている表面に防錆電流を流すため、濡れている金属の表面部分のみを水などのイオン化による腐食から守るものです。

 この方法では、車全体の電子の量が増えるわけではないので、電極付近の表面のみの劣化を防止します。

 

静電気劣化防止方法の特徴
 今回紹介する静電気による劣化防止方法は、車庫に車を駐車している間中、大地に対して絶対的にマイナスの電位を車に印加し続けて、車全体に電子をチャージしておくことによって劣化を防止します。金属のみならず、これまで電気を流さないとされていた内装材や塗装やゴム類などの絶縁体についても、木材に時間をかけて水が浸み込むように、時間をかけて電子を浸み込ませるモデルを世界で初めて構築し、紫外線や酸素による劣化を防止します。

 この方法には、次のような画期的な特徴があります。
① 金属のみならず、一般的に電気を通さないとされているゴムや内装のプラスチックなどの不導体を含めて、車全体の劣化を防止できます。車の中に置いてあるクッションやティッシュケースまでも古くなりません。
② 車体が濡れていなくても、車庫に保管している間中は劣化防止の機能が持続します。
③ イオンのみならず、紫外線や熱による劣化も防止もできるため、劣化を大幅に抑えることができます。

原理
 物質の劣化は、物質を構成するために結合している電子が紫外線や熱などにより飛び出したり酸素などにより電子が奪われたりして結合が切れることによって生じます。したがって、物質内の電子の数が多い状態に保つことができれば、物質を結合している電子が飛び出したり奪われたりした場合でも、速やかに近傍の余っている電子から補充することができるために、劣化を防止することができるのです。

 

 物質内の電子の数が多い状態に保つ方法は、その物質にマイナスの絶対電位を印加するだけで実現できます。電気磁気学では、絶対電位0Vは電子の数と陽子の数が等しい状態で、絶対電位をマイナスにすることにより、陽子の数より電子の数を多くすることができるのです。地球は、凡そ絶対電位が0Vであるため、大地の電位より低い電位にすることで、電子を帯電させることができます。

 この大地の電位に対してマイナスの電位を印加して劣化を防止する静電気劣化防止方法は、従来から知られていて、プラントなどで効果を発揮してきました。
 但し、これまでは、電気を流す導体でのみ効果を発揮すると考えられていたため、プラスチックやガラスやゴムなどの不導体(絶縁体)では、静電容量の概念すら議論されてこなかったのです。


 それでも、そもそも導体と不導体は、以下に示すように、電気抵抗率が桁違いに違うだけです。

 

導体  10^-6 [Ωm]以下
半導体    10^-6~10^6 [Ωm]
不導体    10^6 [Ωm]以上

(ここで、記号「^」は、べき乗を表しています。)


 また、静電容量の値は、そもそも静的な特性のため電気抵抗率とは無関係で、形状にのみ依存します。そため、理論上は、不導体でも同様に静電容量を計算することができるのです。

 静電容量と電気抵抗率がわかれば、帯電させるのに必要な時間を計算することができます。劣化により電子が奪われる速度と、不導体に電子をチャージできる速度のどちらが早いかで、その効果の程度が決まります。劣化の方が早ければ効果は限定的だし、チャージの方が早ければ充分な効果が期待できます。

 

 ところが、車全体にチャージする時間を正確に計算するには、複雑な形状に応じた偏微分方程式を有限要素法などで解く必要がありるため、あまり現実的ではありません。

 そこで、形状を度外視して、計算しやすい立方体について、チャージにかかる時間の目安としてのCR時定数のオーダーを概算してみると、大きさとは無関係で電気抵抗率のみに依存した結果が得られました。

 ABS樹脂やゴムやガラスなどの電気抵抗率を10^13Ωm程度とするとCR時定数は560秒となり、おおよそ10分のオーダーになります。

電気抵抗率がさらに高く10^16Ωm以上のものも希に存在しますが、その場合でもCR時定数はおおよそ6日のオーダーになりました。


 この程度の時間でチャージできるのであれば、劣化の速度よりも短いため、充分劣化を抑えられる可能性があると考えられます。

静電気劣化防止装置
 実際に試した静電気劣化防止車庫は、通常の車庫に静電気劣化防止装置を付加したものです。

 マイナスの絶対電位を発生する静電気劣化防止装置の回路図を、図1に示します。電源は、太陽電池かACアダプタか普通の電池のいずれでもかまいません。手間を除いた部材の費用は、いずれも2千円程度と安価で実現できます。
 
 図1(a)は、実際に実証実験で使用した太陽電池を用いた回路を使いやすくしたものです。太陽電池SPは、0.1W以上で充分なので、小さいものでも構いません。ツェナーダイオードZDはキャパシタの定格電圧を越えないようにするためのもので、抵抗Rはツェナーダイオードの電力を小さくするためで、ダイオードDは夜間の逆流を防ぐためのものです。夜間もマイナスの絶対電圧を印加する必要があるため、キャパシタは、電気二重層の1Fのものを使用しました。接地は、大地にアース棒を打ち込みます。目玉クリップは、駐車中にマフラーなどに接続するためのものです。電圧を実測すると、夕方は約-5Vで未明は約-3Vになっていました。
 図1(b)は、ACアダプタを使用する場合の回路例です。安全のためプラスマイナス両極に100kΩの抵抗を挿入しました。ACアダプタと車庫がある程度離れていても問題ありません。但し、抵抗はACアダプタの近くに配置して、コンデンサは車庫の近くに配置します。
 図1(c)は、電池を用いる場合の回路例です。電池の場合は、気が付かないうちに空になっているとまずいので、簡単にチェックできるようにLEDを付けて、少なくとも月に1回程度はチェックすると良いでしょう。
 なお、これらの回路は、インピーダンスが高いのでさほど危険なものではありませんが、信頼性を保つために、どの電源を使うかにかかわらず目玉クリップとアース棒以外の部品は濡れないように防水します。
 

(a) 太陽電池の場合

 

 

(b) ACアダプタの場合

 

(c) 電池の場合

 

図1 静電気劣化防止装置の回路図


 

実証実験

 ここからは、私の所有するホンダ社のNBOX+で行った実証実験について紹介します。新車購入してからの時間経過と使用状況は次の通りです。

 

[時間経過]

2013年11月 新車購入(ウルトラガラスコーティング5年保証)

2014年1月 実証実験開始

2020年9月 売却査定

 

[使用状況]

走行距離 5万2千km

車庫から出ていた時間 1日平均おおよそに2時間程度

天候 荒天でも普段通りに使用

 

 それでは、実際に実証実験を行った静電気劣化防止車庫について、写真1を基に説明します。

 

 写真1(a)に示すように、車庫にはアーチ型の透明な屋根が付いていて、下はコンクリート舗装になっています。舗装はなくても効果が得られるかもしれませんが、あった方が有利かもしれません。ごく普通にある車庫です。ほぼ南向きで季節や時間によっては直射日光があたったり、風が強いと雨がかかったりします。

 写真1(b)に示すように、静電気劣化防止装置は、車庫の内側に貼り付けています。上側に太陽電池があり、金属箱の中に回路が入っています。
 写真1(c)に示すように、目玉クリップでマフラーを挟んで接続します。インピーダンスは充分高いので、クリップのサビ等による接触抵抗は問題になりません。クリップの表面はサビていますが、中の細いバネはしっかり機能しています。
 

(a) 車庫前景

(b) 静電気劣化防止装置

(c) 駐車中のクリップ接続

写真1 静電気劣化防止車庫

 

実験結果

 新車を購入してから6年10カ月経過して、どうなったのかについて写真2とともに説明します。


1) 車の買取査定価格

 前後のバンパーに小さいキズがあるにも関わらず、車種と年式と装備で決まるレンジの上限よりさらに10万円高い60万円で買い取り業者から購入希望がありました。

 通常のディーラー査定レンジ 30~40万円
 通常の買取業者査定レンジ 40~50万円
 

2) 査定士さんやディーラーの方の声

 車を見慣れているプロの方々の皆さんから、「新車のように見える。」とか「とても7年乗った車には見えない。」と言ったお言葉を頂いています。

 

3) ワイパー

 ワイパーは劣化の早い部品で、通常1,2年で交換するのが普通です。しかし、今回の実証実験車では約7年間1度も交換していないにも関わらず、写真2(e)に示すようにワイパーの先の部分はほぼ直線で、写真2(f)に右側に拭いてから戻るところの様子を示すように全く拭き残しがありません。

 

4) ボディ

 ボディの色ツヤは、新車とほとんど区別がつきません。コーティングの状態も良好で、水を良くはじきます。

 

5) 内装

 写真2(c)(d)に示すように、ダッシャボードや天井などの内挿部品も、色がくすんだりすることなくほぼ新車のように見えます。写真2(c)に写っているティッシュカバーや造花なども、新車購入直後に購入したものですが、同様に新品のように綺麗な状態を維持しています。このティッシュカバーは、1度も洗濯していません。

 

6) 臭い

 芳香剤やイオン等での消臭も1度も行っていませんが、車内もエアコンから出る空気も、ほとんど無臭です。

 

 

(a) 前側

(b) 後ろ上側

(c) ダッシュボードと置物

(d) 天井

(e)ワイパー

(f) ワイパー性能

写真2 購入7年後の状態

 

 以上に示したように、マイカー1台による静電気劣化防止車庫の実証実験では、金属部分ばかりでなく、電気を流さないとされている不導体(絶縁体)の部分でも大きな効果があることを確認することができました。

 

実証継続結果

 同一条件の買取相場の2倍近い金額で、ガリバーさんに買い取って頂きました。売却金額は、ガリバーさんには及びませんでしたが、Rabbitさんでは車の状態として新車の次の新古車レベルと査定して頂くなど、査定して頂いた各社の担当者さんから9年7万キロ近く走った車とは思えないようなきれいな状態と言っていただけました。

 

売却日  2024年10月27日(2015年11月新車購入から9年間使用)

走行距離 68,508km

売却価格 49万円(同一条件の相場は26万円程度)

 

写真3 売買契約書

 

 ただし、7年経過時点ではアース棒があって接続を確認しましたが、9年経過して確認した時にはアース棒が完全に腐食してなくなっていました。電気防食の考え方では、アース棒は犠牲電極とも呼ばれ、劣化防止対象物の代わりに腐食したものと考えられます。使用していたアース棒は、数百円の一番小さいタイプの物なので、より大きなアース棒にするか、数年ごとに交換する必要がありそうです。したがって、ビルの共通のアース端子などを使う場合は、留意が必要です。また、定期的にアース棒のチェックもしたほうがよさそうです。


今後の展開
 不導体までをも劣化防止できる技術は、特許出願中で、出願後の第3者による簡易先行技術調査でも先例がみつかっていません。また、建築物に適用すると、屋内にあるすべての物が古くならない可能性のある夢のような技術です。今後は、市場を分析して商品化する方向で、検討をしています。

 

 今回のブログを、最後まで読んで下さりありがとうございます。当ブログ「未知を既知に 自由研究家 松島千治」では、この他にも様々な研究成果などを紹介しておりますので、ご覧いただけると嬉しいです。

 

 最後に、お気軽にご感想やご意見を残して頂けると嬉しいです。

 

以上 

 

改訂履歴

2020.9.15 5:22 初版

2024.2.1 9年経過の状況