試薬リストの一行から、生命の謎へ ――ノーベル化学賞・硤合憲三さん | 100年のブログ

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2026年のノーベル化学賞に、東京理科大学名誉教授の硤合憲三さんが選ばれました。

研究の歩みには、こんなエピソードがあります。

あるとき、硤合さんは試薬リストを眺めていて、「5-ブロモピリミジン」という物質に目を留めました。これを材料に、新しい反応を試してみようと考えたのです。

実験を進めると、できた分子が、自分と同じ型の分子をさらに作る手助けをすることが分かりました。しかも、右手型と左手型のわずかな偏りが、反応を通じて大きくなっていく。1995年に報告された、画期的な発見でした。

右手と左手は、鏡に映したような形ですが、ぴったり重なりません。分子にも、それと似た関係があります。

生命をつくるタンパク質のアミノ酸は、基本的に左手型です。なぜ生命では、一方の型が選ばれたのでしょうか。

「硤合反応」は、ほんの小さな偏りが大きく育つ仕組みを実験で示し、この謎を考える重要な手掛かりになりました。

ご本人は回想の中で、共同研究者との出会いが、研究の壁を越える鍵だったとも振り返っています。

一冊の試薬リストへの目配りと、仲間との研究。その積み重ねが、生命の成り立ちに迫る発見につながったのです。

※イラストは研究エピソードをもとにしたイメージ画です。