礼拝後の廊下。 夕方の光が十字架を照らし、静けさが満ちていた。 その静けさの中に、ひとつだけ荒い呼吸が混じっていた。
Dは、Cの前に立ち、眉を吊り上げて言った。
D:「あんた、また俺を批判してるのか?」
声は怒りに満ちていたが、その奥には別の感情が潜んでいた。 Cはその感情を見つめながら、静かに答えた。
C:「Dさん、あなたを批判したいわけではないんです。」
しかし、Dはその静けさを受け取れなかった。
D:「偉そうに説教するな!俺のこと何も分かっちゃいないくせに!」
その言葉は、怒りというよりも「触れられたくない痛み」の叫びだった。 Cはその痛みに触れないよう、そっと距離を保った。
C:「ただ、あなたの心配をしているんです。」
その一言が、Dの心の壁をさらに厚くした。
D:「俺の心配?余計なお世話だ!」
怒りは、境界を守るための防衛だった。 自分の弱さを見られたくない、触れられたくない—— その思いが、反感という形で表に出ていた。
Cは悲しげに目を伏せた。
C:「そんな風に受け取られるのは悲しいです。」
その言葉は、責める響きではなく、 「あなたの痛みを理解したい」という静かな願いだった。
しかし、Dはその願いを受け取る余裕がなかった。
D:「もう放っといてくれ!俺には俺のやり方があるんだ!」
その背中は、怒りではなく孤独を背負っていた。 境界を守るために作った壁が、 彼自身を閉じ込めていた。
◆ 終章:反感の奥にあるもの
反感とは、 相手を拒絶するための感情ではなく、 自分の痛みを守るための防衛だ。
悔い改める者は痛みを通して自由になる。 反感を抱く者は痛みを拒むことで不自由になる。
どちらも人間的で、 どちらも理解されるべき心の動きだ。
Cはそのことを知っていた。 だからこそ、 境界を守りながら、 Dの心の奥にある痛みにそっと寄り添おうとしていた
