UMPCはニンテンドースイッチの夢を見るのか。 | ゲームを積む男

UMPCはニンテンドースイッチの夢を見るのか。



UMPCとはUltra-Mobile PC(ウルトラモバイルPC)の略称で、元々は2006年にマイクロソフトとインテルなどが提唱した呼称だったらしいね。

Windowsなどの元々は机の上などで使用するOSを搭載してそれらと同じ事が出来つつ持ち運びし易いサイズでインテルなどが開発した消費電力の少ないCPUを搭載してモバイル用途に特化したPCと言うコンセプトになるかな。

13~4年前にコンセプトが発表された後はいくつかのメーカーからそれらに属する端末が発表・発売されていてモバイルデバイス大好きな逸般人が手を出していたのは今でも懐かしい話。

ただ、低消費電力である事はバッテリーを長持ちさせる事に役立つけどその代わりにスペックが制限される事にもつながるわけで、持ち運べるメリットで失うデメリットがあまりにも大きすぎた事や当時はモバイルでのインターネット接続は従量課金が多かった事も多くて自然と廃れていったんだよね。

その一方でマイクロソフトはWindows 8でタブレット対応は進めていてそれにあわせてWindowsタブレットという商品は色々と出ていたかな、インテルも省電力なCPUシリーズをリリースしていて主に業務用途を中心に普及しているのがあったり。

そんな中で中国の深セン市(しんせんし)に拠点を置く企業であるGPDと言う会社が発表したのが初代GPD WINだったかな、ニンテンドー3DS LLに近いサイズのコンパクトなノートパソコンでありゲームコントローラーを内蔵して携帯ゲーム機のようにPCゲームを遊べると言うコンセプトのハードだったんだよね。

初代GPD WINに搭載されているCPUはインテルの省電力タイプであるAtomと言うプロセッサーで、その中でも多少の3Dゲームが動作できるスペックがあったのでそれまでGPD社が出していたAndroid搭載の携帯ゲーム機のノウハウを組み合わせて作られたり。

初代GPD WINはゲーム用途というよりもかつて局地的なブームになったUMPCが再び登場したって事で多くの逸般人に話題となってゲーム用途以外で購入した人も多くて、コントローラーを無くしてキーボードを使いやすくしたりしたGPD Pocketと言うシリーズも出たり。

GPD WINの第2世代であるGPD WIN 2は搭載されているCPUが変わってインテルがGPU機能を強化したCore i5にした事で初代よりも3Dゲームが遊びやすく進化したけど小型ノートパソコンのスタイルだったのは変わらずで、個人的にはボタンとスティックの配置が変わった事でドラクエ10が少し遊びづらくなった印象もあったかな。

GPD WIN 2が発売されたのは2017年、その年に発売されたNintendo Switchは携帯ゲーム機と据え置きゲーム機のハイブリッドスタイルを持った新しいコンセプトのゲーム機としてこれまでのニンテンドー3DSとWii Uの統合として発売されたハード。

日本でも大ヒットしているけど海外でも大ヒットして任天堂のゲーム機としてはWii以来となる1億台を超える販売を記録して今でも記録を伸ばしているのはご存知の通りだけど中国のベンチャー企業たちにも大きな影響を与えたみたいで、Nintendo Switchスタイルのゲーム用途に特化したPCが数多く出るようになったんだよね。

そうしたストレート型のゲーミングPCの多くはインテルのGPUを強化したCPUを搭載している事が多かったんだけど当然ながらAMDもそうした市場向けのCPUを強化してて、GPD WINも第3世代のGPD WIN 3ではストレート型へとなって画面をスライドさせるとその下にキーボードが出てくると言う手法を使ったりしてたんだよね。

その一方でPC向けのゲーム配信サービスであるSteamを運営するValveが開発したのがSteam Deck、コンセプトはPCをベースにしてゲーム用途に特化した本体にした物だけど他の多くのPCがWindows搭載なのに対してSteam DeckではLinuxをベースとした独自のSteam OSを搭載しているのが大きな違い。

ライセンス料が不要なので価格を抑えられるのとSteamのゲームに特化する事で余計な機能を減らせた事で起動するとすぐにSteamのライブラリにアクセスできると言うメリットもあったり、多くのUMPCがあくまでもパソコンである事を前提としている中でSteam Deckはゲーム機っぽい挙動が出来る事が違いになったかな。

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で、そうしたSteam Deckが出た影響もあるのか今年の後半には「Nintendo Switchの性能は低い」と言う批判記事が特に海外メディアを中心に出てくる事があって、これにはポケモン新作などで最適化不足からくるパフォーマンス問題なども影響しているかな。

Switch自体は2017年の発売当時から競合のPS4やXbox Oneと比較して低いと言われており、それは元々Switchが搭載しているチップが2015年ころに出たタブレット向けの低消費電力チップを活用しているのがあって、当然ながら消費電力と性能はトレードオフなのである程度の性能を犠牲にしてしまっているのは事実。

2015年のモバイル向けチップと2021~2022年のPC向けチップを比較したらそりゃ後者のほうが性能が高いわけで、比較されたら仕方がないのはあるし実際にSteam DeckとSwitchで同じゲームを遊んでみると前者の方がグラフィックとかフレームレートとか安定しているのははっきりわかるかな。

かつてニンテンドーDSが切り開いたそれまでゲームを遊んでなかった層をスマホが根こそぎ奪ったような事がSwitchでもあるんじゃないかと言う考えからSwitchを批判する意味合いでも性能論争が今更起こったってのがあるかな。

じゃあ、実際にSteam DeckなどのUMPCがNintendo Switchの市場をそのまま奪えるまで行けるかどうかって考えると、難しいというかなんというか。

今のUMPCとSwitchの大きな違いは価格、Switchは有機ELモデルで3万7980円、それに対してSteam Deckの最廉価モデルである64GBモデルは5万9980円となり2万2千円の差があって。

Steam Deckには専用ケースが付属しているけどSwitchには専用ドックやHDMIケーブルなどのアイテムが付属しているわけで大きな比較にもならないし、他のUMPCだとそれこそ10万円オーバーの物しかないのを考えると比較できないというか。

価格とスペックってのは多くがトレードオフになるわけで、例えばSwitchの次世代機が出るとして本体価格を10万円まで引き上げるとなったらそれこそSteam Deckよりも高いスペックのハードウェアに出来るだろうけど、実際にそんな価格の次世代Switchが出て買おうって人は減ってしまうし市場も広がらないわけで。

Switchの性能強化版とか次世代機の噂は常に出ておりやれ4K対応するだとか性能が強化されるなどと話が出ているけど結局噂だけになって出たのが有機ELモデルってのはおそらく性能向上させると価格設定が上がってしまうから出せなかったってのもあるわけで。

もちろん今の市場が成熟しているからそれを縮小させるおそれの大きい次世代モデルの話は出せないてのも大きいだろうけど、少なくとも今のUMPCの方向性とSwitchの今後が交わる事って難しい様な気もするわけで。

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実際にSteam Deckを使ってみて、思った以上に良いハードだと思う一方でSwitchと比較すると成熟してない部分も見られると言うか。

OSの成熟もそうだしハードウェアがむやみに大きすぎるのもそう、OSは改善されていくけどハードウェアに関しては次の世代でどこまで改良されるかが重要だけどそれが1~2年後に出るんだったらそれはゲーム機と言うジャンルとは変わってしまうんだよね。

ゲーム機って一度ハードウェアが出たらそれこそ5年以上は同じスペックを維持するのが基本、かつてのニンテンドーDSiとかNew3DSみたいな強化版もあったしPS4 ProやXbox One Xみたいな4K対応ハードもあるけどそれもモデルサイクルで1回のみで数年置きに出たわけじゃないし。

ゲーム機は大体3~5万円くらいで発売されてそこからそれを5年以上細かい改良のみで発売するからこそ、メーカーはそのハードウェアを活かしたゲームづくりが出来るわけで、毎年性能が向上するPCでお金に糸目をつけない状況でゲームを遊べる環境がある人には物足りない部分があるってのは事実だけど、そう考えると市場が違うんだよねぇ。

スマホのゲーム市場がかつてのニンテンドーDSの市場を奪えたのは携帯電話会社同士の顧客の奪い合いから積極的に乗り換える人にとって有利な条件があったってのもあるんだけど、PCの場合はそうした土壌もないわけで。

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もちろん、ゲーム機側がユーザーに甘えて進歩をおろそかにしてたら市場が狭まってしまうのはあるし、そうしてゲーム機の市場が狭まってしまったら結果的にPCでのゲームが主流になる事はあり得るんだろうけど、それは今とは違った市場になっているかなぁ。

なんだかんだで気軽にゲームを遊べるゲーム機と、工夫次第で色々な事が出来るUMPCは違う物であるからこそそれぞれが魅力に溢れるんじゃないかしら。

少なくとも自分から見るとSwitchとUMPCは違うものだし両立するものかな、どちらかがどちらかを駆逐するとは思えないし、両方あるからこそ面白いんじゃないかしら。